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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その80     (平成26年2月号)
Q  痔のくすりにはどんなものがありますか?

 
痔の薬には、塗り薬(注入薬を含む)、坐薬、飲み薬などがあります。
痔疾患は、日本人の3人に1人は患っていると言われる国民病ですが、日ごろの生活習慣も原因のひとつです。
1人で悩んでいないで、早めに医療機関を受診してください。


◆  痔とは? ◆ 


痔にはいくつかの種類がありますが、

・「痔核(じかく、俗にいういぼ痔)」
・「裂肛(れっこう、俗にいう切れ痔)」
・「痔瘻(じろう)」


の3つに大きく分けられます。


3つのうちもっとも発症が多いのが「痔核(いぼ痔)」です。

肛門および周辺の血行が悪くなって、一部が血栓となって盛り上がり、痔核になります。

痔核には直腸内にできる「内痔核」と、肛門の周辺にできる「外痔核」があります。

痔核の代表的な症状は粘膜に傷がつくことによる出血や痛みですが、症状が進んだ場合は、排尿障害や発熱なども起こります。

痔核が大きくなったときには、排便時などに外に露出する脱肛(だっこう)を起こすこともあります。

次に「裂肛(れっこう)」は、肛門の皮膚や粘膜が切れたり裂けたりするもので、排便時に硬い便を排出することによって起こります。

肛門の皮膚が裂けること自体はよくあることで、軽いものならばそのまま治る場合が大半です。排便時に強い痛みを感じ、また出血もあります。

裂肛は女性に多い病気といわれますが、これは便秘になって便が固くなりやすいことが大きな要因です。

最後の「痔瘻(じろう)」は、肛門の奥に大腸菌などの細菌が侵入して、感染や化膿を起こすものです。

痔瘻の初期症状としては肛門の周辺が熱をもって腫れ、激しい痛みを生じます。

そのまま我慢していると腫れが破れて膿を出すようになり、肛門と直腸の境目にあるくぼみと膿の出口がつながり穴を形成してしまうこともあります。

痔瘻は肛門の内部にできているために感染が常態化してしまい、手術による治療が基本となります。

症状が複雑化すると手術の難易度が高くなり、また完治も難しくなるために、痔瘻は痔疾患のなかでも、特に早期の対応が必要です。








◆  痔の原因と、早期治療の重要性 ◆ 


痔の原因は、便秘・飲酒・下痢・妊娠や出産、過労やストレスによる免疫力の低下など様々なものがあります。

共通点として、スムーズな排便ができていないことがあげられ、便秘(およびその改善)が問題となることが多いようです。

便秘にならないよう食事内容に気を配り、水分や食物繊維などを欠かさないようにして、規則正しい食生活をすることが大切です。

すべての痔に共通しているのは、日々の生活習慣が痔の症状に関係していることと、症状が慢性化しやすいということです。

痔を最も早く治すには、なんらかの自覚症状を認めた段階で、肛門科や消化器科の診察を受けることが最良の手段です。

痔瘻など手術が基本的に必要な症状もありますし、なによりもまず「痔の症状・種類の特定」がその後の適切な治療に必要です。

しかし、なかなか病院を受診できない…といった、心理的な抵抗感もあります。

痔の初期症状と判断した段階では、薬の使用や生活習慣の改善などを試み、状況の改善がみられない場合は、勇気を出して専門医に診てもらうことをおすすめします。

女性の場合は、女性専用の外来なども増えてきていますので、お近くの医院の状況を調べてみるとよいでしょう。

痔は症状が悪化した場合、入院や手術・長期にわたる治療が必要になる怖い病気であることだけは、心に留めておきましょう。

ただし最近の治療技術の進歩により、注射治療などメスを入れずに治す術式も徐々に普及しつつあります。










◆   痔の薬について  ◆  

薬については、病院の処方を受けない限り、市販薬の利用でしばらく様子を見ることになります。

市販薬はあくまで当面の症状緩和を目的とするものですので、数週間程度使って改善のきざしが見られないようなら、やはり専門医の診断を仰ぐほうがよいでしょう。

痔の薬は、塗り薬(注入薬を含む)、坐薬、飲み薬があります。

塗り薬、坐薬には、痛みを和らげる成分、炎症を抑える成分、止血をうながす成分等が含まれ、部位や症状により使い分けをします。ステロイドホルモンを含むものもあります。

塗り薬には肛門に薬を直接注入するタイプのものもありますが、通常は坐薬が使えないときや、外痔核・脱肛の場合に使用します。

症状によって最適な成分が細かく分かれているので、市販薬を購入する場合は薬剤師に相談してみるのがよいでしょう。


坐薬は肛門内に入れると、体温で溶解されて効き目がでてきます。
朝に排便する習慣のある方は、就寝前に坐薬を使うようにします。

就寝前に坐薬などを使用すると、薬が溶けて、肛門の周りに薬がコーティングされ、翌朝の排便時には、薬が潤滑油の役割を果して肛門にかかる負担を少なくすることができます。

内服薬には、便を柔らかくする薬、炎症を抑える薬、抗生物質などがあります。


※手術について

手術については、最近は痔の手術技術も大きく進歩しているため、以前ほど長い期間入院する必要性はなくなってきています。

手術後の痛みなども大幅に抑えられるようになってきていますし、また痔の種類や症状にもよりますが、メスを入れない療法や注射による療法なども行われるようになってきています。

ただし手術にまで至らないよう、できるだけ初期症状の段階での治療が大切です。
悪化しないように日頃の生活習慣の改善から予防・対応を心がけていきましょう。






◆  痔の予防  ◆  

≪排便習慣の改善≫

「便秘」は大敵。便秘を防ぐための食事内容・生活習慣の改善をしましょう。
食事は、「食物繊維の多い食材」と「水分摂取」の二つがポイントです。
食物繊維は野菜・豆類・キノコ類・海草などに多く含まれており、水分をよく含んでいて便を軟らかくする働きがあるので、毎回の食事で積極的にとるようにします。

水分も、多めにとるようにしましょう。


≪食事のタイミングと量≫

とくに朝食は、腸のぜん動運動を誘発して自然なお通じのリズムをつくるのに大事です。
一日三食のリズムを基本に、暴飲暴食やめましょう。

トウガラシなどの香辛料は過度にとりすぎた場合、肛門に刺激を与えるため痔によくありません。
しかし適量にとどめるならば腸の運動の活性化にもつながるので、決して摂取そのものが厳禁ということはありません。


≪日常生活≫

排便時に患部をできるだけ清潔に保つようにしましょう。 温水洗浄式トイレで毎回患部を洗うのがよいでしょう。水圧は弱めに設定して、肛門部への強い直接的な刺激は避けるようにします。

便意を感じた段階で我慢せずすぐにトイレに行き、いきまずに短時間で排便をすませるようにします。
排便後は塗り薬や坐薬を使用し、なるべく安静を保つようにします。

いつまでも同じ姿勢で座っていたり立ち続けていたりすると、肛門付近のうっ血が起きやすくなりますので、すわって仕事をする方などは特に意識して、体を時々動かすなどの適度な運動を日常生活に取り入れるようにします。

また入浴は、痔の患部のみならず全身の血行も良くする効果があります。









◆  「痔疾患」治療に役立つホームページ  ◆  

 ◆痔の総合情報サイト「じなび」(天藤製薬)
痔の種類、痛みなどの症状への対処法、市販薬の選び方・使い方、具体的な対処・ケア方法まで、イラストや動画を使って詳しく紹介しています。

 ◆痔 症状別対策BOOK (武田薬品ヘルスケアカンパニー)
『痔に〜は ボラ○ノ〜ル』のCMでおなじみの、武田薬品の健康情報サイト

 ◆「痔-LIFE」(マルホ)
「痔-LIFE」は、痔に悩むすべての方に役立つ情報を紹介することを目的に、マルホが提供する痔の総合情報サイト