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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その19     (平成21年1月号)
Q 新型インフルエンザとは何ですか?

 動物・特に鳥類のインフルエンザウィルスが人に感染し、人の体内で増えることができるように変化し、人から人へと効率よく感染できるようになったものが新型インフルエンザウィルスです。このウィルスが感染して起こる疾患が新型インフルエンザといわれます。

新型インフルエンザウイルスはいつ出現するのか、誰にも予測することはできません。人間界にとっては未知のウイルスでほとんどのヒトは免疫を持っていませんので、これは容易に人から人へ感染して広がり、急速な世界的大流行(パンデミック)を起こす危険性があります。現時点で、こうした性質を持つ新型インフルエンザの発生は確認されていません。


◆ 普通のインフルエンザと新型インフルエンザとの症状の違い ◆

毎年冬を中心に流行するインフルエンザは、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。
さらに、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。
インフルエンザの原因となるインフルエンザウイルスには様々な種類があり、自然界においてヒト以外の動物、特にカモ、アヒルなどの水鳥を中心とした鳥類に感染しています。
インフルエンザウイルスが感染している鳥類の多くは症状はありませんが、他の鳥類に感染して症状が出た場合、それを鳥インフルエンザといいます。また、鳥インフルエンザのなかでも、鳥類が死亡してしまう重篤な症状をきたすものを高病原性鳥インフルエンザといいます。
新型インフルエンザに変異することが懸念されている高病原性鳥インフルエンザの症状としては、これまで東南アジアなどでの事例では、発熱、咳など、ヒトの一般的なインフルエンザと同様の症状に加え、下痢を認めた例もありました。また、致死率は60%以上と極めて高く、肺炎が主な死因となっています。
しかし、高病原性インフルエンザウイルスが人から人へ感染する新型インフルエンザウイルスに変異した場合、その症状の程度は、現在のところ予測が困難です。

 



◆ 過去におきた新型インフルエンザの流行 ◆

20世紀では、大正7年(1918年)に「スペインインフルエンザ」、昭和32年(1957年)に「アジアインフルエンザ」、昭和43年(1968年)に「香港インフルエンザ」、昭和52年(1977年)に「ソ連インフルエンザ」が流行しています。
これらはいずれも世界的に流行し、時に多くの死亡者(たとえば、「スペインインフルエンザ」において、世界では約4,000万人、わが国では約39万人が死亡)を出しました。
こうした「新型インフルエンザ」は、10年から40年の周期で流行してきましたが、次の新型インフルエンザがいつ出現するのか、予測することはできません。なお、過去の例を見ても、流行の季節は冬とは限りません。

 

◆ 新型インフルエンザへの対策 ◆

新型インフルエンザの大流行が起こると多くの人が感染し、医療機関は患者であふれかえり、最悪のケースにおいては国民生活や社会機能の維持に必要な人材の確保が困難になるなど、様々な問題が起こることが想定されています。これは医療体制だけの問題ではなく、経済問題、国家の安全保障の問題に及ぶ可能性もあります。
そのためWHO(世界保健機関)では、平成11年(1999年)インフルエンザパンデミック計画を策定し、平成17年(2005年)には、世界インフルエンザ事前対策計画を改訂し、各国の対応を要請しました。
我が国においても、内閣官房を中心に関係省庁からなる「新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議」が設置され、平成17年12月に「新型インフルエンザ対策行動計画」が取りまとめられました。

また、WHOでは、新型インフルエンザがパンデミックに至るプロセスを、フェーズ1(前パンデミック期)からフェーズ6(パンデミック期)までの6段階に分け、これらをパンデミックフェーズとして定義し、その警戒レベルを明示しています。現在の鳥インフルエンザの状況は、ヒトからヒトへの感染が認められないフェーズ3(パンデミックアラート期)にあたります。

 

◆ 新型インフルエンザの予防法 ◆

現状では新型インフルエンザは出現していませんが、出現した場合も通常のインフルエンザと同様に以下のような感染予防対策に努めることが重要です。
また、新型インフルエンザが流行して、外出を避けるべき事態となり、物資の流通が停滞することを想定して、普段から食料品や日用品を備蓄しておくことが望ましいと考えられます。
新型インフルエンザの患者と密に接する機会があり、感染している可能性がある方々に対しては、発症前に抗インフルエンザ薬を内服することで、発症の危険性を抑える予防方法(予防投薬)を実施することも検討されています。

1)流行前のワクチン接種:
インフルエンザワクチンは、罹患した場合の重症化防止に有効と報告されており、わが国でも年々ワクチン接種を受ける方が増加しています。

2)外出後の手洗い、うがい:
うがいや手洗いは咽頭粘膜や手指など身体に付着したインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、感染予防の基本です。外出後の手洗い、うがいは一般的な感染症の予防のためにもお勧めします。

3)適度な湿度の保持:
空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。特に乾燥しやすい室内では加湿器などを使って、十分な湿度(50−60%)を保つことも効果的です。

4)十分な休養とバランスのとれた栄養摂取:
からだの抵抗力を高めるために十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。

5)人混みや繁華街への外出を控え、やむを得ず外出する際のマスク着用:
インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人、疲労気味、睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ず外出をして人混みに入る可能性がある場合には、ある程度の飛沫等は捕捉されるため、不織布(ふしょくふ)製マスクを着用することは一つの防御策と考えられます。ただし、人混みに入る時間は極力短時間にしましょう。