
その134(2018年8月号)
- ハチに刺されたのですが、良い薬はありますか?
- 刺されてからすぐに息苦しさやフラフラするような全身症状が現れたら、すぐに救急車を呼びましょう。
それ以外での患部の腫れや炎症であれば、市販の塗り薬などで対応する事も出来ます。
ハチ刺されとは?
読んで字のごとくハチによる虫刺されとなります。他の虫と違うのは、集団で刺されたり毒性が強かったりすることで、国内では年間20人前後の死亡者が発生しています。
国内において被害数が多いのは主にアシナガバチとスズメバチです。この2種ともに夏~秋にかけて活動のピークとなり、注意が必要です。

アシナガバチ

スズメバチ
症状
全身症状
アナフィラキシーショックと呼ばれ、刺されてから数分~30分以内に発現します。早急に医療機関への受診が必要となります。場合によっては救急車を呼びましょう。
- じんましん、全身が赤くなる→痒み、熱感
- 唇や舌が腫れる→呼吸困難
- 喘息症状→呼吸困難
- 血管性浮腫→血圧低下、意識消失(ショック状態)
局所症状
ハチに刺された患部の炎症症状です。患部の場所にもよりますが、発赤・腫脹・熱感・掻痒・疼痛などを伴います。また、刺されてから1時間以上たっても局所のみの軽度な症状であれば市販のお薬でも対応可能です。

対処法の流れ
ハチに刺される
↓
その場(ハチの巣)から数10m以上離れる
(この時点で全身症状の発現や複数個所刺されていれば救急車を呼ぶ)
↓
傷口を清潔な流水で洗浄し、針が残っていればそっと抜く
↓
傷口を爪などで圧迫し、毒液を絞り出す
↓
炎症を抑える塗り薬などを塗る
↓
患部を濡れたタオルなどで冷やし、安静にする
治療薬
全身性症状(医療機関での対応となります)
- エピペン(過去にアナフィラキシー歴がある方は携行をおすすめします)
- 抗ヒスタミン、ステロイド、昇圧剤等
局所症状(軽度であれば市販のお薬でも対応可能です)
- ステロイド外用剤⇒炎症が強い時(フルコートF軟膏、ベトネベートN軟膏、テラ・コートリル軟膏、ドルマイコーチ軟膏、ムヒアルファEX等)
- 抗ヒスタミン外用剤⇒痒みが強い時(ムヒS、ウナコーワクール、新レスミタンコーワ軟膏等)
- 抗ヒスタミン内用剤⇒痒みが強い時(ムヒAZ錠、アレルギール錠、小粒タウロミン等)

やってはいけないこと
- 刺された場所を口で吸う → ハチ毒は水溶性なので、口腔粘膜から吸収され炎症の二次被害が生じます。
- 刺された場所にオシッコをかける → アンモニアは特に有効ではありません。俗説です。
ハチに刺されないために
- 白っぽい色の衣服を着て、帽子をかぶる。衣服は長袖が良い。
- 蜂がいそうなところで、ジュースを飲んだり果物を食べたりしない。
- 香水やヘアートニックなどをあまりつけないようにする。
- 蜂の巣があるところに近づかない。また巣をつついたり、石を投げたり、動かしたりなどの刺激をしない。
- 近づいてきた蜂を手で払ったりしない。
- 車や家の中に蜂が入ってきたら、窓や戸を開けて蜂が出て行くのを待つ。
- 洗濯物に蜂が付着して、取り込んだときに人を刺すことがあるので、周囲に蜂の巣があったり飛んでいる姿をよく見る場合には、取り込むときに点検するなど注意する。
