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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その97     (平成27年7月号)
Q  薬局で実習している薬学生は何を学んでいるのですか?

接客マナーや患者様とのコミュニケーションの取り方、医療にかかわる責任感や倫理観、薬局以外の医療関係者との協力の仕方など、大学の授業では習得できないことを実際に現場で体験することで学んでいます。


 ◆  1.薬学部のカリキュラム(平成27年度現在)  ◆ 

平成18年度から薬学部は4年制から6年制へと変更されました。
理由としては・・・、
・生命科学や医療薬学の発達による、習得必要な科目の増大
・医薬分業(チーム医療)の急速な浸透による、薬剤師の業務・責任の増大
・病院薬局実習導入によるカリキュラムの過密化
・医師や患者の方とのコミュニケーション能力の必要性増大
・課題発見能力・問題解決能力・実践力の必要性増大
・豊かな人間性や高い倫理観、医療人としての教養がより求められるようになった
ということが挙げられます。

1〜3年生は専門的な知識を学ぶ授業がほとんどですが、4年生では調剤の仕方、患者さんへの接し方、マナーなど実践的なことを学びます。
4年生の終わりには、十分に知識がついているか、患者さんにしっかり薬のことを説明できるか試験があります。
この試験に受かると、5年生で実習に行くことができるようになります。
実習には病院と薬局へ11週間ずつ行きます。
実習先の選び方は大学により違います。



【  実務実習に出るまでに試験はあるの? 】

5年生で実務実習に行くには、薬学共用試験CBT(Computer Basic Test)という書面による試験と、客観的臨床能力試験OSCE(Objective Structured Clinical Examination)という臨床能力を身に付けているかを試す実技試験、両方に合格することが条件となっています。

CBTは、1〜4年生までに履修した内容において一定の基礎学力を有しているどうか評価する試験で、OSCEは、基本的な技能及び態度が備わっているか、調剤や、模擬患者さんへの服薬指導でマナーや態度が適切であるか評価することによって行われる試験です。





【  実務実習が終わったらどうするか? 】

実務実習は病院と薬局でそれぞれ11週間(2.5か月)行います。5年生は3期にわかれており、人によって実習する期は異なりますが、3期のうちの2期に実習を行います。

実習が終わると、大学によっては実務実習で学んだことを発表する報告会があることもあります。
6年生になると卒業研究やその発表、就職活動、卒業試験を行います。
6年制の薬学部を卒業することが薬剤師国家試験の受験資格となっているので、卒業試験が合格しないと3月に行われる薬剤師国家試験を受験できません。

薬剤師国家試験に合格すれば晴れて薬剤師となれます。
しかし薬剤師になることがゴールなわけではありません。
医療は毎日進化しているので日々の勉強が必要であり、薬剤師となったその日が新たなスタートとなるのです。






 ◆  2.ふるさと実習  ◆ 

長野県には薬学部のある大学がありません。
そのため薬剤師になるためには他の都道府県の大学へ通うしかありません。
ふるさと実習とは、地元の病院・薬局で実習することです。

薬学部のない地域でも実習ができる体制が整えられたことによって、生まれ育った地域の医療や医療提供体制を学ぶことができます。

・長野県薬剤師会薬局実務実習関連情報
 http://www.naganokenyaku.or.jp/modules/Category/content0023.html





 ◆  3.外部実習  ◆ 

薬剤師が働いたり、関わったりしているのは薬局と病院だけではありません。

薬剤師の関わる他の職場の見学やお話を聞くことで、薬に関してどのような職種の人がどのように関わっているのか、連携を取り合っているのか勉強します。

例えば、薬の卸売業者、製薬企業、漢方薬局、在宅医療、医薬品情報室、保健所など様々な職場へ実習に行きます。


【 卸売業者 】
薬局で在庫できる薬の量は限られており、卸会社が地域の薬局に配達しています。卸会社の倉庫には薬局で扱っていない薬もたくさんあります。
仕入れ、保管方法、配達方法、災害時の卸の役割等、患者さんへ薬が届くまでの薬の流通経路を、実際に卸会社に訪問することで学びます。

【 製薬企業 】
薬の製造工程、製造管理や品質管理、医薬品開発など薬の原点がある場所を実際に見学し、より薬に対しての知識を深めることができます。

【 漢方薬局 】
一般的に私たちが処方される薬は症状に注目して選ばれますが、漢方薬局では自分の体質(証)に合わせて薬を選ばれます。
実習では実際に自分の体質(証)の診断をし、生薬を用いた漢方薬の調剤体験を行います。

・体質診断チャート 東西薬局 http://tozai-yakkyoku.com/chart.htm"_blank

【 在宅医療 】
医師や看護師、薬剤師によって開かれる担当者会議に参加し、治療の方針の決め方や連携の取り方を学んだり、実際に看護師さんや理学療法の方に付き添い、在宅での医療について直接目で見て勉強したりします。

・すぐわかる在宅医療Q&A(長野県医師会)
 http://www.nagano.med.or.jp/doctor/homecare/zaitakuqa.pdf



【 医薬品情報室 】
 医薬品情報室は医療者だけでなく一般の人からも薬に関する質問を受けています。

実際調べる際に用いる資料や、虫や農薬などに関する地域の特性を学びます。また、スポーツ選手を対象とした例題を元にドーピング検査に影響のない薬剤の選択の仕方を学びます。

・長野県薬剤師会医薬品情報室 TEL:0263-34-5511 FAX  0263-34-6177






 ◆  4.薬局での実務実習では何をやっているの?  ◆ 

1)調剤
・錠剤、カプセル剤などを処方箋に合わせ調剤。
・粉薬を調剤。
・シロップ剤を量る。
・錠剤を粉砕する。
・軟膏の混合・充填。
・1回の飲むお薬を1つにまとめて調剤する一包化調剤。


2)服薬指導
患者さんが安全に薬を使用するために、調剤した医薬品について適切な説明や指導を行います。
主に薬の効き方、使用法の注意点、副作用の可能性、保存方法などの情報提供を行います。
他の病院で処方された薬や市販薬との相互作用を考えたり、家に薬が余っている場合は必要な薬の数を調節したりもします。