今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その156(2020年6月号)
Q
日焼け止めの種類と選び方を教えてください
A
日焼け止めには、紫外線A波の防止効果を示すPAと紫外線B波をカットする力を示すSPFがあります。
室内で紫外線対策をしたい人(PA)と屋外で紫外線対策をしたい人(SPF)では用途が異なりますので、お気軽に薬剤師までご相談ください。

紫外線とは

紫外線とは、地球に到達する太陽光線のうち、波長が短く、エネルギーの高い光線を指します。紫外線には「UV-A波(波長 315-380nm)」、「UV-B波(波長 280-315nm)」、「UV-C波(波長 200-280nm)」があり、「UV-A波」と「UV-B波」は地球の地表に届きますが、「UV-C波」はオゾン層で吸収されます。地表に到達する紫外線の約99%はUV-A波と言われています。

UV-A波は、冬季及び朝夕でもあまり減衰せず、窓ガラスや雲を通過して皮膚の真皮層に作用し、蛋白質を変性させ、皮膚の弾性を失わせることで老化を促進します。
UV-B波は、表皮層に作用し、色素細胞がメラニンを生成し防御反応を取ります。これがいわゆる日焼けです。皮膚が赤くなり痛むサンバーン(sunburn)と呼ばれる日焼けを引き起こし、最終的には色素が沈着し皮膚が黒くなるサンタン (suntan)と呼ばれる日焼けを引き起こします。皮膚や眼に有害と言われ、皮膚がんの原因ともなります。


出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」

日焼けにより赤くなったり黒くなったり

紫外線を浴びることによってサンバーン(赤くなる)と呼ばれる日焼けを引き起こし、皮膚が色素沈着を起こすことでサンタン(黒っぽくなる)と呼ばれる日焼けを引き起こしますが、皮膚が赤くなっても黒くなりにくかったり、赤くならずにすぐ黒くなったりと、人によってタイプが異なります。

皮膚が赤くなるのは、肌がメラニンを作る前に紫外線でダメージを受け炎症を起こしているからと言われています。紫外線を浴びて赤くなる人は黒っぽくなる人より紫外線に対して弱い肌となりますので、きちんと紫外線対策をしましょう。
皮膚が黒っぽくなるのは、肌がメラニンを作るからと言われています。メラニンは紫外線を吸収して細胞を守る働きがあるので「黒っぽい肌=皮膚が強い」と思われがちですが、もちろん紫外線ダメージを受けています。紫外線対策は怠らないようにしましょう。
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」

PAとSPFの違いについて

PAとは、プロテクション・グレイド・オブ・UVAの略で、「UVA防止効果指数」とも呼ばれています。日焼け以外にもシワやたるみの原因にもなる紫外線A波(UV-A)の防止効果を示すものです。PAは「PA+」~「PA++++」の4段階で表示され、「+」が多いほど防止力が高まります。黒くなる日焼けと老化防止に効果のある数値と言えます。

SPFとは、サン・プロテクション・ファクターの略で「紫外線防御指数」とも呼ばれています。シミやそばかす、皮膚がんの原因となる紫外線B波(UV-B)をカットする力を示すものです。SPFは「10」~「50+」と表示され、数値が大きいほど、より強い日差しから守ってくれる効果が期待できます。
この数値の意味ですが、「10」だと10時間効く、「50」だと50時間効くという意味ではありません。SPFは「時間」ではなく「防御力(強さ)」を表していますので、紫外線が当たりだしてから日焼けしてしまうまでの時間(個人差はありますが、約15分~20分)をSPF50ならだいたい50倍遅らせることができるという意味となります。
しかし、どちらの数値も高ければ高いほど肌への負担が大きくなるので、肌への負担なども考慮して日焼け止めを選ぶことが重要です。肌の弱い方には、「ノンケミカル」などの日焼け止めもありますので、ご自身の肌に合った日焼け止めを選びましょう。
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」

敏感肌

敏感肌の多くは、バリア機能が低下していて乾燥しやすい状態となっています。体調変化やストレス、冷暖房などに反応してトラブルが生じやすく、バリア機能が低下しているため、健康な肌よりも紫外線の影響を受けやすくなり、日やけ、しみ、そばかすなどが起きやすくなっています。紫外線を防ぐ日やけ止めをきちんと塗ることはとても大切です。
乳液、ローションのように落としやすく、肌にやさしい低刺激性のものが敏感肌用スキンケア商品として多く販売されています。季節や利用シーンによって剤型やSPF、PAの異なる日やけ止めを使い分けたり、汗や水に強いウォータープルーフ性のものを選択したりすることも大切です。日常生活に紫外線対策を取り入れ、ケアをしましょう。
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」

ウォータープルーフ

ウォータープルーフとは、汗や涙、水などに落ちにくい効果をしめしており、耐水性とも表されています。日焼け止めにとってウォータープルーフは重要な機能の一つです。水や汗で簡単に落ちてしまっては紫外線から肌を守ることができません。SPFやPAと同じくウォータープルーフ効果を示す表記についても注目して日焼け止めを選択しましょう。

日焼け止めの使い方

日焼け止めを正しく使用すると紫外線防止に効果的です。日焼け止めは、顔や手を擦ったり発汗したりすることで落ちてしまうことも多いため、2~3時間ごとに塗り直すことが推奨されていますし、使用量についてもたっぷり(適量)使うことが効果的と言われています。例えば、顔全体で0.8g程度と言われていますので、クリーム状であればパール状2個分、液状であれば1円玉2個分くらいの量をしっかり不足のないように塗りましょう。
出典:環境省「紫外線環境保健マニュアル 2020」