←トップページに戻る

今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その64     (平成24年10月号)
Q  漢方薬を試してみたいのですが、効果はあるのでしょうか?

  漢方薬は、複数の生薬を組み合わせていますので、様々な作用が体のバランスを整え治療効果を高めるとの報告があります。医療保険での治療もできますので、まず薬局で相談してみましょう。




◆  漢方薬とは?   ◆  

漢方薬とは幾つもの生薬(基本的には2種類以上)を組み合わせて作られたお薬です。

漢方薬には飲み薬だけでなく塗り薬、入浴剤として使用されるものもあります。
よく使用される飲み薬には煎じ薬(天然にある薬草などを加工した物又はその抽出液)とエキス製剤(抽出液を飲み易く加工した顆粒製剤)があります。



◆  漢方医学の考え方  ◆  

漢方医学の基本的な考え方に「陰と陽」があります。

世の中は「天と地」「昼と夜」「男性と女性」等でバランスがとれいるので秩序が保たれいて、このバランスが乱れると災いが起きると考えています。
人間の体もバランスがとれている(生体の恒常性)時は良いのですが、バランスが乱れると「病気」になり、このバランスを回復させるのが漢方薬とされています。





◆  漢方医学の診断(証)について  ◆  

西洋医学は血液検査、画像診断、臓器の状態等生体情報の収集をして病名を決めて治療がされています。

これに対し漢方医学では患者さん全体の異常を重視し、患者さんの状態「証」を決めて治療を行います。この「証」を把握する為に様々な「物差し」が使われます。

物差し@「虚実」:体質または闘病反応が弱いのか、強いのか
物差しA「寒熱」:体調または全身状態が冷えているのか、熱しているのか。
物差しB「表裏」:病気の部位が表(皮膚・筋肉・関節等)か、裏(体深部・下部消化菅等)か。
物差しC「気血水」:気(生体エネルギー・気力)が不足していないか、滞っていないか、満ちすぎていないか。血(赤色の液体・血液)が不足していないか、滞っていないか。水(無色の液体・体液)の滞っていないか、偏在していないか。

これらの物差しを組み合わせて「証」が決定されます。




◆  漢方薬と西洋薬について  ◆  

西洋薬の多くは単一の有効成分であり、血圧を下げたり、血糖をコントロールしたり、熱や痛みを取り除く等の症状や病気に対して強い作用を示します。
この為西洋医学では、同じ原因や症状をとり除くために同じ薬が処方されます。

しかし漢方薬は、複数の生薬を組み合わせているので、それぞれの生薬が含んでいる多くの有効成分がバランスよく働き、さまざまな作用を示します。

よって漢方医学では、複数の病気や症状に対する治療に有効で、慢性的な病気や全身的な病気の治療など複雑多彩な症状に効果を発揮します。
この為、違う病気に対しても、体質や症状が似ていれば、同じ漢方薬が用いられることがありますし、逆に患者さんの体質やそのときの状態によって、漢方薬の内容が変更されることもあります。





◆  漢方薬を飲む時のポイント  ◆  

漢方薬は通常「食前または食間」に飲むように指示されます。
これには幾つかの説があります。

「1.煎じ薬(生薬を煮て抽出した液)の量が多い為食後に飲みきれない」、
「2.食後だと食事の影響を受ける場合がある」、
「3.古典の記載では「食前服用」の記載があるものの「食後服用」の記載が無い」
等が理由とされています。

とは言え食前に飲むことで胃の不快感や消化器症状が出る場合や、飲み忘れが多くなる場合には、食後の服用を指示されるケースがありますので相談してください。

また漢方薬の名前に「湯」とついている場合は、お湯に溶かしたりぬるま湯で飲まれたほうが効果の高くなる場合があります。





◆  最後に  ◆  

漢方薬は「長く飲まないと効かない」と言われがちです。
それは漢方薬が天然成分を使用しているので作用が緩やかだろうと考えてしまう事や、漢方薬で治療を受ける多くの患者は慢性の難治性の病気であり、治療が長期化しやすい為かと思います。

しかし効き目の早い漢方薬などでは飲んでから30分以内に変化が見られることがあります。急性疾患の場合は2〜3日、慢性疾患の場合は2〜4週間を目安に服用してみてください。

また漢方薬は「副作用は無い」と思われている方もいます。全く副作用の無い薬はありません。
もし「証」に合わない漢方薬を飲まれた場合はだるさ・腹痛・咳・むくみ等が現れる事があります。
きちんと診察を受けて漢方薬を有効に使いましょう。