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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その54     (平成23年12月号)
Q うつ病の薬は続けていても大丈夫ですか?

  うつ病の治療は時間がかかります。薬を長期間継続しても心配ありません。薬を自己判断で調整、中止する事は危険です。焦らず治療していきましょう。




◆ うつ病とは?   ◆

うつ病は誰もがかかる可能性のある病気です。特にまじめで几帳面な人がかかり易いといわれており、20歳以上の日本人を対象に行った調査では、約13人に1人はうつ病を経験するといわれています。

しかし、日本では「うつ病になるのは心が弱いから」「甘えがあるから」と言われやすく、また本人も「周囲に知られたくない」と考えてしまい受診される患者さんが少ないのが現状です。
 

◆ 症状は?  ◆


誰でも「気分が滅入る」「元気が出ない」事があります。
健康であれば、不安原因の解決や気分転換により数日で回復します。しかし、うつ病では気分の落ち込みが強く、その状態が1〜2週間持続します。そして日常生活にも支障をきたす様になり、不眠症状や食欲不振、痛み、吐き気、便秘、下痢などを起こす事があります。

主なうつ症状
精神症状:「無気力、無関心、食欲低下、イライラ感がつのる、物事を悲観する等」
身体症状:「不眠、疲労・倦怠感、頭痛・肩こり・腰痛、便秘・下痢、食欲不振等」




◆ 原因は?  ◆


過労や職場での移動、身近な人の病気や死亡、離婚等の苦しい出来事が原因になる事や、逆に昇進、結婚、こどもの独立等の人生の転機が原因になる事があります。

情報は神経線維から次の神経線維への伝達で繋がっていますが、この神経伝達物質である「セトロニン」と「ノルアドレナリン」が減少すると、気分や意欲の低下が起きる事が分かっています。

すなわちストレスにより脳内の神経の伝達がうまくいかなくなって「うつ病」が発症すると考えられています。
 


◆ 治療薬は?   ◆


治療薬は主として精神安定剤や抗うつ薬が使用されますが、現在気になっている症状の薬(頭痛:鎮痛薬、不眠:睡眠剤等)が併用されます。
ここでは抗うつ薬で代表的なお薬についてまとめておきます。

1.三環系抗うつ薬:最も古くから使用されています。副作用として眠気、口渇、便秘があります。これを利用して夜間の頻尿の治療に用いられる事があります。

2.四環系抗うつ薬:三環系の構造式に環を一つ付けた薬で、効果は三環系と同じくらいですが、副作用が軽いといわれています。

3.SSRI:脳内のセロトニンの再取り込みによるセロトニンの減少を抑える薬です。副作用として薬の飲み始めに吐き気が起きる事があります。

4.SNRI:脳内のセロトニンとノルアドレナリンの両方の再取り込みを抑えるお薬です。作用はSSRIより強いといわれています。副作用はSSRIとほぼ同じです。

5.その他:脳内のドパミン神経を抑えたる薬、中枢の神経を興奮させる薬等があります。
 


◆ 治療での注意   ◆


症状が良くなると勝手に薬の量を減らす方や、周囲の人からもう薬を止めても大丈夫と言われて止める方がいます。
こうした自己判断により薬を調整する事は、うつ病を悪化・再発・慢性化させる原因にもなります。

最近はうつ病の自覚症状に対して即効性のある薬が使われています。
しかし脳内の神経伝達物質の減少が元に戻るには数ヶ月の時間がかかります。そして、症状が落ち着いて改善してから徐々に時間をかけて薬を減らしていきます。

医師や薬剤師の指示に従ってきちんと薬を続けてください
 


◆  最後に  ◆


自殺に傾く人のうち、うつ病・うつ状態と推定されている方の割合が多いといわれています。

うつ病の症状で最も自覚し易い症状は「不眠」です。
不眠の状態が続くのであれば、まずは内科、神経内科、精神科などにこだわらず、受診しやすい医療機関でまず相談してみて下さい。

もし、かかりつけの病院・医院が無い場合はお近くの薬局にご相談してみて下さい。早期治療が速やかな回復につながります。