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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その68     (平成25年2月号)
Q  解熱用の坐薬を上手に入れる方法を教えて下さい。

 
坐薬を取り扱うときはその前後に必ず手を洗います。
坐薬のすべりが悪いときは、少し手の中で温めたり、先端に水やベビーオイルをつけると挿入しやすくなります。
坐薬を包装から取り出し、ティッシュペーパー等でつまみ、先のとがった方から肛門に挿入します。
挿入後は排出されないよう、そのまま少しの間肛門部を軽く押さえて、動かないようにしてください。


◆  坐薬の種類について  ◆  

坐薬とは肛門や膣から挿入する薬です。痔の治療に使用するような、体の一部分にはたらくものや、解熱剤のように全身にはたらくものがあります。
今回は肛門から入れる坐薬について説明します。

○体の一部に働くもの
(直腸粘膜から薬は吸収されず、直腸内に留まって効果を発揮します。)

 ・痔疾患の症状を和らげるもの
 ・便秘を改善させるもの
 ・潰瘍性大腸炎の治療にもちいられるもの

○全身に作用するもの
(直腸粘膜より速やかに吸収され、全身に作用します。)

 ・炎症を抑えたり、痛みを和らげるもの
 ・熱を下げるもの
 ・吐き気を抑えるもの
 ・感染症の時に使用するもの
 ・けいれんの時やけいれんの予防に使用するもの
 ・不安な時に使用するもの



◆  坐薬が用いられる理由は?  ◆  

飲み薬ではなくわざわざ坐薬を使用するメリットには以下の理由があります。

・直腸部の粘膜から吸収され、体内に入った薬物は肝臓での分解を受けにくく、お薬を効率よく患部にとどけることができること。

・飲み薬と比べ、一般的に体内への吸収が早いこと (油脂性基剤の場合)

・飲み薬と違い、胃を通過しないため胃腸の障害が発生しにくいこと

・薬を飲むのを嫌がる小児や飲み薬を上手に飲むことが難しい老人、体調が悪く飲み薬を飲むことができないような時に使いやすいこと

・味や臭いの良くない薬剤でも使いやすいこと

・食事の影響をうけにくいこと

などの理由があげられます。




◆  坐薬を挿入する前の注意は?  ◆  

●坐薬が出された場合、冷所保管の必要があるものは、自宅に戻ったら直ちに冷蔵庫に入れてください。温度により柔らかくなったり、変形したりします。また薬の安定性に影響する場合もあります。

●坐薬を取り扱うときその前後は必ず良く手を洗ってください。

●便秘用の坐薬以外はできるだけ排便を済ませた後に挿入します。定期的に使用するものは、排便後、 入浴後、あるいは就寝前に挿入します。

●坐薬のすべりが悪いときは、冷所保管の坐薬の場合は少し手の中で温たり、先端に水やベビーオイルをつけると挿入しやすくなります。

●坐薬を包装から取り出し、ティッシュペーパー等でつまみ、先のとがった方から肛門に挿入します。

●中腰で挿入する場合は第一関節くらいまで挿入後、しばらく動かず、その後ゆっくり立ち上がれば自然に肛門内に収まります。

●横になったまま挿入する場合は横臥位(横向きで寝た姿勢)になり、両足を曲げ、体を「く」の字に曲げます。挿入後しばらく動かずにいて、2〜3分後に足をゆっくり伸ばせば肛門内にうまく収まります。

●乳幼児に挿入する場合は、オムツを換えるように両足を持ち上げ、挿入後4〜5秒押さえた後しばらくしてから足をゆっくり伸ばすとうまく収まります。5分くらいしたらお薬が排出されていないか確認して下さい。

●小児など体重により坐薬を1個使ってしまうと、多すぎることがあります。そんな時、医師は半分、2/3個などといった指示を出すことがあります、図2を参考に包丁・カッターや鋏などで切って先端部を挿入し、残りは廃棄してください。

●入れた後、すぐにトイレに行きたくなりますが、お薬が出てしまうので我慢して下さい。挿入後異物感や便意を感じても、しばらくすれば治まります。(放屁もしばらく我慢してください。)





図1

図2        (図1、図2、ノバルティスファーマホームページより)


◆  坐薬を2種類使うときはどうしたらいいのですか?  ◆  

坐薬の基剤(薬を溶かし込み固めるている成分)には大きく分けて水溶性(水に溶けやすい)のものと油脂性(油に溶けやすい)のものがあります。

2種類以上の坐薬を使用する場合、使う順番は基剤によって決まります。

小児には解熱薬、制吐薬、抗けいれん薬などの坐薬がよく使われます。

例えば熱性けいれんで抗けいれん薬に「ダイアップ坐剤®」と解熱薬の「アンヒバ坐剤®」が処方されている場合、ダイアップ坐剤の成分「ジアゼパム」は、油に溶ける性質を持っています。
アンヒバ坐剤®の基剤には油脂性基剤が使われており、一方ダイアップ坐剤®の基剤には水溶性基剤が使われています。

そのため、2種の坐剤を同時、またはアンヒバ坐剤®を先に使うと、油脂性基剤にジアゼパムが溶け込んでしまうため、ジアゼパムの吸収が妨げられ、効果が現れるまでに時間がかかってしまったり、場合によっては効果が現れなかったりするおそれがあります。

このため、まずダイアップ坐剤®を先に入れ、ジアゼパムが吸収されてからアンヒバ坐剤®を入れる必要があります。また少なくとも30分以上の間隔は空けなければいけません。



≪ 基剤の種類 成分名(主な商品名) ≫

 ・油脂性基剤
   アセトアミノフェン (アンヒバ®、アルピニー®)、フェノバルビタール (ワコビタール®)
 ・水溶性基剤
   ジアゼパム (ダイアップ®)、ドンペリドン (ナウゼリン®)

*油脂性基剤を用いた坐剤の場合の体温で溶けますが、水溶性基剤を用いた坐薬は、体温ではなく、直腸部の水分によって徐々に溶けてゆきます。

一般的には油脂性基剤を用いた坐剤は冷蔵庫で保管が必要で、水溶性基剤を用いた坐剤は室温での保存が可能です。




◆  坐薬を挿入後、排便等で坐薬が排出してしまったら  ◆  

この様な場合、坐薬の十分な効果を期待することができないことは言うまでもありません。

坐薬を使用する前に便意がありましたら必ず排便をすませてから挿入しましょう。
また途中排出の多くは挿入後30分以内に起きやすく、挿入後30分くらいは放屁をできるだけ我慢し、安静にしてください。

再度挿入すべきかについては、排出された時間と、お薬により異なりますので、医師・薬剤師にご相談下さい。

なお、小児の解熱剤の場合では、一般に排出された坐剤が原形をとどめているようなら、排出された坐剤を再度挿入してください。
原形をとどめていない場合は、ある程度お薬は吸収されていると考え、そのまま様子を見てください。


お薬の使用法でわからないことがありましたら薬剤師にご相談ください。