
その172(2021年10月号)
- 市販の解熱鎮痛剤にはどのようなものがありますか?
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成分の違いで痛み・炎症・解熱効果にも差があります。また、一つの成分だけでなく複数入った配合剤や、薬の形にも錠剤・散剤・液剤など多くの種類があります。
ご自身に合った薬を選ぶため、まずは薬剤師に相談しましょう。
解熱鎮痛剤とは?
その名の通り、痛みや発熱を抑える目的で使われる薬です。成分による違いはありますが、市販薬でも多くの製品が流通しており、一般的には対症療法で用いられます。

市販の解熱鎮痛剤にはどんな種類があるの?
主成分
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)
発熱・炎症、疼痛の原因となるプロスタグランジンの産生を抑えることにより、解熱・抗炎症・鎮痛効果を発揮します。消化管粘膜や腎機能に負担をかけることがあるので注意が必要です。代表成分
ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン、エテンザミド非ピリン系解熱鎮痛薬
脳において痛みの信号を抑える働きと、上昇した体温の設定温度を元に戻す働きにより鎮痛・解熱効果を発揮します。妊婦や小児等対象が広いですが、抗炎症効果は低い傾向にあります。使いすぎると肝臓に負担がかかるので注意が必要です。代表成分
アセトアミノフェンピリン系解熱鎮痛薬
非ステロイド性抗炎症薬と同じように、プロスタグランジン産生を抑えることにより解熱・鎮痛効果を発揮しますが、抗炎症効果は弱く、皮膚症状(ピリン疹)の副作用が出る人には使えません。代表成分
イソプロピルアンチピリン補助成分
先に挙げた主成分と一緒に配合剤として用います。催眠鎮静剤
脳の興奮を抑えて痛みを感じにくくします。代表成分
ブロムワレニル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素中枢神経興奮剤
脳を覚醒させる事により、頭重感や疲労感を軽減させます。代表成分
カフェイン水和物、無水カフェイン制酸剤
解熱鎮痛剤による消化管粘膜への副作用を防ぐ目的で用います。代表成分
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル生薬
抗炎症、血流改善、筋肉のけいれん緩和、発汗作用目的などに用います。代表成分
甘草、桂皮、生姜、地竜、芍薬薬の剤形(かたち)
錠剤、カプセル剤
最もスタンダードな剤形、保存性・携帯性に優れます。散剤、顆粒剤
錠剤の飲み込みが苦手な人にも使えます。吸湿性に注意が必要です。液剤
水なしすぐに服用できます。溶けるのを待つ時間が必要ありません。口腔内崩壊錠
錠剤の形をしていますが、水なしで溶けて服用可能です。解熱鎮痛剤の注意点は?
解熱鎮痛剤に限らずですが、妊婦、授乳婦、小児、高齢者、他の薬やサプリメントを常用している方、過去に大きな病気をされた方、持病をお持ちの方、アレルギーや薬の副作用が出たことがある方等については、要相談となります。解熱鎮痛剤の成分によっては禁忌(使ってはならない)対象となりますので、注意が必要となります。特に小児へは自己判断で大人の薬を与えないようご注意ください。過剰服用により副作用のリスクが高まるのに加え、かえって痛みを感じやすくなってしまう悪循環を生じる可能性もあります。定められた用法用量を守ってお使いください。
あくまで対症療法の薬となり、原因そのものを治すものではありません。症状が激しい場合や長く続く様であれば医療機関への受診を検討して下さい。

新型コロナワクチンの副反応に市販の解熱鎮痛剤を使ってよいの?
副反応による発熱、疼痛に関し市販の解熱鎮痛剤で対応可能との見解ですが、やはり症状が重い場合や長引く様であれば医療機関の受診を検討して下さい。厚生労働省(以下リンク)より指針が発表されています。
新型コロナワクチンQ&A(厚生労働省ホームページ)
