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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その20     (平成21年2月号)
Q 高血圧の薬はやめられないの?

 高血圧は血管等に負荷がかかる為、脳卒中や心筋梗塞など多くの病気の原因になりますので、症状により薬で治療をします。生活習慣の見直しにより血圧は下がる場合もありますが、自己判断による薬の中断は危険です。その薬の注意点等を理解して、用法を守って服用しましょう。


◆ 血圧の基礎知識 ◆

1.「血圧」とは、血液が血管壁を押す力のことです


心臓はポンプのように血液に圧力をかけ、血管へ送り出します。血液はまず、動脈を通って全身の細胞に酸素や栄養分を運びます。次に、静脈を通って老廃物などを回収する役割を担い、再び心臓に戻ってきます。こうした心臓による血液循環で、人間の生命は維持されているのです。
「血圧」とは、この際の血液の圧力によって血管壁が押される力のことで、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の硬さ(血管抵抗)によって決まります。
心拍出量が大きくなれば血圧は上がり、血管抵抗が小さくなれば、血圧は下がるという関係にあります。

血圧を測定する際には、ふたつの値が記録されます。心臓が収縮して全身に血液を送り出す時の血管にかかる圧力を最高血圧(収縮期血圧、最大血圧)といい、心臓が拡張して血液が心臓に戻ってきた時の血管にかかる圧力を最低血圧(拡張期血圧)といいます。この二つを測ることで、体の状態を知ることができます。
 
 

2.「血圧」は、時間や環境によって変化します

血圧は1日を通じて一定ではありません。運動しているときやその直後、入浴中、仕事中など、状況によって数値は変動します。血圧管理の第1歩は、正しい血圧測定から始まります。血圧を正確に計るためには、以下のポイントに注意してください。

1. 体の力を抜いてリラックスする。
トイレを我慢しているときや、出かける直前のあわただしい時間などには血圧は上昇してしまいます。また、測定前1時間位の間には、食事・入浴・運動は避けてください。

2. 座って測定する
血圧は、「心臓の高さにある上腕の血圧を座って計測した値」が基準です。必ず座って測定しましょう。

3. 毎日同じ時間に測る
血圧は、時間によって変動するため、同じ時間に測らないと、日々の変化がつかめません。朝晩それぞれ1回は測定しましょう。

4. 信頼できる血圧計を選択する
上腕部にカフを巻くタイプのものがおすすめです。手首や指先で測る簡易血圧計は、末端の血圧は変動が大きいため、測定値を100%信頼するのは危険です。簡易血圧計は一つの目安程度に考えた方が無難です。

 



◆ 血圧の正常値は? ◆

新しい高血圧治療ガイドライン(JSH2009)では、次のように示されました。

分類収縮期 拡張期
至適血圧<120かつ<80
正常血圧<130かつ<85
正常高値血圧130〜139または85〜89
T度高血圧140〜159または90〜99
U度高血圧160〜179または100〜109
V度高血圧180≦または110≦
収縮期高血圧140≦かつ<90
成人における血圧値の分類(診察時:mmHg)

 

◆ 高血圧の治療法 ◆

まずは生活習慣の見直しを行い、改善が認められない場合は降圧薬治療を行います。他の病気(糖尿病・慢性腎臓病・心血管病等)がある方、高齢(65歳以上)や肥満やメタボリックシンドロームの方や喫煙者の場合は直ちに降圧薬治療が行われる場合があります。

≪生活習慣の見直しとは・・・≫
次の6項目を行います。患者さんの状態によっては適さないものもありますので、主治医と良く話し合って行いましょう。

(1)減塩  6g/日未満
(2)食塩以外の栄養素
   ○野菜・果物の積極的摂取*(患者さんの状態による)
     コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
   ○魚(魚油)の積極的摂取
(3)減量  BMI{体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))}が25未満
(4)運動  中等度の強度の有酸素運動を中心に定期的(30分/日以上)行う*
       (患者さんの状態による)
(5)節酒  エタノールで男性20〜30、女性10〜20ml/日以下
(6)禁煙

  
 

◆ 主な降圧薬の種類と特徴 ◆

よく降圧薬、血圧降下剤、降圧剤などと言われる様々な高血圧の治療薬は血圧の高さなどによって一律に処方されるものではありません。体調や合併症の進行度合いなどによって、医師の判断で個別に処方します。自分勝手な判断は避け、正しく、決められた量を飲むようにしましょう。

治療薬の種類効果注意事項
カルシウム拮抗剤細胞内カルシウムイオン濃度を低下させることにより、血管を拡げ、血圧を低下させます。現在、最も多く使用されている降圧剤です。顔面紅潮、ほてり感、浮腫などが起きることがあります。グレープフルーツジュースなどで作用が強くなる薬があります。
アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)強力に血圧を上昇させるホルモンを産生するレニン・アンジオテンシン系の作用をたち切り、血圧を低下させます。空咳(からせき)が起きることがあります。※妊婦は使用できません。
アンジオテンシンII拮抗薬ACE阻害薬を改良した薬で同様の効果が期待できます。空咳(からせき)が起こりにくいです。※妊婦は使用できません。
利尿薬高血圧の原因である塩分(ナトリウム)を尿とともに排泄させ、血液の量を減少させることにより血圧を下げます。耐糖能の低下、血中の尿酸値の上昇、高脂血症などの代謝に影響することがあります。
β-遮断薬心拍数を減らし、心拍出量を低下させることにより、血圧を低下させます。徐脈(一分間の心拍数が50未満)が起きることがあります。 ※喘息の患者さんは使用できません。
α1遮断薬収縮している末梢血管を拡張させ血圧を低下させます。起立性低血圧による、立ちくらみやめまいを起すことがあります。
※この他に、2種類の薬を配合してある薬もあります。(アンジオテンシU受容体拮抗薬+利尿薬)

※薬についてわからない事は、かかりつけ薬剤師に相談してください。