←トップページに戻る

今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その49     (平成23年7月号)
Q 痛風の時、ビール以外のお酒は飲んでも大丈夫?

  アルコール飲料は、痛風の原因となるプリン体の含有量が少ない種類でも、尿酸値を上昇させてしまいます。飲み過ぎは控えてください。生活習慣の改善とお薬をきちんと服用することが重要です




◆ 痛風の原因(高尿酸血症)  ◆

血液中の尿酸が上昇した状態を高尿酸血症といいます。
さらこの状態が続くと尿酸塩の結晶ができ、それが関節に沈着すると、関節が炎症を起こして激しく痛みます。これが痛風です。

尿酸は細胞内の核酸物質が分解されたときの副産物で、体内では細胞の分解と再形成を繰り返しているため、少量なら血液中に存在します。
また、体内では食品に含まれるプリン体と呼ばれる物質が尿酸に作り替えられています。

血液中の尿酸値は、腎臓が尿酸を尿とともに排泄しきれなくなると高くなります。尿酸値が7.0mg/dl以上になると高尿酸血症と診断されます。

 男性に多くみられ、 我が国の30歳以上の男性では、高尿酸血症の頻度は30%、痛風の有病率は1%を超えていると推定され、年々増加傾向にあります。

また、持病や薬(利尿薬など)の使用によって、腎臓での尿酸の排泄機能が低下し、それが原因で尿酸値が上昇することもあります。


◆ 痛風の症状  ◆


痛風は、ストレスとアルコールやプリン体を多く含む食品の多量摂取、基礎疾患などが誘因となり突然発症します。

典型的な症状としては1つの関節(足の親指の付け根など)または複数の関節に突然激しい痛みを生じ、特に関節を動かしたり、関節にさわったりすると激痛を感じます。

発作が繰り返されると、関節が変形してしまうこともあります。また、痛風の患者では、尿酸が固まってできた腎臓結石が生じることがあります。

糖尿病や高血圧といった腎臓にも障害を与える病気がある人では、腎機能の低下が進み尿酸の排泄が低下し、痛風や関節の障害をいっそう悪化させます。

 



◆ 高尿酸血症の分類  ◆


高尿酸血症は体内での尿酸の生産量が増加した「尿酸生産過剰型」、
尿中への尿酸の排泄が低下した「尿酸排泄低下型」、
さらの両者が混在した「混合型」に大別され、
それぞれ12%、60%、25%、さらに正常型が3%との報告があります。



◆ 痛風の治療  ◆


(1)痛風を発症した場合、まず初めにお薬で炎症をコントロールして、痛みを軽減します。

痛風の発作中は、できるだけ患部の安静を保ち、患部を冷却します。また禁酒を指示されます。
尿酸排泄薬と尿酸産生抑制薬は治療を開始するときに痛風発作を誘発することがあるため、注意が必要です。

 ◆痛風の炎症を抑える薬◆

   ▼非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)


非ステロイド性抗炎症剤は、痛風発作による痛みを緩和する為に処方されます。
発作が起こったときに対症療法的に投与し、関節の炎症が軽快すれば中止されます。
非ステロイド性抗炎症剤は、投与量が多くなる副作用として胃腸炎を起こすので慎重に使用しなければなりません。
なおアスピリンは尿酸の排泄を阻害する作用があるため使用しません。

   ▼副腎皮質ステロイド

副腎皮質ステロイドは、非ステロイド性抗炎症薬が使用できなかったり、炎症が抑えられないくらいに痛みが強まった時に使用されます。

   ▼コルヒチン ®

痛風の発作を、抑える作用があり、痛風を経験し、発症の前兆が分かる場合、1錠服用することで、発作を軽くすることができます。
また発作が頻発する場合は毎日1錠づつ服用することもあります。



(2)炎症が治まったら、再発を予防します。
生活習慣の見直しと、高尿酸血症を改善する薬を服用します。

◆生活習慣の見直し◆


最近の研究では、さまざまな生活習慣が、痛風の発症に関連することが分かってきました。
特に肉類摂取量が多い、アルコール摂取量が多い、砂糖入りソフトドリンク摂取量が多いなどは痛風発症を増加させ、逆に乳製品、コーヒー摂取量が多い、などは発症を低下させることも分かってきました。

また血中の尿酸値の上昇に伴ってメタボリックシンドロームの頻度が増加することも明らかになってきました。

基本的にはアルコールの摂取を控える、肥満のある人は体重を落とす、血液中の尿酸値を上昇させる薬の服用をやめる、肉などのプリン体を多く含む食品を少なくする、といったことが重要です。

尿酸結石の予防としては、水分を1日2〜2.5リットル以上とることも大切です。

◆高尿酸血症を改善する薬◆

原則として、高尿酸血症の「尿酸排泄低下型」では尿酸排泄促進薬、「尿酸生産過剰型」では尿酸産生抑制薬が用いられます。

 ▼尿酸排泄促進薬

プロベネシド(ベネシッド ®)やベンズブロマロン(ユリノーム ®など)といった尿中に尿酸を排泄させる薬は、尿酸の排泄を促進して血液中の尿酸値を下げます。
尿酸排泄薬は血液中の尿酸濃度を下げますが、尿中の尿酸濃度は上がります。そのため尿路に尿酸結石できやすくなるため、水をたくさん飲むようにします。 
また炭酸水素ナトリウムやクエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和(ウラリット配合錠 ®など)といった尿をアルカリ性にする薬を併用して、尿酸を溶けやすくして、尿路に結石ができにくくすることもあります。

▼尿酸産生抑制薬(アロプリノール)

アロプリノール(アロシトール ®、ザイロリック ®など)は体内で尿酸の生成を阻害し、特に尿中の尿酸排泄量が多い人、尿路結石がある人、腎機能障害のある人に適しています。




◆ プリン体の多い食品とアルコール飲料  ◆


・食品中の「プリン体」は細胞中に存在しますから殆どの食品に含まれます。
特に細胞数が多いものや細胞分裂の盛んな組織にプリン体が多く含まれています。

レバーやモツなどの内臓、アンキモ・イクラ・シラコなどの魚の卵巣・精巣などは細胞数が多い食べ物です。
エビ、イワシ、カツオといった一部の魚介類もプリン体を多く含む食品です。
魚の干物は乾燥されて細胞が凝縮されていているだけでなく、内蔵も丸ごと食べることになりますから、尿酸値が高い高尿酸血症・痛風の人にとっては注意が必要な食べ物です。

・「アルコール飲料」は、プリン体の有無にかかわらず、尿酸の産生を高め、尿からの排泄を抑制する働きがあり、尿酸値を上昇させてしまいます。
種類を問わず過剰摂取は厳に慎む必要があります。
特にビールはプリン体を多く含み、他の酒類よりも高エネルギー飲料であるため、注意が必要です。
1日日本酒1合、ビール500ml、ウイスキー60ml程度が尿酸値への影響を最小限に保つ目安と考えてください。



※ 高尿酸血症・痛風は、生活習慣の改善とお薬をきちんと服用することで治療することができます。
しっかりと治療を続けましょう。また、お薬について不安な事がありましたらぜひ薬剤師にご相談ください。