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今月のくすり問答


薬の飲み方Q&A その115     (平成29年1月号)
Q  低温やけどをした場合どうすればいいですか?

  
低温やけどは皮膚の深い場所まで傷んでいる恐れがあります。氷水などで十分に冷やし、早めに医療機関を受診するなどの対応をしてください。




 ◆  『やけど』とは?  ◆ 

通常のやけどには深度T〜U〜Vがあります。
深度Tの症状は皮膚が赤くなってヒリヒリと痛みます。
日焼けなどがこれに当たります。

次に深度Uですが浅達成U度と深達成U度の2種があり、浅達成U度では患部の水ぶくれ、ジュクジュク感、腫れなどがあり激しい痛みを伴います。
また明らかに皮膚が焼けた感じが見て取れることがあります。

さらに深達成U度では浅達成U度に加え患部が白くなり、痛みの影響で感覚が鈍くなります。
熱湯や油はね、料理中にうっかり加熱した鍋などに触れた状態がこのU度に当たります。

最後に深度Vになると深度Uがさらに重症化していて、患部は壊死状態となり激しくただれ、痛みそのものも感じないほど症状が増悪しているケースもあります。



 ◆  低温やけどの原因  ◆ 

低温やけどの原因としてはカイロ、電気コタツ、電気ストーブ、電気毛布、湯たんぽ、電気カーペット、電気アンカなどが挙げられます。

張り付けるタイプの使い捨てカイロを貼付したまま、本来は寝床を温めるためにのみ使用する湯たんぽを足元に入れたまま就寝する、コタツでうたたね、電気カーペットや電気毛布を「強」にしたまま寝てしまうなど、注意をしていれば避けることができる原因です。

また膝の上でノート型パソコンを長時間操作した場合、パソコンやバッテリーからの放射熱でも低温やけどを起こすことがあります。

以下に低温やけどを起こす温度と時間の関係の一例をお伝えします。
 44℃ほど - 3時間〜4時間
 46℃ほど - 30分〜1時間
 50℃ほど - 2分〜3分


 ◆  低温やけどのメカニズム ◆ 

  低温やけどは使い捨てカイロや湯たんぽ、電気コタツなどの比較的温度の低いものが長時間肌に触れ続けることによって発症します。
低温で長時間温め続けると皮膚だけではなく、皮膚の下にある脂肪細胞まで熱が伝わり徐々にやけど症状を悪化させていきます。

皮膚の表面は血液の循環があり、また汗をかいて冷やされ、見かけは赤くなる程度ですが、皮膚の下の脂肪細胞は血流量が少なく冷やされにくい状態にあるので、熱の影響を直接長時間受けることにより低温やけどを起こしてしまいます。
多くの低温やけどは瞬発的な痛みが少ないので、すぐに気づかず、朝になってヒリヒリ感で気がついたり、さらには2〜3日経過したのちにやっと気づくというケースもあります。
しかもやけどした部位はその間十分に冷やされることもなく、知らない間に重症化していることが多いようです。


 ◆  低温やけどの治療法  ◆ 

まず、低温やけどをしたらすぐに氷水などで最低でも20分以上は冷やし、専門の医療機関へ受診してください。

低温やけどは普通のやけどとは状況が全く異なります。
自己判断で軽く冷やして手持ちの軟膏を塗ってそれで終わりではやけどの症状はなかなか改善しません。
低温やけどは皮膚の下の脂肪細胞の部分がやけどを負っている状態なので、冷やしただけでは回復は難しいでしょう。見た目はそれほどではなくても思った以上に重症になっていることが多いのです。
表面は何ともなくても内部では深度U度や深度V度の恐れがあります。
それほど状況が悪くないと放置しておいたところ、実際は脂肪細胞が壊死していた場合、回復には相当の時間がかかります。
それどころか皮膚移植など、大掛かりなことにもなりかねません。
低温やけどをした場合は症状が軽くても、必ず皮膚科など専門の医療機関を受診してください。


 ◆  低温やけどを防ぐには  ◆ 

湯タンポを布団に入れたまま、カイロを貼ったまま就寝しないということが低温やけどを防ぐ方法です。

また電気カーペットやコタツでうとうと寝ないということも守って下さい。

寒い時期は暖かくて気持ちが良いものなので、ついつい電気カーペットの上で寝てしまったり、コタツでうたた寝してしまうことがあります。
カイロや湯たんぽと違って電気カーペットやコタツでの低温やけどはその範囲が広い範囲におよぶ恐れがあり、重症化すると植皮などの移植手術も必要になります。

カイロは直接肌に触れないようにしましょう。肌着の上から貼ったり、ハンカチなどで包んでから持つようにしましょう。
使い捨てカイロの注意書きにも「就寝時の使用は避けてください」など禁止事項の記載があります。

また湯たんぽも寝るまでに寝床を温めるためにのみ使用し、就寝時は使用しないで下さい。
これも湯たんぽ本体や取り扱い説明書にきちんと記載されています。

カイロを貼ったままコタツや電気毛布、電気カーペットを利用するとカイロ自体の温度がさらに上昇し短い時間でも低温やけどに至ることもあります。

冷え性で手足の先が冷えて眠れない女性の方や、高齢者、体が自由に動かせない乳幼児、お体に障害があって皮膚感覚が低下している方、糖尿病患者さまなど血行が低下している方にも注意が必要です。
普通なら多少熱い、痛いと感じるレベルを過ぎてもその症状に気が付かず重症化しているケースが多く報告されています。

敷くタイプの電気毛布も就寝時は中温〜低温にしたり、湯たんぽも寝返りして知らない間に長時間触れているということがあります。お休みの前にきちんと布団の外に出すよう心がけましょう。









 ◆  最後に  ◆ 

低温やけどは見かけなどから軽いやけどという印象を持つ方も多いかと思いますが、通常のやけどよりも重症化しているケースが多く、回復にも相当な時間を要すことがあります。

まずは低温やけどをしないよう普段から注意し、それでも低温やけどを起こしてしまった場合、早めに医療機関を受診してください。
やけどした患部に跡を残さないためにも早期の治療開始が完治への近道となります。