今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その147(2019年9月号)
Q
後発医薬品に変えるメリットを教えてください
A
後発医薬品は、新薬より安価で、窓口でのおくすり代と、高騰する国民医療費を節約することができます。
もちろん、品質、有効性等は先発品と同等であることが確認されています。使用についてはかかりつけ薬局でご相談ください。

ジェネリック医薬品(後発医薬品)とはどんなおくすりですか?

おくすりには、下の図のように「医療用医薬品」と「一般用医薬品」があります。医療用医薬品は、医師の診断によって処方されるおくすりのことです。これに対して一般用医薬品は、いわゆる市販薬のことで、薬局などで処方せん無しで購入できるおくすりです。
さらに、医療用医薬品は「新薬(先発医薬品)」と「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」に分けられます。

新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に、他の製薬会社により製造販売される医療用医薬品がジェネリック医薬品(後発医薬品)で、新薬と同じ有効成分を同一量含み、効能・効果は同等で、なおかつ新薬より低価格なおくすりです。
製品によっては、服用しやすいように大きさや味・香りなどを、また安定性を改良したジェネリック医薬品もあります。
出典:政府広報オンライン

ジェネリック医薬品はなぜ安くなるの?

新薬(先発医薬品)は、先発薬品メーカーが独占的に製造・販売できる特許期間等があります。しかし、その特許期間(20~25年)が終わると、厚生労働大臣の承認を得れば、他の医薬品メーカーでも製造・販売することができるようになります。これがジェネリック医薬品(後発医薬品)です。

新薬の開発には有効成分の探索や候補となる成分の有効性・安全性などを確認するため、長い歳月と莫大な費用は必要です。これに対し、ジェネリック医薬品は、この新薬の医療現場での使用実績や情報をもとにして効率よく開発することができるため、低価格での提供が可能なのです。
出典:政府広報オンライン
日本ジェネリック製薬協会のサイトを利用するとジェネリック医薬品に切り替えたときのおくすり代を“かんたん”に計算比較できます。

ジェネリック医薬品と新薬は、なにが同じでなにが違うの?

ジェネリック医薬品は、新薬と同じ有効成分を使っていますが、添加物は異なる場合があります。添加物は、それ自体では人に対して薬理作用がなく、安全性も確認されたものだけが使用されています。新薬、ジェネリック医薬品問わず、共に医薬品に使用されているものです。
出典:日本ジェネリック製薬協会

ジェネリック医薬品は添加物等の違いにより、色や形、味や香りなど新薬と異なる場合がありますが、有効成分の種類と量は同じで、安定性試験、溶出試験、生物学的同等性試験等により効き目・安全性が同等であることが確認された上で、厚生労働大臣より製造承認を受けています。
出典:日本ジェネリック製薬協会

オーソライズド・ジェネリック(AG)とは何ですか?

最近では「オーソライズド・ジェネリック(AG)」と呼ばれる、新薬メーカーから許諾を得て、原薬、添加物および製法等が新薬と同一のジェネリック医薬品もあります。これにより、おくすりの選択肢が増えることになりました。
英語で「Authorized Generic」と書き、略して「AG(エージー)」と呼ばれています。新薬と添加物・製法まで同一で、かつ価格の安いものがオーソライズド・ジェネリックです。

なぜジェネリック医薬品が勧められているの?

日本は、急速な高齢化により、国民医療費は年間約40兆円、2025年度には年間60兆円を超えるとの試算も発表されています。
医療保険財政の厳しさが続く中で、今後とも必要な医療を確保しつつ、人口構造の変化に対応できる持続可能なシステムを作り上げていく必要があります。

こうした状況の下、注目されているのがジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品は、先発医薬品に比べて薬価が安いにもかかわらず、品質、安全性及び有効性は先発医薬品と変わらず、高価な先発医薬品の代替可能な医薬品と位置づけることができます。

現在使用されている新薬のうち、切り替えられるものをすべてジェネリック医薬品にした場合、年間約1兆1,000億円の薬剤費を節減できるという試算もあり、国の方針としてジェネリック医薬品の使用が推進されています。

窓口の負担金額は安くなるのみならず、後発医薬品を選ぶことで、国の医療制度を守ることができます。

どうしたら後発医薬品の処方してもらえるの?

ジェネリック医薬品を希望される場合は、まず診察時に医師に「希望すること」を伝えてください。
(「ジェネリック医薬品希望カード」を見せて自分の意思を伝えることもできます。)
ただし、医師の判断により、ジェネリック医薬品が処方できない場合もあります。また、すべての医薬品にジェネリック医薬品があるわけではありませんのでご注意ください。


「処方せん」の、「変更不可」欄にお医者さんのサインなどがなければ、薬局で薬剤師と相談のうえジェネリック医薬品を選ぶこともできます。
詳しくは、かかりつけ薬局でご相談ください。
出典:政府広報オンライン