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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その36     (平成22年6月号)
Q 「薬物乱用」ってどういう意味ですか?

 薬物(くすり)は、基本的には治療や検査のために使われます。それを遊びや快感を求めるために使用すれば乱用となります。たとえ1回使っただけでも乱用にあたります。



◆  薬物乱用とは?  ◆

 薬物乱用とは、医薬品を本来の医療目的から逸脱した用法や用量あるいは目的のもとに使用すること、医療目的にない薬物を不正に使用することをいいます。

もともと医療目的の薬物は、治療や検査のために使われるものです。
それを遊びや快感を求めるために使用した場合は、たとえ一回使用しただけでも乱用にあたります。

薬物乱用のおそろしさは、単に乱用者自身の精神や身体上の問題にとどまらず、家庭内暴力などによる家庭の崩壊、さらには、殺人、放火等悲惨な事件の原因にもなり、社会全体への問題と発展してしまうことです。




◆  薬物依存症とは?  ◆

最初の使用で気持ちよさを味わうと、ついまた使いたくなります。
そして、高揚感を求 めたり、あるいは気分の落ち込み・イライラ・不安などを解消するために、薬物を求めるようになっていきます(精神依存)。

こうして使用 を続けるうちに、それまでと同じ量では効き目が現われなくなり、以前のような効 果を得るためにはもっと多くの薬物が必要になります(耐性の形成)。

アルコールや睡眠薬・ヘロインな どは、摂取をやめると非常に苦しい離脱症状が出現します(身体依存)。

この離脱症状を緩和するために、また薬物を摂取してしまうのです。 これが、薬物依存症の進行プロセスです。

依存症という段階にいったん足を踏み入れたら、意志の力で使用をコントロールすることはできなくなります。

たとえ一時的に使用をやめたり、薬物の種類を変えたり、量 を変えたりしてコントロールしているかに見えても、結局は元のような使用に戻ったり、別 の薬物にすりかわっただけだったりします。

そしてやがては生活のすべてを犠牲にしても薬物を求めるようになります。

薬物依存症は、意志や人格の問題ではなく「病気」です。
まだ大丈夫と思っているうちに、その人の体・心・生活のすべてを壊し、家族や周囲の人を巻きこみながら進行して、やがて死にいたります。
回復のためには、専門的な治療や援助が絶対に必要なのです。


◆ 薬物にはどんなものがあるのですか?  ◆

覚せい剤やシンナーなどの違法薬物だけでなく、アルコール、たばこ(ニコチン)のように嗜好品に位置づけられているものや、せきどめ薬などの市販薬、睡眠薬・抗不安薬のような処方薬も含まれます。

また、日本では、薬物を取り締まる主な法規として、
麻薬及び向精神薬取締法、覚せい剤取締法、大麻取締法、あへん法、毒物及び劇物取締法及び薬事法があり、規制対象となる薬物がそれぞれの法律で定められています。

 ≪ 乱用される薬物の種類 ≫
薬物名 中枢神経への作用  規制 
覚せい剤  興奮  覚せい剤取締法 
大麻  抑制 大麻取締法  
コカイン 興奮  麻薬及び向精神薬取締法 
ヘロイン 抑制 麻薬及び向精神薬取締法 
あへん 抑制 あへん法  
LSD 興奮 麻薬及び向精神薬取締法 
MDMA・MDA  麻薬及び向精神薬取締法 
向精神薬  麻薬及び向精神薬取締法 
有機溶剤  抑制  毒物及び劇物取締法  
アルコール  抑制 未成年者飲酒禁止法  
たばこ(ニコチン)  興奮 未成年者喫煙禁止法 



◆ 薬物を乱用するとどうなるのですか?  ◆

薬物は、中枢神経系に作用し、乱用したときの快感を得るため、また、乱用をやめたことによる苦痛から逃れるため、薬物を強く求めるようになる「依存性」が形成されます。

また、薬物を繰り返し使っているうちに同じ量では効かなくなる「耐性」が生じます。

「たった一度」という好奇心や遊びのつもりで始めても、薬物の依存性と耐性によって、乱用する量や回数がどんどん増えていくという悪循環に陥り、自分の意志でやめることができなくなります。

また、乱用をやめても、睡眠不足や過労、ストレス、飲酒等をきっかけに、幻覚、妄想などの精神異常が突然現れること(「フラッシュバック」)もあります。

薬物は、それを乱用する人間の精神や身体をぼろぼろにし、人間が人間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては死亡することもあります。

また、薬物乱用による幻覚、妄想が、殺人や放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こすことがあるなど、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害を及ぼしかねません。


◆ 薬物に手を出さないために  ◆

○甘い誘いに気をつけよう

薬物の密売人は、大人だけでなく、少年をもターゲットにします。
また、密売人はあらゆる手を使って薬物を売ろうとします。
一見サラリーマン風の身なりでやさしく語りかけてきたり、
「このクスリを飲むとやせてキレイになるよ」
「このクスリを飲むと頭がスッキリとして勉強がはかどるよ」
「一度だけでも試してみませんか」などの言葉で誘惑したりします。

○呼び方(隠語)にだまされるな!!

薬物は、「覚せい剤」「大麻」など、本来の呼び名ではなく、様々な隠語でよばれることがあります。
薬物と知らずに手を出してしまって、人生を台無しにしてしまう人も後をたちません。
かっこいい呼び名に惑わされて、安易に手を出してしまうことがないように気をつけましょう。

○「ダメ!ぜったい!!」と断る勇気をもとう

薬物乱用は、友人や先輩から誘われて、つい始めてしまうケースがとても多いのです。
おもしろそうだとか仲間はずれになりたくないとか、そういう気持ちがついつい薬物に手を出してしまうことになります。
悪い誘いをする人は、自分にも罪悪感、孤独感があるのです。

「ぜったい断るぞ」という意思を強く持てば相手にも伝わるはずです。
「悪い誘いを断ること」は悪いことではないのです。
たった一人の自分を守るために、断る勇気を持ってください。