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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その11     (平成20年5月号)
Q 胃腸薬を選ぶときに気をつけることは何ですか?

 市販の胃腸薬には「健胃薬」「制酸薬」「消化薬」「総合胃腸薬」「整腸薬」「鎮痛鎮痙剤」などの種類がありますので、薬局の薬剤師に相談して症状に合った薬を選びましょう。


◆ 胃腸薬の選び方 ◆


一口に「胃の調子がおかしい」と言っても、痛む、もたれる、胸やけがする、食欲がないなど、その症状や原因はさまざまです。症状に合わせて胃腸薬を使い分けていますか? のむ種類、時間を間違えると、薬の効果も弱まり、逆に症状を悪化させることもあるのです。 そのようなことがないよう、症状に合わせた胃腸薬を選ぶことが大切です。


◆ 胃腸の症状はさまざま ◆


一口に「お腹が痛い」といっても、その症状や原因はさまざまです。キリキリした胃の痛みから、ズーンと重苦しい胃もたれ、胸やけ、腹部膨満感まで、いろいろな症状があります。「痛いな」と思ったら、症状に応じて市販の胃腸薬を利用してみましょう。ただし、飲みすぎ、食べすぎなどによるものと違って、原因がはっきりしない痛みの場合は、医師の診察を受けましょう。


@ 胸やけの場合 

胸やけとは、・・・・
文字通り胸の奥の方が焼けるような独特の不快感のことです。胃液が逆流して食道の粘膜が刺激されたときに起こります。
胃の内容物や胃液は食道に逆流しないのが普通です。ところが、胃や食道の働きが弱まると、逆流が起きやすくなり、胸やけを感じるようになるのです。

【 原 因 】
 ・ 食べすぎ
 ・ 肥満や妊娠後期などによる腹圧の上昇
 ・ 精神疲労、酒の飲みすぎ、タバコの吸いすぎなどによる胃酸の出すぎ
 ・ 揚げ物など脂肪の多い食べ物やいも類などの糖質が胃に長時間とどまる

【 対処法 】
 ・ 枕を高くするなど、上体を起こし気味にして寝る
 ・ 1回の食事量を減らし、消化のよい食品を食べる
 ・ アルコール、コーヒー、炭酸飲料、香辛料などの刺激物や、甘いもの、冷たいもの、熱いものは避ける


【 胃腸薬 】
 ・ 制酸薬(胃酸を中和する)
 ・ H2ブロッカー(胃酸の分泌を抑える)
 ・ 健胃薬(胃の機能を活発にする)
 ・ 胃粘膜保護薬


A 胃もたれの場合 

胃もたれとは、・・・・
胃の中に食べ物が停滞しているような重苦しく、ムカムカした感じや、お腹の上の方が膨れたような感じのことです。胃の動きが鈍くなって消化に時間がかかり、食べ物が長く胃にとどまることで起こります。

【 原 因 】
 ・ ストレスなどによる胃の運動機能の低下
 ・ 消化の際に発生するガスがたまる
 ・ 飲みすぎ、食べすぎ

【 対処法 】
消化に時間がかかる脂っこい食べ物や、胃に刺激となる強いアルコール、香辛料は避ける

【 胃腸薬 】
 ・ 健胃薬(胃の機能を活発にする)
 ・ 消化薬(胃や腸での消化を助ける)


B 腹部膨満感の場合 
膨満感とは、・・・・
お腹が張り、ガスがたまったような感じを伴う腹部の不快感のことをいいます。
病気が原因の場合は、へそが深部から押されて、浅くなったように見えることもあるので、注意してください。

【 原 因 】
 ・でんぷん類の食べ過ぎ
 ・食事などのときに、空気を飲み込む量が多い
 ・疲れなどで胃腸の機能が一時的に低下している

【 対処法 】
 ・ ご飯などのでんぷん類を減らす
 ・ ガスを発生させやすい炭酸飲料やビールを避け、栄養バランスのよい食事と規則正しい生活を心がける

【 胃腸薬 】
・ 健胃薬(胃の機能を活発にする)


C 腹痛の場合 
腹部の痛みはかなり一般的な症状ですが、痛み方によってタイプが分かれます。
・周期的にさしこむような鈍い痛みの「内臓痛」
・持続的に刺すような鋭い痛みの「体性痛」
・内臓痛が神経を介してほかの場所に出てくる「関連痛」「放散痛」などがあります。

何らかの病気の可能性もありますので、ほかにどのような症状が出ているかを見極める必要があります。

【 原 因 】
 ・ 暴飲暴食
 ・ ストレス
 ・ 下痢、便秘
 ・ 解熱鎮痛剤、抗生物質などの薬剤
 ・ 鉛、カドミウムなどの重金属による中毒
 ・ 胃炎をはじめとする消化器系の疾患
 ・ 胃かいようなどの病気

【 対処法 】
 ・ コーヒー、アルコール類、香辛料などの刺激の強いものは避ける【 対処法 】
 ・ 胃酸の分泌を促す炭酸飲料などは控える
 ・ おかゆのような消化のよいものを食べる

【 胃腸薬 】
 ・ 胃腸鎮痛鎮痙薬(胃腸の緊張を鎮め、痛みを抑える)
  (胃腸の筋肉を弛緩させ痛みを抑えるもの、神経を麻痺させ痛みの伝わりを抑えるもの、鎮痛・鎮痙作用のある生薬など)


◆ 胃腸薬はタイミングが大事 ◆

薬をのむのは、「1日3回食後30分」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
症状が違えば薬の成分も異なり、のむタイミングも変わります。のみ方を間違えると、効果が弱まることもあるのです。服用の際は、必ずタイミングを確認しましょう。

【 種類別  服用のタイミング 】
  健胃薬 → 食前(食事の30分前くらい)
  消化薬 → 食後(食事の直後から食後30分くらい)
  制酸薬、胃粘膜保護薬・H2ブロッカー → 食間(食後2時間後くらいの空腹時)、就寝前

※胃腸薬の中には上記の成分が複数入っているものがあるので、必ず記載通りにのんでください。


◆ こんなときは要注意! ◆

薬をしばらくのんでも症状がよくならないこともあります。このようなときは、医師の診察を早めに受けてください。

【 医師の診察を受けたほうがよい胃腸症状 】
・吐き気や嘔吐をともなって痛みが激しくなる
・嘔吐や下痢がある
・ひどい下痢をともない、激痛がある
・発熱や嘔吐、ショック症状
・発熱、吐き気、激痛、顔面蒼白
・激痛で血尿がある
・突然の激痛で嘔吐し、ガスが出なくなる
・肋骨下部に鈍痛、発熱、黄だんがある
・激痛や発熱、黄だんがある
・ショック症状


◆ 胃腸薬をのむときの注意点 ◆

胃腸薬をのむときは、ちょっとした注意が必要です。
ほかの薬など、一緒にのむものによっては作用が弱まったり、副作用が出たりすることがあります。
購入・服用前には必ず「使用上の注意」を読み、医師や薬剤師に相談してください。
なお、服用の際は下記のことに気をつけましょう。

【 制酸剤と炭酸飲料、牛乳 】
制酸剤は胃酸を中和するための薬です。炭酸飲料と一緒にのむと、炭酸の中和に働いてしまうため、胃酸を中和するという本来の働きが弱まります。炭酸飲料を飲んだら、前後2時間は制酸作用のある薬をのまないようにしましょう。
また、大量の牛乳と一緒にのむと、頭痛、吐き気、食欲不振などを伴うことがあります。
「薬はコップ1杯の水でのむ」ことが大切です。

【 H2ブロッカー 】
胃酸の分泌は、ヒスタミンが胃壁の中にあるH2受容体にくっつくことで起こります。
H2ブロッカーは、ヒスタミンの代わりにH2受容体に入り込むことで胃酸の分泌を強力に抑えるため、胃酸の出すぎによる胃の痛み、胸やけ、胃のもたれ、胃のむかつきに効果があります。しかし、副作用もあることから、使用に際しては薬剤師とよく相談しましょう。

一般に、以下のような人はH2ブロッカーを使うのは控えます。
 ・ 血液の病気、腎臓や肝臓の病気、胃・十二指腸の病気、ぜんそくやリウマチなどの免疫系の病気にかかっていて、医師の治療を受けている人
 ・ ステロイド剤、抗生物質、抗がん剤、アゾール系抗真菌剤による治療を受けている人
 ・ 貧血など血液の異常を医師から指摘されたことのある人
 ・ 15歳未満の子ども、80歳以上の高齢者
 ・ 妊娠している、または妊娠していると思われている人、授乳婦

その他、65歳以上の人、ほかの薬をのんでいる人、腹痛が続いている人などは必ず医師や薬剤師に相談してください。