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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その61     (平成24年7月号)
Q 最近おしっこが近いのですが・・・

  それは「頻尿」という症状かもしれません。頻尿の原因は、精神的な理由の場合や、炎症の場合、病気から引き起こされている場合など様々です。原因によって治療方法も違いますので、医師・薬剤師にご相談ください。




◆  1.頻尿とは  ◆  

正常な人の排尿の頻度は、人によって多少の差はありますが、だいたい1日7回程度が通常であるとされています。
といってもこれは昼間のことです。

人間の体は、ゆっくり睡眠をとることができるよう、夜間は尿の製造量を控えるようにできています。よって、夜間に一度でも排尿のために眼が覚めるようであれば、昼間の排尿頻度が少なくても、頻尿の症状が出ていると考えてみるべきです。

ただし、尿の頻度は夏場、入浴、スポーツ、利尿作用のあるコーヒー等の飲食などにより変わります。
1日約7回程度はあくまでも平均値・目安として考えてください




◆  2.頻尿の原因  ◆  

1)神経性の頻尿

「緊張するとトイレが近くなる」。
これは一種の神経性の頻尿といえます。

また、もう少し複雑な原因も考えられます。
「トイレに行きたい」と感じるのは、脳の働きです。ですから、脳からの信号がきちんと膀胱に伝えられない場合も、頻尿の症状が出てしまうことがあります。

これは脳梗塞や、脳出血、クモ膜下出血などの病気が原因であることもありますし、その他の脳神経のダメージによることもあり、一概に言えるものではありません。

このような神経系の頻尿は、「過活動膀胱」という症状を引き起こし、頻尿の原因となってしまうことがあります。

これは、膀胱の筋肉が勝手に収縮してしまうという症状なので、かなり激しい尿意を覚え、我慢できずに失禁してしまう場合もあり深刻です。

過活動膀胱による失禁を、「切迫性尿失禁」と呼び、この症状が続くと、ついつい早めにトイレに行こうとしてしまい、結果的に頻尿となります。




2)病気による頻尿

前立腺肥大症による頻尿は中高年の男性に多く起ります。

前立腺は男性にしか存在しません。
ここになんらかの理由でしこりができると、前立腺自体が肥大し膀胱の出口や尿道を圧迫します。
それにより、尿道が緊張し、尿の排出される量が減ってしまいます。

症状としては、「ちょろちょろとしか尿が排出されない」となり、そのことにより、「なんとなく尿の切れが悪い」「トイレに向かっても、なかなか尿が出てこない」「排尿に時間がかかる」といった影響が出てきます。

このまま放っておくと、尿道が完全に詰まってしまう、尿閉といった症状にまで発展することもあります。

また、出にくい尿を無理に出そうとするため、脳が無理をしすぎて、過活動膀胱になってしまうこともあります。

また、前立腺のがんである可能性もあります。




3)年齢・加齢からくる頻尿

年齢・加齢により、頻尿となる理由は一つだけではありません。

@運動をしなくなるということがあげられます。
 ほとんどの方は、加齢により体に無理がきかなくなり、運動量が減ります。すると汗をかく量が減り、排出される水分の多くが、尿として排出されます。

A男性の場合、加齢とともに発症しやすい前立腺肥大症が原因となっている場合があります。

B女性の場合、前立腺はないのでほかの原因が考えられます。
 中高年の女性に、夜中などに頻繁にトイレに行きたくなるという、過活動膀胱の症状がよく見らます。
残念ながらこの原因はまだ解明されていません。




4)細菌感染による頻尿

急に症状が出るようになった頻尿の場合、細菌感染が原因である可能性が高いです。

細菌感染による頻尿の病名としては、「膀胱炎」「尿道炎」「前立腺炎」などが挙げられます。

これら細菌による炎症の場合、排尿のときに痛みを伴うことがありますし、普段から下腹部に鈍痛を感じることもあります。
また尿がにごるなどのはっきりした症状がでることもあります。
これらの病気の場合、鋭い尿意を感じて漏らしてしまうといったこともありますので、なるべく早い受診が必要です。

膀胱炎は女性に多い病気で、前立腺炎は男性特有の病気です。




5)残尿感を伴う頻尿

頻尿を自覚していて、なおかつ残尿感があるという場合は、尿道が細くなる病気にかかっている可能性があります。

これは、前立腺の病気、肥大症やがんなどにより引き起こされることもありますが、そのほかにも、尿道狭窄や、膀胱結石の場合もあります。

また、脳梗塞や脳内出血などの病気の直後にも見られますし、薬による副作用の場合もあります。

さらに、尿の量が少ないといった症状がひどくなると、尿閉という状態になることがあります。
これは、尿がまったく出ないというつらい症状で、原因は、残尿感が残る場合と同じように、前立腺肥大症状や前立腺がん、尿道狭窄・膀胱結石、脳こうそくや脳内出血などの直後、薬の副作用などですが、その他に、「急性尿閉」と、「慢性尿閉」という区別があります。

急性の場合は、たとえば前立腺肥大症の人が体を冷やすなどのなんらかの原因で引き起こされ、痛みがありますから気づきやすいのですが、慢性の場合はゆるやかに症状が出ますので、気づかないことがあります。

日頃から尿の出をチェックしておくようにしてください。




6)間質性膀胱炎による頻尿

間質性膀胱炎は、膀胱に炎症が起きて、頻尿や膀胱の痛みに発展するものです。

この炎症は細菌によるものではありません。症状としては、尿が溜まっている時点で、すでに痛みがあることがあげられます。

普通の膀胱炎のときは、排尿時にするどい痛みがあったりしますが、間質性の場合は、トイレを我慢しているときに痛みがひどくなります。

また、軽い場合は、過活動膀胱と似ていて、主に頻尿という症状として表れます。

ただ、間質性膀胱炎の場合は、畜尿量がほんの少しでも不快感があります。
その上、トイレで排尿を済ませてもまだ、しつこく不快感が持続します。




7)腰痛を伴う頻尿

頻尿と腰痛が同時に起こるようであれば、尿道結石を疑うべきでしょう。

尿道結石とは、その名の通り、尿道に石がつまる病気です。

尿の成分にはカルシウムやアミノ酸成分などといったものが含まれていて、これが時間をかけて固まり、石となります。
尿道は普通であれば水分が通る道ですから、ここを石化したものが通り抜けるとなると、激痛や疝痛が起きます。

そして、この病気が腰痛を引き起こすということは一般的にはあまり知られていません。

これは、尿道結石により尿道が傷ついて炎症を起こすことにより、腰の筋肉が引っ張られ、痛みを起こすというものです。




8)妊娠時の頻尿

女性の場合、月経などにより、頻尿の症状が出ることがあります。

特に妊娠中は、胎児により膀胱が圧迫され、尿意を感じやすくなり、頻尿になる場合があります。




9)冷え症の人の頻尿

冷え症の女性が頻尿になるのは、寒い朝に血管や筋肉の弾力が失われることにより、膀胱や膀胱周りの排尿筋も弾力をなくしてしまい蓄積できる尿の量が減ってしまうことによるものです。

もう一つ、冷え症の人は一般的に汗をあまりかかない人が多いため、水分が排出されるのは、呼気と尿に限定され尿の量が増えてしまうということがあります。



10)心因性による頻尿

心因性の頻尿になる人は、トイレの回数が多いことが恥ずかしいと思ったり、病気ではないかと心配したりすることで、そのことが膀胱に意識を集中させることとなり、結果的に、もっと頻繁に排尿の欲求が高まってしまいます。

頻尿を自覚すればするほど、尿の頻度は高くなってしまうということになります。



11)糖尿病による頻尿

糖尿病の患者さんが頻尿になるのは、血中の糖度が常に高い状態であったり、血の粘度が高く、血液が流れにくくなる状態であったりを、脳がそれを解消ようとして信号を送ることにより、異常にのどが渇き、多量の水分を摂取することによります。

人間の体内の水分が排出されるには大きく二通りあります。汗と尿です。

ですから、糖尿病の方は汗かきにもなりますが、同時に頻尿の症状も出てしまいます。





◆  3.頻尿の主な治療法  ◆  

1)ストレスが原因の頻尿の治療と対策

さまざまな検査を受け、治療をし、それでも治らない場合は、ストレスが原因であると判断します。

ストレスは、心の問題ではありますが、同時に体にもさまざまな反応を引き起こします。

自律神経の失調により、血管が縮こまり、血流が悪くなってしまいます。
そのことが冷え症を引き起こし、頻尿につながったりします。

しかし、ストレスの治療のためには、ストレスの原因を知ることが大切です。
カウンセリングを受けるのが一番良いのでしょうが、そこまでではないという場合、まず、排尿の記録をつけてみてください。

何時にトイレへ行ったか、排尿しきるまでにどれほどの時間がかかったかなど、記録に残してください。
そうすると、ある特定のときに限って、尿意を感じているようだということがわかるかもしれません。

その場合、その特定のときにストレスを感じている可能性が大きいのです。

ストレスの原因がわかれば、それを取り除いたり、ストレスを軽減する方法を考えることができるかもしれません。




2)頻尿の手術

重度の前立腺肥大症が原因で頻尿となっている場合は、手術が必要となります。

肥大してしまった前立腺は、薬では元にもどらないため、削り取る必要があります。

ただし、前立腺を削ってしまうと、精液が尿道から出なくなってしまいます。



3)漢方薬で頻尿を改善

@膀胱炎や尿道炎など細菌が原因となる炎症により頻尿となっている場合、抗生物質で細菌を殺し、死んだ細菌を尿として体外に排出するために、漢方薬が大変有効です。

A尿道括約筋の衰えが原因の頻尿であれば、漢方はとても有効です。漢方には衰えた筋肉を復活させる働きを持つものがあります。

B女性の場合、冷え症のために頻尿になるという人が多くいます。この場合も漢方薬は大活躍します。




4)病気を治療して頻尿を治す

頻尿の原因となる病気には、前立腺の病気や、尿道炎・膀胱炎・前立腺炎、糖尿病などがあります。

@前立腺の病気の中でも、重度の前立腺肥大症であるとか、前立腺がんの場合は、手術により病気の治癒とともに、頻尿も改善されます。

A軽度の前立腺肥大症や、尿道炎・膀胱炎・前立腺炎などの場合は、薬の投与でかなり症状が改善、もしくは完治し、頻尿も治ります。

B糖尿病の場合は、頻尿になる原因が「水の摂取しすぎ」であることから、糖尿病を改善しても、頻尿は治らないということがあります。







◆  4.頻尿の薬  ◆  

1)頻尿の薬あれこれ

頻尿の原因が細菌の炎症(膀胱炎や尿道炎など)である場合は、抗生物質を投与します。

原因が細菌ではない場合は、薬によって病状を治すのではなく、間接的にその症状を抑える抗コリン剤や、膀胱平滑筋弛緩薬を使用します。

抗コリン剤はアセチルコリンの働きを阻害し、膀胱が異常に収縮してしまうのを防ぎます。

膀胱平滑筋弛緩薬は、膀胱の平滑筋を直接的に弛緩させ(膀胱が広がる)、蓄積できる尿の量を増加させます。
結果、これらのお薬が頻尿を改善するというわけです。



2)冷え性による頻尿には漢方

女性の頻尿の多くが冷え症によるものですが、その冷え症の原因はさまざまです。

よって、決定的な薬を選ぶのはなかなか困難です。
漢方薬は、自然の生薬をもとにしているので、効き目は緩やかですが、全体的に作用します。

精華牛車腎気丸は、四肢の冷え、尿量減少または多尿、頻尿のほか、むくみなどに優れた効き目があります。

そのほか冷え症対策の漢方薬として、「葛根」があります。
これを飲むと汗がたくさん出て、体温があがり冷え症に効きます。



おわりに

以上のように、頻尿の原因やその治療法も様々です。

「おしっこが近くなった」と感じたら、まずは医師、薬剤師に相談してみましょう。



引用:頻尿.net(一部改編)