←トップページに戻る        ←くすり問答 目次へ

今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その101     (平成27年11月号)
Q  腎臓とお薬は関係あるのですか?

お薬の種類によっては腎機能を悪くすることがあります。
また、腎機能が落ちている場合はお薬の飲み方を調節しなくてはなりません。
お薬の不適切な使い方は腎臓に負担をかけるので注意が必要です。


      


 ◆  「CKD」(慢性腎臓病)とは?  ◆ 

糖尿病はかなり進行してもほとんど症状がでません。
高血圧も慣れてしまうと、体調の悪さを感じなくなってしまいます。
健康診断の尿検査でたんぱく尿を指摘されても、「少し疲れているだけ・・・」などと思っていませんか?
でも油断は禁物です。それらは腎臓の注意サインです。

腎障害は静かにどんどん進行し、心臓を悪くしたり、様々な身体の障害を起こしたりし、最終的には透析や腎移植をするしかなくなります。
たんぱく尿・血尿・むくみ・だるさが出るのは、腎障害がかなり進んだ状態です。

最近、腎機能の低下が続く状態のことを慢性腎臓病「CKD」(Chronic Kidney Disease)と呼んで、新たな国民病として予防に注目が集まっています。

生活習慣病やメタボリックのある方は、まずは生活を改善しCKDの悪化を食い止めると共に、疑わしい場合は早めに専門医を受診しましょう。



 ◆  腎臓って?  ◆ 

腎臓は腰のあたりの背中側に左右1個ずつあり、そら豆の形でにぎりこぶし位の大きさです。
尿管や動脈・静脈が出入りしていて、1分間に約1リットルもの血液が流れている、血液流量が最も多い臓器です。

腎臓には血液をきれいにするだけでなく、排泄や体液を正常に保つ働きがあります。

@ 血液をろ過して老廃物を尿として排泄します。
A 体内の水分・血圧を調節します。
B 血液中の電解質を調節し、弱アルカリ性に保ちます。
C 赤血球をつくるホルモンを出します。
D 骨を強くするホルモンを刺激します。


 ◆  どうして腎臓が悪くなるの?・・・高血糖、高血圧に注意  ◆ 

生まれつき腎臓に障害がある場合もありますが、最近は糖尿病や高血圧が原因となる場合が多くなっています。

きちんと治療しなかったり、病気の期間が長かったりするとCKDになりやすい傾向にあります。
また、痛み止めなどの薬の飲み方が不適切だと腎機能を悪化させます。




 ◆  腎臓が悪くなるとどうなるの?  ◆ 

腎臓の悪くなりはじめはほとんど症状がありません。

進行するとたんぱく尿や血尿が出るようになり、働きが半分以下(腎不全)になると、むくみ、高血圧、貧血、骨粗鬆症が起こり、食欲不振、はきけ、頭痛、だるさ、イライラなどが自覚症状として現れます。

そのまま放っておくと尿毒症になり死に至ることもあるので、透析療法や腎移植を受けなければならなくなります。
透析療法を受けている患者さんは日本では405人に1人となり、年々増加しています。日常生活には様々な制限があり、医療費は年に約500万円かかります。

またCKDがあると、狭心症、心筋梗塞、脳卒中などにもなりやすいことがわかってきました。
心血管病にならないためにも、CKDを予防、治療していくことが重要になってきます。



 ◆  CKDの予防  ◆ 

たんぱく・塩分の摂り過ぎ、高血圧、高血糖(糖尿病)、肥満、脂質異常(高脂血症)、喫煙、薬の使い過ぎ、疲労、感染症などに気をつけましょう。

そして、予防には早期発見、それには何より尿検査が大切です。血圧も大切な指標です。

そして異常があったら、すぐに専門のお医者さんにかかりましょう。
腎臓の機能は元にはもどらないので、放置しておくと取り返しのつかないことになります。



 ◆  腎機能の検査  ◆ 

CKDかを見分ける検査は通常の健康診断で行う尿検査ですので健康診断は必ず受けましょう。

また、血圧は薬局でも測れますし、様々な血圧計も市販されています。
@尿検査・・尿にたんぱくや血液が混ざっていないか見分けます。
病院に行かなくても、薬局で試験紙を購入することができます。とても簡単で重要な検査です。

CKDの悪化が疑われると更に検査が進みます。

A血液検査・・クレアチニンとeGFR、血糖やHbA1c他、様々な検査があり、腎臓や全身の状態を推測します。

B画像診断・・腎臓の大きさや形、結石や腫瘍などがわかります。

C生検・・腎臓の組織の変化を見ることで、腎炎の種類やその程度を知ることができます。



 ◆  CKDの進行を抑えるには  ◆ 

CKDと診断されたら、適切な治療によって病気の進行を遅らせ、腎不全に至ることを防がなければなりません。

@ 生活習慣の改善
・規則正しい生活
・肥満に気をつける
・禁煙
・疲れ過ぎない

A 食事療法
人それぞれなので、管理栄養士さんと相談しながら取り組んでいきましょう。
・減塩・・塩分の摂り過ぎは高血圧やむくみの原因になります。1日6g未満が目安です。
・低たんぱく・・たんぱく質の摂り過ぎは腎臓の負担になります。標準体重1kg当たり1日0.6〜0.8gが目安です。
・適切なカロリー・・食べ過ぎても、不足していても腎臓に負担がかかります。年齢、疾患により異なるので、専門医や管理栄養士さんに相談しましょう。

B 原因となる病気の治療
上記@Aと運動、薬を忘れず原因となる病気を治療しましょう。

・糖尿病・・腎不全を防ぐためには、何種類かの飲み薬や注射薬を使ってHbA1c6%以下を目指します。

・高血圧・・目標血圧は130/80mmHg未満です。血圧の薬の一部には腎臓を保護する作用もあり、高血圧がなくても飲むことがあります。血圧管理によりCKDの進行を遅らせたり、心血管病の発症を防いだりします。

・脂質異常症・・LDLコレステロールや中性脂肪が高いと動脈硬化が進みます。それが高血圧やCKDを悪化させるという悪循環を起こします。
LDLコレステロール120mg/dl以下、HDLコレステロール40 mg/dl以上、中性脂肪150 mg/dl以下を目標とします。


C 薬物療法
腎臓が悪くなってくると、専門の治療薬を服用したり、また腎機能を悪化させる薬や、腎臓で排泄される薬は飲む量の調節が必要となったりします。

・様々な薬の調節・・CKDになると薬の排泄力に影響が出てくるため、健康な時とは効き方が違ってきます。多くのお薬で、状態に応じて飲む量や時間の調節が必要になります。医師・薬剤師に確認が必要です。

・CKDを悪化させる薬物の減量・・特に痛み止め・熱冷まし。

・降圧剤・・血圧の薬の一部には腎臓を保護する作用もあり、高血圧がなくても飲むことがあります。

・代謝性アシドーシス・・腎機能が悪化すると体内に酸性の老廃物がたまり、血液も酸性になります。骨がもろくなる、筋肉がやせる、低栄養になるなど悪影響がでます。炭酸水素ナトリウム(重曹)を飲みます。

・尿毒症・・本来は尿の中に混ざって排泄される尿毒素が、CKDになると排泄されなくなります。活性炭を加工したものを飲み、様々な尿毒素を腸で吸着し便と共に排泄させます。

・ビタミンD・カルシウム剤・・CKDになるとリンとカルシウムのバランスがとれなくなり、骨粗鬆症になります。また血管はカチカチの動脈硬化になってしまいます。ビタミンDとカルシウム剤が体内のリンとカルシウムのバランスを整え、骨と血管の状態を正常に保つホルモンの働きを整えます。

・貧血・・腎臓の働きが低下すると腎性貧血となり、貧血になると腎機能が悪化するという悪循環になります。造血刺激ホルモン(エリスロポエチン)や鉄剤で治療します。




 ◆  腎不全になったら  ◆ 

透析療法か腎移植が必要になります。

@ 透析療法
機械で腎臓の働きを代行しますが、腎臓を治してくれる治療ではありません。
また透析で補えない部分に大量の薬が必要になります。

【血液透析】・・週に3回、透析施設に通い治療を受けることが標準的です。自宅に機械を設置して透析することもあります。

【腹膜透析】・・お腹に通した管を自分で操作し、施設に行かずに治療します。

A 腎移植
唯一の根治療法です。
【生体腎移植】・・健康な方の腎臓を1個提供していただき、移植します。
【献腎移植】・・心停止下・脳死下で提供していただき、移植します。