今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その164(2021年2月号)
Q
毎年冬になると血圧が上がってしまう。そのままにしていても大丈夫?
A
血圧は、暖かい季節に下降し寒くなると上昇すると言われていますが、環境やストレス、喫煙などが原因で変動することもあります。
毎年2月は生活習慣病予防月間ですので、まずは医師、薬剤師に相談してください。

高血圧

高血圧は脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等)、心臓病(冠動脈疾患、心肥大、心不全等)、腎臓病(腎硬化症等)及び大血管疾患の重大な原因疾患です。
血圧とは、心臓から送りだされた血液が動脈の内壁を押す力のことです。ホースで水を撒く時、蛇口を開き水量が増せば水圧が上がります。さらにホースの先を細くすれば水圧が上がり、より遠くに水を撒くことができます。血圧(水圧)は血流量(水量)と血管抵抗(管の太さ)により変動します。
心臓から全身に血液を送りだすためには適度の血圧が必要です。運動をするときには血圧を上げ、より多くの血液を全身に送り出します。逆に安静時や睡眠中は血圧を下げ、心臓を休ませます。
血液量の調整は主に腎臓で尿量を調節することにより行われます。血管抵抗の調節は、自律神経(交感神経と副交感神経)や血圧調節物質(レニンやアンジオテンシンなど)で行われます。寒い時には血管が収縮し血圧が上がり、暖かいと血管が緩み血圧が下がります。

測定方法

高血圧と診断するには正しい血圧測定が必要となります。
血圧測定は診察室(外来)においては聴診法あるいは自動血圧計を用いて行われます。標準的な診察室測定法としては、静かで適当な室温の環境下で安静な姿勢を保ち、1~2分の間隔をあけて少なくとも2回測定し、安定した値を示した2回の平均値を血圧値とします。
可能であれば、脈拍数の測定を行うことも推奨されています。

啓発・声掛け

毎年2月は生活習慣病予防月間です。
生活習慣病予防に対する意識向上に取り組むことで健康寿命の延伸を目指していますが、長野県でも県民一人ひとりの更なる健康増進を図るための施策「信州ACEプロジェクト」において、C(チェック)の分野で生活習慣病予防のために血圧の自己測定や健診受診を推奨しています。
この時期に合わせて薬剤師会では「測ろう血圧」と題して、声かけチラシを用いて、血圧測定の重要性の啓発、自己血圧測定・記録の実践、来局者の血圧状態に応じたアドバイスや必要に応じて受診勧奨をしています。是非、薬局にお立ち寄りいただき自己血圧測定をして下さい。