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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その12     (平成20年6月号)
Q 整腸剤と下痢止めの違いは何ですか?

 整腸剤は腸に栄養を与えるなどして、腸の調子を整えます。下痢止めは腸の粘膜に作用して水 分を調整したり、原因菌を殺菌して大腸の動きを止める働きがあります。下痢の症状によっては合わない薬もありますので、薬剤師に相談しましょう。


◆ 下痢ってなに? ◆


水分がふつうの便よりもはるかに多く、液状に近い状態(約8割が水分 )になると下痢といいます。食べ物の消化と吸収は、小腸で行われ、水分は大腸で吸収されますが、その過程で異常が起きたときに下痢が起こります。 下痢は、ふつう急性下痢と慢性下痢とにわけられます。


●急性下痢 

急性下痢は激しいときには1日に10数回も水瀉便が出ることがあり、体の水分が不足し、ときには脳貧血をおこして、トイレでたおれてしまうこともあります。

【 原 因 】
大腸菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ性食中毒、ウイルスなどによっておこる急性の大腸の炎症(感染性下痢)や、食べ過ぎや水・アルコール の飲み過ぎ、寝冷えなどによる消化不良性(非感染性下痢)が原因となって起こります。



●慢性下痢 

慢性下痢は1日に1、2回の軟便があるという程度のものもあれば、ちょっとしたことで下痢を起こすというものもあります。また、下痢をしなくても、お腹が鳴る、お腹がはる、ガスが多い、年中便意を感じるということもあります。その他過敏性大腸炎(下痢と便秘を繰り返す様な症状)があります。

【 原 因 】
慢性下痢は消化吸収障害、腸の慢性炎症、大腸粘膜の過敏、アレルギー性下痢、薬剤性(抗生剤、利尿薬、強心薬、抗不整脈薬、自律神経薬、抗がん薬など)や放射線性などのたくさん原因があり、これらの原因が重なりあって起こることもあります。
下痢が起こったときは、下痢便に血液が混じってないか(赤痢や腸チフス、 腸炎ビブリオ性食中毒)、熱があるか(赤痢、腸炎ビブリオ性食中毒、サルモネラ食中毒など)、腹痛や吐き気があるかを確認することが大切です。こういう場合は緊急手当が必要な病気であることが多いので、すぐに 医師の診察を受けるべきでしょう。


◆ 整腸剤・下痢止めにはどんな種類があるの? ◆

●腸内細菌製剤 
腸内には、いろいろな種類の細菌(有益な細菌も有害な細菌も)が100兆個以上も住んでいて、食べたものを発酵させ、分解して栄養の消化と吸収の手助けをしています。これらの細菌の数のバランスがくずれると、有益な細菌が減少し、有害な細菌の勢力が強くなり、下痢、便秘などの胃腸障害をおこすのです。腸内細菌製剤はこのような症状を止める作用があります。このお薬は、腸液を酸性にすることで、腸内の有害な細菌を死滅させ、増殖を抑え菌数のバランスを整える作用があります。

●過敏性腸症候群治療剤 
 過敏性大腸症は、下痢や便秘、腹痛といった胃腸症状が慢性に続く病気で、ストレスなど精神的なものが原因と考えられています。この病気に利用されるのが過敏性腸症候群治療剤です。大腸の運動を促進させる副交感神経を抑制して、下痢を止める作用があります。 ガス排除剤 消化管内のガスの泡を破裂させたり、流動性を高めることによってガスの排泄を容易にして、胃腸内にガスがたまったために起こる腹部症状(腹部の膨満感、お腹がゴロゴロなる音)の改善に使用します。

●腸管の炎症粘膜を保護する薬 
 腸管の炎症粘膜面の分泌物と結合して膜を作り、炎症粘膜を保護して下痢を止めます。 また、毒物や細菌などによって産生されるガスや粘液などの有害物質を吸着することによって、腸管から有害物質が吸収されるのを防ぎ、下痢を止める薬です。

●その他 
腸管に直接働き、腸粘膜の運動のしすぎを抑えたり、腸管からの水分の吸収を促進して強力に下痢を止める作用があります。


◆ 下痢の日常生活と食事療法のポイントは? ◆

【 日常生活 】 
 ・腸の運動をしずめるため安静にしましょう。
 ・長引く時には、激しい運動や仕事、ストレスの原因となることは避けましょう。
 ・体を冷やさないようにしましょう。

【 食事療法  避けたい食品 】 
 ・冷たい飲み物、食べ物
 ・ 脂肪の多いもの:揚げ物、脂肪の多い肉や魚など
 ・ 繊維質の多いもの:穀物類、山菜類、果物など
 ・ 発酵しやすいもの:砂糖が多く含まれているもの
 ・ 消化しにくいもの:貝類、いか、たこなど
 ・ 刺激の強いもの:炭酸飲料、アルコール、コーヒーなど

【 食べても良い食品   下痢が激しいとき 】 
激しい下痢をしたり、いく日も下痢が続くと体の中からたくさんの水分が失われ栄養分の吸収も障害されるため、脱水症状が起きています。特に、乳幼児では、大人に比べて下痢や嘔吐による脱水を起こしやすいため注意が必要です。
 ・ 番茶、スポーツ飲料など水分を十分にとりましょう。
 ・ 酸味の少ない果汁などの流動食など

【 下痢が回復してきたとき 】 
体力の消耗を防ぐ為に良質のたんぱく質を十分にとり、ビタミン、無機質も不足しないように注意しましょう。
 ・ おかゆ、うどんなど
 ・ 脂肪の少ない肉、魚など
 ・ やわらかく煮た野菜など

◆ ところで、、、おならが臭い! ◆

おならは健康体の方はそんなに臭いモノではありません。キョーレツに臭いおならの原因は腸の中で悪い細菌が増えて硫化水素が発生している場合が多いようです。
他に、ニンニクやニラ料理を食べた後もおならは臭くなります。
何日も続くようでしたら整腸剤を服用して腸の細菌のバランスを整えると良いでしょう。


◆ 整腸剤・下痢止めを服用するときの注意事項 ◆

●下痢は体内の防御反応でもあります。

例えば、下痢を起こす事により、食あたりや毒物など体に悪いものを食べた時に、それらを吸収しないように急いで体外に送り出す働きがあります。
このような下痢の場合、下痢止めを飲んでしまうと有害なものを体内にとどめておくことになります。
したがって、無理に下痢を止めないで悪いものを全部体外に排泄させ、水分を十分にとり1〜3日は食事制限をして安静にする事が大事です。
下痢の治療には、食事、安静、保温などが重要で、これを守らない限り、薬を服用しても効果がありません。薬だけに頼らす、日常生活も節制するようにすることが大切です。


●下痢止め薬の中には「タンニン酸アルブミン」という成分が含まれているモノがあります。

アルブミンは牛乳の成分のカゼインから作られた成分です。そのため、牛乳アレルギーのある人は十分に注意する必要があります。
下痢の治療を行う際は、医師・薬剤師にご相談ください。
また下痢の原因には伝染病によるものもあります。ひどい下痢の場合、早めに医師の診断を受けることが大切です!