今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その166(2021年4月号)
Q
長引く便秘に悩んでいます。解消できる薬はありますか?
A
便秘はいろいろな要因が関わっており、人によってその要因は様々です。自分にあった解消法を探しましょう。生活習慣を見直しても改善しない場合には、我慢せず、適正な薬を服用するためにも、医師、薬剤師に相談してください。

便秘って?

便秘とは、便を十分量かつ快適に排出できない状態をいいます。排便の回数は個人差がありますが、目安としては週3回未満の場合、便秘が疑われます。

便秘の原因について

  • 老化による衰え
  • 女性ホルモンによって大腸のぜん動運動が抑制される
  • 食事量、水分摂取量が少ない
  • 過度なストレス
  • 長時間トイレを我慢する
  • 便秘を引き起こしやすい病気
  • 便秘につながる医薬品

便秘になりやすい人

  • 女性
  • 高齢者
  • 忙しいひと

適切な便秘治療

食生活の見直し

食事はしっかり摂りましょう。ダイエットをしたり、忙しくて食事の回数が少ないと便秘の引き金になります。また、ヨーグルト、納豆、味噌などの発酵食品などをうまく取り入れ、腸内環境を整えることも効果的です。
水分をこまめに取るのも便秘解消に効果的です。ただし、腎臓や、心臓の病気がある方は医師へ相談しながらにしましょう。

効果的な運動

排便するときは腹筋など多くの筋肉を使っています。便秘にお悩みの方で運動不足かなと思う場合は、日常的に運動量を増やすとよいかもしれません。


排便環境を整える

一般的に朝食後は便意が起こりやすくなります。そのため朝食後にトイレに行く習慣をつけるとよいでしょう。食後は腸の動きが活発になるため、食後を意識してトイレに行くと便秘改善につながります。

市販の便秘薬を考慮する

便秘薬を選ぶ際は、便秘のタイプや今かかっている病気などを考慮する必要があり、選択を間違えると、場合によっては便秘を解消するどころか悪影響を及ぼすこともあります。
たとえば、大腸を刺激して排便を促す下剤の中には、依存性、習慣性から繰り返し使うと耐性が起こって、薬を飲んでも効果が得にくくなる薬もあり、長期間の使用はさける必要があります。
反対に効き目が穏やかで習慣性や依存性もないとされ、腸内の水分を保ち便をやわらかくするお薬でも、腎機能が悪い人は注意が必要な場合があります。
便秘薬は、薬局やインターネットでも購入できてしまいますが、自己判断で長期間使用するのは避け、かかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。また、ほかの病気の薬で便秘になることもありますので、今飲んでいるお薬についても相談するとよいでしょう。

医療機関を頼る

日常的に起こる便秘ですが、受診した方がよい場合の目安はどの程度なのでしょうか。基本的に週3回以上の通便がある場合は、ひとまず様子を見るのがよいでしょう。加えて腹部膨満、残尿感などがある場合には医師の受診をおすすめします。
生活習慣を見直しても便秘が十分に改善しない場合や、市販の薬を使用しても効かない場合も医師を頼ってみましょう。一般の内科、あるいは消化器内科などを受診してみてください。

便秘の薬には大きく分けて、「腸内の水分を保ち、便をやわらかくする作用のもの」と「腸の動きを活発にして排便を促す作用のもの」と2つの作用があります。
お薬によっては両方の作用があるものや、必要に応じて漢方薬を使う場合もあります。

中には大腸がんなどの悪性疾患が関与して便秘になる場合もありますので、たかが便秘と思わず、医療機関を受診しましょう。