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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その106     (平成28年4月号)
Q  お薬手帳のメリットは何ですか?

   「お薬手帳」はみなさんの健康を守る「手帳」です。
病院や診療所のくすりは一人ひとりの病気に合わせて処方されています。
処方されたお薬の名前や飲む量、回数、飲み方などを記録し、携帯することで、お薬を、より安全に、そしてより効果的に使っていただくために「お薬手帳」を活用し、健康管理に役立てましょう。

 ◆  「お薬手帳」をお持ちですか?  ◆ 

「お薬手帳」は、あなたに処方されたお薬の名前やのむ量、回数、飲み方、注意する事などを記録するための手帳です。薬の服用歴、副作用歴などを確認することができます。

薬局などでもらうお薬手帳、シールをただ貼っていくだけだと思っていませんか?
お薬手帳にはさまざまな活用法があり、有効活用することで積極的に治療に参加するきっかけになり、お薬に対する理解も深まります。
お薬手帳をお持ちの方も、そうでない方もお薬手帳の使い方を知っていただき、より良い治療のためにもお薬手帳を活用していただきたいと思います。



 ◆  「お薬手帳」に記入していただきたい基本情報  ◆ 

薬局では、「お薬手帳」に、薬の名前、薬ののみ方・のむ量(使い方、使う量)、薬についての注意事項、薬を処方した医療機関名、医師名、処方日、調剤日、などを記入します。

この時に薬剤師は、次のような事をチェックしています。
・他の医療機関の薬と併用するかどうか
・今日の薬で副作用が出たことがあるか
・薬によるアレルギーはあるか

※「お薬手帳」には、あなたのアレルギー歴、副作用歴、主な既往歴などを記入するページがあります。必ず記入しておきましょう。



 ◆  「お薬手帳」の上手な活用方法  ◆ 

●病院や、医院、歯科医院などへ行く時には、必ず持参しましょう。
現在使用している薬や、過去に副作用やアレルギーのあった薬などについて、医師に伝えることが簡単にでき、薬の重複やのみ合わせ(相互作用)を防ぐことができます。

●薬局で処方せんの薬をもらうときや、一般用医薬品を買う時には必ず持参しましょう。
薬局では、薬剤師が薬の内容を印刷したシールをお薬手帳にお貼りします。
処方せんと一緒にお出しください。
一般用医薬品であっても、副作用やアレルギー反応が出ることがあります。
薬局で一般用医薬品を購入する場合には、安心してお薬を使用できるように「お薬手帳」をお見せになって、安全を確認してもらいましょう。

●薬局でのみ合わせのチェックをしてもらいましょう。
のみ合わせがよくないことによる有害な反応などは、医薬品どうしだけでなく、医薬品と健康食品、医薬品と食品の間でも起こる場合があります。
例えば、ワーファリン(血液を固まらせる働きを抑え、血液が固まりやすくなっている状態を改善する薬)を服用中に健康食品であるクロレラや納豆を摂取すると、ワーファリンの効果が弱まることが知られています。
また、ワーファリンと一緒に服用するとワーファリンの効果を強めたり弱めたりする医薬品がたくさんあります。
薬局でお薬や健康食品を購入する場合にも、薬剤師に「お薬手帳」を見せていただければ、適切な指導を受けることができます。

●ご自身の症状や医師・薬剤師への質問をメモしておきましょう。
「お薬手帳」をご覧になるとお薬の服用歴が一目でわかりますが、それだけではなく、患者さん自身の症状の記録や疑問に思われることのメモに使用して、受診するときやお薬をもらうときに医師や薬剤師に情報を伝えるツールとして活用しましょう。

●こんな時、『お薬手帳』にお薬の名前が書いてあれば、安心です。
・転居して、新しい医療機関を受診する時
・薬局で薬を購入する時
・休日診療所や救急病院を受診する時
・旅行や出張時に体調が悪くなり、病院を受診したり薬局で薬を購入したりする時
・災害にあった時




≪お薬手帳と合わせて、ぜひ、かかりつけ薬局を持ちましょう!≫
かかりつけ薬局については、こちら(「今月のくすり問答」その105 平成28年3月号)


<< ちょっと一言 >>
※薬に対するアレルギーや薬による副作用は必ず現れるというものではありませんが、一旦発現すると、軽症でも油断は禁物です。早めに医師・歯科医師や薬剤師に相談しましょう。
また、起こり得るアレルギーや副作用について、あらかじめ説明を受けておくことが大切です。
下記に当てはまる人は、特に注意が必要です。
「どの薬を、どの位の量・期間使用し、どのような症状が出たか」正確に説明できるよう、お薬手帳に記録すると良いでしょう。
・特異体質(アレルギー)のある人
・過去にひどい副作用を経験している人
・肝臓・腎臓など、薬を代謝・排泄する臓器に疾患のある人
・他にも薬を飲んでいる人
・妊娠している女性、授乳中の女性
・高齢者
・仕事などで特別な環境にある人(例:高所作業者、ドライバーなど)

※こどもお薬手帳『けんこうキッズ』
「こどもXくすりXデザイン実行委員会」(代表:平井康之九州大学准教授)が企画制作。基本情報のほかに、「平熱は?」、「排便は?」、「睡眠は?」など、普段の健康観察ポイントや変化の見付け方を盛り込んでいます。
※こどもお薬手帳『けんこうキッズ』




 ◆  「お薬手帳」の電子化について  ◆ 

緊急時にお薬手帳を所持できないなどの欠点もあり、電子化やカード化などによる疾患・検査値・治療・使用医薬品などの情報の一元化が考えられています。
服用していた薬剤の名称・一般的な薬効・用法用量について全ての医療従事者が情報共有することができ、お薬手帳の医療における貢献度がさらに高まるものと期待されています。
※日本薬剤師会「電子お薬手帳」



 ◆  東日本大震災でお薬手帳大活躍  ◆ 

東日本大震災を契機に「お薬手帳」が見直されています。

東日本大震災が起こったとき、命は助かったけれどお薬がなく苦労したという患者さんがたくさんいました。
あの混乱の中でお薬を手に入れること自体も大変でしたが、病院が被災して患者さんのカルテが無くなった場合には、「お薬手帳」の有無がとても重要になりました。
病院で処方するお薬の種類は数えきれないほどあり、多種多様です。
特に高齢者の場合には飲んでいた薬の名がわからないことが多く、薬の形状などを聞き取りして特定する必要がありました。
しかも、被災地の病院は非常に混雑し、「お薬手帳」を持っている人はスムーズに薬を処方することができたものの、持っていない人は処方までその数倍もの待ち時間がかかったという薬剤師の話もあります。

一方、医師の立場でも「お薬手帳を持って逃げてきた人はすぐに薬が判明して、こちらも安心して薬が出せた。持ってない人には、全て聞き取りしなければならない。
患者さんの情報を次の医療チームに引き継ぐために、お薬手帳が非常に有効なツールだった。なぜなら、医療チームは入れ替わり立ち代わり避難所を訪れる。
お薬手帳を持っていれば、患者自身が管理できる」という内容の手記を残しています。

災害で避難する際はお薬そのもののも大切ですが、「お薬手帳」を必ず携帯してください。
また、災害の時ばかりでなく旅行や出張の時も急病にそなえて持参することも大切です。