
その159(2020年9月号)
- 夏バテに効くお薬はありますか?
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夏バテは食欲不振・だるさ・脱水症状・睡眠不足・ほてりなどが複合的に絡み合って生じる体調不良です。
環境や生活面の見直しに加え、症状に合わせたお薬や体質を改善する漢方薬で効果が期待できます。まずはかかりつけの医療機関・薬局にご相談ください。
そもそも夏バテってなに?
夏バテとは病気の名前ではなく、高温多湿の日本の夏において生じる倦怠感や食欲不振、睡眠不足などが複合的に現れる体調不良を総じて指します。別名『暑気あたり』とも言われ、症状が長引くと感染症や熱中症の他、脳梗塞や不整脈など重篤な疾患へつながることもあり、注意が必要となります。
夏バテの症状
倦怠感・疲労感、食欲不振、睡眠不足、下痢・便秘、むくみ、頭痛、のぼせ、イライラ感など
夏バテの原因はどんなものがあるの?
- 体内の水分・ミネラル不足 ⇒ 脱水症状
- 食欲不振 ⇒ 栄養不足
- 暑さと冷房による寒暖差 ⇒ 自律神経の乱れ
- 暑さ・冷房の寒さ ⇒ 睡眠不足
これらが総合的に重なり合っていわゆる「夏バテ」の症状を引き起こします。
夏バテにはどんな薬が効くの?
- 倦怠感・疲労感 ⇒ ビタミンB₁、B₆、B₁₂配合剤
- 食欲不振 ⇒ 消化剤、消化管運動改善薬などの胃腸薬
- 下痢・便秘 ⇒ 整腸剤
- 脱水症状 ⇒ 経口補水液(食品です)
夏バテの予防はどうしたらよいの?
こまめな水分補給
のどの渇きに関わらず一定時間ごとに少量の水分をとりましょう。ただし、冷たい飲み物や水分の過剰摂取は胃腸への負担となり、食欲不振につながります。また、糖類が多く含まれているジュースなどの大量摂取も、かえってビタミンを消費して倦怠感を引き起こす原因となりますので注意が必要です。エアコン設定温度などの環境整備
外気温との差が大きいと、寒暖差による自律神経の乱れにつながります。猛暑日など危険な暑さでない限りは、温度差を5℃くらいまでとし、扇風機や服装などでも調節するようにしましょう。睡眠をしっかりとる
睡眠時間も重要ですが、睡眠の質向上のため冷房や寝具等の環境にも注意し、しっかりと体を休める状況を確保しましょう。就寝前のぬるめのお風呂への入浴や氷枕などもおすすめです。栄養バランスの取れた食事
食欲が低下している時は、簡単に食べられる炭水化物の比率が高くなりがちです。食事の量より質に注意し、バランスの取れた食事内容で、必要なミネラル・ビタミン・エネルギーの摂取を心がけましょう。また、一度に量がとれない状態であれば、1日5食などに分け、1日のトータルで必要な栄養を確保するようにしてみましょう。適度な運動をする
朝夕の涼しい時間を利用し体操やウォーキングなどの運動を定期的に行うと、自律神経の働きを整え、食欲増進やストレス解消にもつながります。無理のない負荷と水分補給にも注意しながら実施してみて下さい。