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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その72     (平成25年6月号)
Q  ピロリ菌に効く薬はありますか?

 
ピロリ菌は、胃の粘膜に生息している菌で、主に胃や十二指腸などの病気の原因になります。予防法は確立していませんが、除菌は可能です。正しくお薬を服用すれば約7割の確率で成功すると言われています。


◆  ピロリ菌はどんな菌ですか?  ◆  

ピロリ菌の正式名称は、「ヘリコバクター・ピロリ菌」。胃の粘膜にすみつく悪い菌です。
胃や十二指腸などの病気の原因になります。

本体の長さは4ミクロン(4/1000o)で、2,3回、ゆるやかに右巻きにねじれています。
一方の端には「べん毛」と呼ばれる細長い「しっぽ」(べん毛)が4〜8本ついていて、くるくるまわしながら活発に動きまわることができます。

強い酸性の胃酸から胃を守るはたらきがある表層粘膜の中で動きまわるので、胃酸攻撃にあわず生きることができます。

◆  どんな人がピロリ菌に感染しているのですか?  ◆  

食べ物や飲み水から感染する経口感染がほとんどで、日本の場合は衛生環境が十分整っていなかった時代に生まれた方の感染率が高く、50歳以上の約80%の人はピロリ菌を保菌していると言われています。

現在は生活環境が改善され、生活習慣も衛生的に変化してきたため、ピロリ菌保菌者は減少傾向。
現在は国民の約半数程度の感染に減少しているとされています。

ピロリ菌は、ほとんどが5歳以下の幼児期に感染すると言われています。
幼児期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生きのびやすいためです。

そのため最近では母から子へなどの家庭内感染が疑われていますので、ピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。



◆  予防はできるのですか?  ◆  

予防についてはよくわかっていません。

じつは、どのような感染経路であるかはまだはっきりわかっていません。
口から入れば感染することは間違いないようです。
大部分は飲み水や食べ物を通じて、人の口から体内に入ると考えられています。


◆  ピロリ菌に感染しているとどんな病気になるのですか?   ◆  

ピロリ菌が引き起こす主な病気は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍―潰瘍患者のピロリ菌感染率は90%以上と言われています。

≪胃がん≫―1994年、世界保健機構(WHO)は疫学的調査から、ピロリ菌を確実な発がん物質と認定しました。
除菌により胃がんの発生率が1/3に抑制され、ピロリ菌除菌が胃がん予防効果があると証明されています。

≪萎縮性胃炎≫―粘膜層が非常に薄くなり胃炎と同様の症状を起こす萎縮性胃炎の大部分も、ピロリ菌感染が原因。
萎縮性胃炎になった場合、その後の胃がん予防のためにピロリ菌除菌治療が薦められます。




◆  ピロリ菌の検査方法はどんなものですか?
 また、費用はどのくらいかかりますか?  ◆  

ピロリ菌を保菌しているか診断する方法は、大きく分けて内視鏡を使って行う検査と、内視鏡を使わない検査の2通りに分けられます。

内視鏡検査の際、胃粘膜の一部を採取してピロリ菌の有無を診断する方法です。

内視鏡を使わない検査は尿検査、血液検査、呼気検査などです。

胃カメラなどの検査で潰瘍などが見つかり、ピロリ菌がいる事が判明した場合には治療としてのピロリ菌検査、除菌には保険が適用されますが、気になるのでピロリ菌の有無を検査したい・・・という場合は自己負担です。

医療機関によって検査方法が違いますので、お問い合わせください。




◆  除菌方法はどんなものですか?  ◆  

ピロリ菌の除菌には、2種類の「抗菌薬」と「胃酸の分泌を抑える薬」合計3剤を服用します。

1日2回、7日間服用する治療法です。除菌成功率は100%ではありません。成功する方は7割といわれています。
成功すれれば胃の中からピロリ菌は完全に消えてなくなります。
そして場合に応じて胃の粘膜を保護する薬剤を併用します。

また「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」に対する効能・効果追加が、平成25年2月21日に承認されて、同月22日より除菌治療が可能となりました。

今回は除菌治療に関係する薬品の効能・効果の追加だけですので、感染診断、除菌判定、そして除菌治療法は従来と変わりません。

しかし、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の内視鏡診断が必要であり、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に用いる際には、ヘリコバクター・ピロリが陽性であること及び内視鏡検査によりヘリコバクター・ピロリ感染胃炎であることを確認することが必要です。




◆  除菌に失敗した場合、もう一回出来るのですか?  ◆  

失敗の場合には、消化性潰瘍の再発抑制効果が期待できませんので、従来のお薬を飲み続けるか、再除菌を行う必要があります。

除菌失敗例では、二次除菌が認められています。前回とは違う抗菌剤を使って再除菌が出来ます。

その一方で除菌成功例では、ピロリ菌の再感染率(2?3%)は低いと報告されていますが、除菌後にも胃がんが発見されるなどの報告もありますので、定期的に検査をしていく必要はあります。