今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その155(2020年5月号)
Q
目薬が上手くさせないのですが
A
目薬(点眼薬)は、1回1~2滴きちんと点眼できれば十分ですが、その際、容器の先が瞼やまつ毛に触れないようにするなどの注意が必要です。
上手くさせない方は補助器具もありますので、かかりつけ薬剤師にご相談ください。
目薬(点眼薬)をさすのが苦手な方は結構いらっしゃるようです。今回は目薬の使い方・注意点についてまとめてみました。

目薬の正しい使い方を教えて

一般的な正しい目薬のさし方は次のとおりです。

  1. 最初に手をきれいに洗います。
  2. 点眼瓶を持っていないほうの手で下眼瞼を下に引きます。容器の先が目やまつ毛に触れないように気をつけて一滴点眼して下さい。どうしてもうまく点眼できない時は、点眼補助器具を使うと便利です。
    点眼瓶を持っている手が安定しない場合は、握りこぶしで下眼瞼を下げ、その握りこぶしの上に点眼瓶を持った手を固定する方法(げんこつ法)もあります。
  3. 点眼した後は、瞬きせずに数分間静かに目を閉じて下さい。瞬きをすると鼻涙管から全身にお薬がまわり、副作用の原因となります。点眼した後に軽く目頭を押さえると、お薬が全身に流れるのを防ぐのに効果的です。
    目から流れ出た点眼液は、清潔なティッシュなどで拭いて下さい。
  4. 2種類以上の点眼液を使う場合は、原則5分以上間隔を開けて下さい。(指示が出ている場合はその指示に従ってください。)
  5. 容器のキャップをしっかり閉め、直射日光や高温を避けて保管して下さい。

※点眼補助器具

正確・安全・簡単に点眼を行うための補助具もありますので薬剤師にご相談ください。

子供に点眼する方法を教えて

子どもの恐怖心を取り除き、点眼しやすい方法で行って下さい。(例えば、子どもをひざの上に仰向けで寝かすなど)
無理に押さえつけて子供を恐がらせないようにして下さい。また、子供が動いて容器の先で目を傷つけないよう注意して下さい。

  • 点眼時に目を閉じてしまう子どもの場合、目の周りを清潔なガーゼやティッシュで拭いてから目頭付近に点眼します。まばたきさせると目薬が目の中へ入っていきます。
  • 泣いている時は涙で目薬が流されるので点眼は避けてください。

目薬は何滴点眼すればよいの?

点眼1滴は30~50μL、結膜囊は最大でも約30μLの容積です。そこに涙液が約7μL溜まっていますので、1滴正確に点眼できれば目から薬があふれ出ます。従って1 回の点眼量は、確実に点眼できれば片眼 1滴ずつで十分です。
同じ容量の2種類の点眼薬を使っていて、片方だけ早くなくなることがありますが、それは点眼の1滴量が点眼薬の表面張力や粘度で変わるからです。

5mLの場合、100~160回ほど点眼でき1日4回両眼に使用した場合は2~3週間で無くなります。

2種類以上の目薬を使用する場合、さす順番はありますか?

医師から指示が出ている場合はその指示に従ってください。
指示のない場合、基本的には、水性 → 懸濁(使用時に容器振るお薬)→ ゲル化 → 眼軟膏の順と考えて下さい。

ゲル化する点眼薬や眼軟膏は、他の点眼薬の吸収を妨げる可能性があるため、点眼の順は後にします。
水性の点眼薬が複数ある場合は、より効果を上げたいものを後に、また刺激のあるものは、刺激で涙が出てしまい後の点眼薬を薄めてしまう可能性があるため後にします。

ゲル化する点眼薬は点眼前後に10分以上あける必要があるため、順番としては最後の方になります。(ゲル化する点眼薬:リズモン®TG、チモプトール®XE、ミケラン®LA、ミケルナ®、抗菌薬のオフロキサシンゲル化点眼液「わかもと」等)

点眼薬は開封後どのくらい使用できますか?

目薬は遮光が必要なものは多くありますので、必ず添付されている遮光袋に入れて保管してください。また直射日光の当たる場所には置かないようご注意ください。

目薬は、使用期限が記載されていますが、使用期限は未開封の場合のものです。一度開封してしまった目薬は、開封後1ヶ月で使い切るか、余ったものは処分するほうが良いでしょう。また、目薬の色の変化や浮遊物などがないか確認し、このような場合は使用しないでください。

用時溶解の点眼薬は溶解後の使用期限があります。市販の人工涙液には使用開始後10日で廃棄するものもあります。さらに使い捨てタイプの点眼薬は開封して使用後は廃棄となり、薬液が残っていても使えませんのでご注意ください。

まとめ こんなことしてませんか?

  • 容器の先を目尻につけて点眼している
    点眼液が汚染される原因になります。容器の先がまぶたやまつ毛、目に触れないように注意しましょう。
  • 点眼後に目をパチパチしている
    まばたきによって目から鼻にお薬が流れ出てしまいます。副作用の原因にもなります。点眼後はまばたきをしないようにしましょう。
  • 目のまわりに落ちた点眼液を流し込んでいる
    汚れや花粉、細菌などの目のまわりの異物も目に入ってしまいます。再度まぶたの袋に確実に点眼し、あふれた薬液は清潔なガーゼやティッシュでふき取ってください。
  • 指示された滴数を超え、何滴も点眼している
    お薬が目からあふれてしまうだけで、効果は変わりません。副作用の原因にもなります医師または薬剤師に指示された用量を守って点眼しましょう。
点眼薬、点眼方法でわからないことがありましたら、かかりつけ薬剤師にご相談ください。

【参考】
  • 点眼剤の適正使用 ハンドブック -Q&A- くすりの適正使用協議会