今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その154(2020年4月号)
Q
災害時にどのようなお薬があるとよいですか?
A
災害時には避難生活を強いられることがあります。ストレスも加わり、胃腸の調子が悪くなることも考えられます。包帯や絆創膏など普段の常備薬とともに、胃腸薬や便秘薬・下痢止めなどもそろえておくとよいでしょう。

災害時に備えておきたいもの

皆様のご家庭には災害時持ち出し袋や災害時キットなどご用意されていますでしょうか。
まだという方は、お近くのホームセンターやインターネットショップなどで充実装備のものが幾つも販売されていますので、地震や台風などの自然災害に備えて、早期の購入をご検討ください。

今回は災害時持ち出し袋や災害時キットなどに用意されているもの以外で、お薬を中心に簡易的な救急バッグについてのお話しです。
すでに用意をされているという方も再確認してみてください。

救急箱ではなく持ち出し用の救急バッグを

災害時持ち出し袋には様々なものが入っていると思います。飲料水や乾パン、フリーズドライなどの非常食、絆創膏やマスク、三角巾やポケットティッシュ、ウェットティッシュ、アルミ素材のブランケットなどの衛生材料、さらにはラジオや乾電池、懐中電灯、軍手やレインコート、使い捨てカイロ、爪切りやマルチツールなどなど。
そこに救急バッグも加えてさらに万全の体制を確保したいものです。

救急バッグといっても昔からある木やプラスチック製の大きなものは必要ありません。
100円ショップでも購入できるストラップ付のポーチや、ご自宅にある使わなくなったショルダーバッグでも構いません。
要は、災害時持ち出し袋と一緒に持ち出せるサイズに収まる程度でよいのです。

気になる中身は?

お薬に関しては災害用のいざという時に必要なものなので、ご自宅にあるような救急箱のようにあれもこれも用意する必要はありません。
災害時には医療救護所がすぐに開設されます。何日分、何人分も用意せず、一次的なものだけで結構です。

まずは外傷に対応するために絆創膏や湿布、紙テープなどご用意ください。また目薬もあった方がよいでしょう。ここでは消毒薬は必要ありません。ペットボトルの水を用いることで消毒ができます。また包帯もあれば良いのですが、ハンカチやバンダナなどで代用できます。かさばることを考慮してあえて用意しなくても構いません。

飲み薬は基本的に痛み止めや、胃腸薬などがあれば良いでしょう。薬局で手に入る一番小さなサイズ、安価なもので構いません。瓶入りの薬より1錠や1包ずつに包装されているもの(ヒートシールタイプ)であればコンパクトに保管できます。

お薬ではないのですがハンドクリームやワセリンなどの保湿剤、また携帯用の歯みがきセット、マウスウォッシュなども備えておくとよいでしょう。

お薬は定期的に使用期限を確認して、期限切れのものを順次更新してください。

おくすり手帳や薬情なども

救急バッグに入れておいて欲しいのはお薬だけではありません。持病のある方で常にいくつかの薬を服用されている方は「おくすり手帳」も入れておいてください。

ただ、今お使いの「おくすり手帳」を入れておくわけにはいかないので、最後のページまで終了した古い「おくすり手帳」を救急バッグに入れておいてください。「おくすり手帳」がまだ途中という方は、「お薬の情報の記載された紙」を入れておくのもよいでしょう。

普段お薬を服用されている方は、ご自身にとって一番服用しやすい場所に保管されているものと思います。台所や食卓テーブル、ベッドサイドや洗面台などなど。しかし、災害発生時に手持ちのお薬をすべて持ち出す事は困難です。そのような時「おくすり手帳」や「お薬の情報の記載された紙」が重要になります。

災害時医療救護所でご自身が普段どんなお薬を服用しているか(その時点で何を服用していたか)が分かることで、災害発生時に持ち出すことができなかった薬を速やかに確認することが出来ます。

最後に

今回は災害時に用意すべきお薬の話をしました。簡易的な救急バッグの中身は、安価なもので構いません。災害発生時にはとても大事なものですから、ぜひご用意いただきたいと思います。
また、定期的に使用期限の確認や整理することを忘れないようにしてください。

災害はいつ発生するか分かりません。いざという時の備えにお役立てください。

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