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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その114     (平成28年12月号)
Q  ノロウイルスに効く薬はありますか?

  
現在のところ、ノロウイルスの治療薬や予防薬はありません。
激しいおう吐、下痢、腹痛などの場合には、脱水症状にならないよう水分補給をして、早めに医療機関を受診しましょう。
日ごろから手洗い・うがいを行い、感染を予防することが大切です。




 ◆  ノロウイルスの流行は?  ◆ 



 ノロウイルスを代表とする感染性胃腸炎は、年間を通じて見られますが、11月〜12月をピークに冬季に流行することがわかります。 11月24日、長野県は「ノロウイルス食中毒注意報」を全県に発令しました。ノロウイルスによる食中毒を防ぎましょう。

"ノロウイルス食中毒を防ぐために" 〜長野県ホームページより〜

◆石けんで手をよく洗いましょう。
外出先から帰った後、トイレの後、調理の前や食事の前などは、石けんを使用し、手の汚れをしっかり落としましょう。

 ※手洗いのポイント
  ・石けんをよく泡立てて、指の先や指の間、手のひらや手の甲など、
   手全体をていねいにもみ洗いして、最後に流水で十分にすすぎましょう。
  ・水道の蛇口も手と一緒に石けんで洗い流しましょう。
  ・タオルは常に清潔なものを用意しましょう。

◆加熱調理する料理は、中心部まで十分に火を通しましょう。
食品の盛付けは、お箸などを使って盛り付けましょう。

◆ノロウイルスによる感染性胃腸炎患者のおう吐物や下痢便中には、多量のウイルスが含まれています。おう吐物などを片付ける場合は、マスクや使い捨ての手袋を着用して行い、汚れた場所は塩素系の薬剤で消毒しましょう。




 ◆  ノロウイルスとは? 〜 ウイルス界のフェラーリ 〜

ノロウイルスはとても小さく、は非常に小さな粒子で直径 30nm(ナノメートル)ほどです。(*1 ナノメートルは 1mm の 100 万分の 1)
人のカラダを本州の大きさに例えると、ピンポン玉ほどの大きさしかありません。

そんな小さなウイルスにもかかわらず10〜100個カラダに入るだけで感染してしまいます。食中毒の中でノロウイルス感染が最も多く、食中毒を引き起こすサルモネラ菌や腸炎ビブリオ菌は、およそ10万〜100万個で感染するといわれています。
つまりノロウイルスは他の菌やウイルスと比べても、非常に感染しやすいウイルスだということが分かります。

あっという間に感染が広がる、その感染スピードの速さから「ウイルス界のフェラーリ」とも呼ばれています。
熱にも強く、乾燥、酸、水中でも長時間生きのびることができる非常に丈夫なウイルスであることも特徴です。



 ◆  どんな症状? ◆ 

潜伏期間は、12〜48時間
突発性の嘔吐・吐き気、腹痛から水様性の下痢症状

発熱は約37°〜38°の軽度で、大人では吐き気や腹部膨満感といった症状が強いようです。
発症後、通常であれば1〜2日程度で症状は治まります。
下痢は水様性で、重症例では1日に十数回も見られますが、通常は2〜3回で治まります。

その他の症状としては、発熱のほか、筋肉痛、頭痛などが見られますが、後遺症が残ることもなく、いずれも軽症です。
 


 ◆  治療法は?  ◆ 

ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤がなく、対症療法が行われます。
脱水症状にならないよう水分補給をします。脱水症状がひどい場合には、病院で輸液(点滴)を行うなどの治療が必要となります。

ノロウイルスの治療には、水分補給が重要です。
症状が悪化すると、下痢や嘔吐による脱水症状を引き起こす恐れがあるため、怠らないように意識しましょう。

脱水症状とは身体から水分とナトリウムなどの塩分が失われた状態です。
めまいや頭痛、吐き気、意識障害など様々な症状を引き起こす危険性があります。特に、体力のない乳幼児や高齢者は注意が必要です。

また、水分補給はウイルスを体外へ排出する効果があり、症状の緩和に直接的につながります。
使用する飲料は、経口補水液(Oral Rehydration Solution: ORS)がオススメです。
常温、または人肌程度に温めて飲むことで、胃腸への負担を抑えることができます。水やお茶でもかまいません。

<参考>松本薬剤師会 薬の飲み方Q&A その109
「経口補水液」とはなんですか?(平成28年7月号)

しかし、下痢による脱水症状が進んでいる、もしくは、飲んでも吐いてしまう場合には、点滴により水分を補うことが必要です。こういった場合には、必ず医療機関を受診してください。











 ◆  ノロウイルス感染の原因は?  ◆ 



≪ノロウイルス感染の主な原因≫


ノロウイルスに感染する主な原因として、食品からの感染(一次感染)と人からの感染(二次感染)があります。

一次感染の原因としては、ウイルスに汚染された食品を摂取することによるケースがほとんどです。
中でも二枚貝(牡蠣・大あさり・ハマグリ・しじみなど)での感染が非常に多く、以前の調査でも、生牡蠣を食べて発症した患者のうち、約70%からノロウイルスが検出されています。
二枚貝は大量の海水などを体内に取り込むため、ノロウイルスなどが蓄積しやすいとされています。

二次感染の原因としては感染者の便やおう吐物への接触があります。
おう吐物1cc中にはウイルスが約1万〜1億個含まれ、ノロウイルスは感染力がとても強いとされています。そのため、感染者の便・おう吐物から飛散するウイルスや、感染者が触れたものや衣類に付着したウイルスをおよそ10〜100個吸い込むだけで感染するとされています。

たとえば、用便後の感染者が手洗い不十分のままに調理を行い、食品に付着したウイルスを口に入れてしまう、または、ウイルスを含んだ飛沫、ウイルスが付着したホコリを吸い込むことで感染はひろがります。
 


 ◆  ノロウイルスの予防ポイント  ◆ 

【 一次感染を予防するポイント 】

1.二枚貝はしっかりと加熱
中心部までしっかりと加熱しましょう(85℃〜90℃で1分以上)。
湯通し程度の加熱では、ウイルスの感染力は無くなりません。
また、食材だけでなく。調理に使用したまな板や包丁は熱湯(85℃以上)ないし、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)で消毒するとよいでしょう。

2.生鮮食品はしっかり洗浄
野菜・果物など、ウイルスが付着している可能性があります。しっかりと洗浄しましょう。

3.トイレの後の手洗いの徹底
トイレの後だけでなく、普段からしっかりと手を洗いましょう。(固形石鹸ではなく、液体石鹸が推奨されています。)

4.手洗い時、清潔なタオルを用意
せっかく手をしっかり洗っても、手を拭くタオルが汚かったら意味がありません。タオルはいつも清潔な状態を保ちましょう。


【 二次感染を予防するポイント 】

1.感染者のおう吐物、便には触らない
おう吐物や便には、大量のウイルスが含まれています。素手での接触は絶対にやめましょう。

2.おう吐物、便を片付ける際にはビニール手袋とマスク
手袋とマスクを着用し、処理に当たる人以外は絶対に近づかないことが原則です。飛沫したウイルスを吸い込んでしまう危険があります。

3.おう吐物、便で汚れた衣類は分けて洗濯
ウイルスで汚れた衣類を洗濯機で洗ってしまうと、洗濯槽内がウイルスで汚染されてしまいます。
まずはバケツやたらいで水洗いし、さらに塩素系漂白剤で消毒してから洗濯するようにしましょう。

4.おう吐物、便を片付ける際に使用した器具は塩素系で洗浄
片付ける際に使用した雑巾などは塩素系漂白剤で浸け置きし、消毒するか、ビニール袋に密閉して処分します。
おう吐物を片付ける際に掃除機を使用した場合、掃除機の中にもウイルスが溜まってしまうので、ごみパックを交換するときなどは、必ず屋外でマスクを着用して行いましょう。

5.おう吐物などがついた床は塩素系漂白剤を含ませた布で洗浄し、時間を置いて消毒
おう吐物・便をふき取った後、塩素系漂白剤を希釈せずにかけ、15分〜30分ほど放置して消毒します。

6.片付け終了後、手洗い・うがいの徹底、十分な換気
片付けが終了したら、しっかりと手洗いうがいをし、ウイルスを洗い流してください。
消毒時に塩素系漂白剤を使用しているため、十分な換気が必要です。必ず換気扇を回すか、窓を開けるようにしましょう。


※ノロウイルス予防には、手洗い・うがいといったように、当たり前のことを当たり前のようにやることが効果的です。日々の心がけを忘れずに、しっかりとノロウイルス予防をしていきましょう。