
その177(2022年3月号)
- 漢方薬にも副作用はあるのでしょうか?
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漢方薬も医薬品ですので、薬効があるのと同時に副作用があります。
普段と違う気になる症状が現れた場合には、すぐにかかりつけの医師または薬剤師にご相談ください。
漢方薬と副作用
漢方薬は一般的に薬効が穏やかなものが多いことから、副作用が少ないというイメージがあるかと思います。ですが、漢方薬も薬ですので、頻度は少ないとはいえ注意すべき副作用があります。
注意すべき副作用
偽アルドステロン症
偽アルドステロン症は生薬である甘草によって起きる副作用です。甘草の主成分であるグリチルリチン酸によって起こり、血圧上昇、むくみ、低カリウム血症をきたします。漢方エキス製剤に含まれている甘草の量では、問題になることは多くありません。ただ、甘草を含有する薬、グリチルリチン酸を含む薬、一部の利尿薬との併用には注意が必要です。
間質性肺炎
間質性肺炎は発熱、空咳、呼吸困難などの症状を呈する疾患で、様々な薬剤で起こる可能性があります。漢方薬では小柴胡湯をはじめ、柴胡や黄ゴンを含む薬剤との関連があるようです。稀な副作用ですが重症化する場合があるため、早めにご相談ください。
皮疹
アレルギーの症状として発疹、蕁麻疹などの皮膚症状がでることがあります。特に桂皮、人参、地黄などで起こりやすいとされています。上部消化管症状
もっとも多い副作用として胃の不快感やもたれ、食欲低下、胸やけ、悪心、嘔吐といった上部消化管症状が出ることがあります。もともと胃腸が弱い方などは注意が必要です。ただ重い副作用ではないため服用時間を食前から食後に変えたり、服用量を減らすことで対処が可能です。
肝機能障害
非常に頻度は少ないですが、服用後1~2週間で発症することが多いとされています。
生薬による副作用
麻黄による副作用
麻黄は特に高齢の方や胃腸の弱い方で副作用がおこりやすいとされています。主成分のエフェドリンには交感神経興奮作用などがあり、その作用による不眠、動機、血圧上昇、発汗、排尿障害が出る可能性があります。
大黄による副作用
大黄は下剤としての作用があり、効果に個人差があるため少量でも腹痛、下痢をきたすことがあります。附子による副作用
附子は冷えや痛みに用いますが、神経症状として動悸、のぼせ、口や舌のしびれ、悪心などを起こすことがあります。子どもでは副作用が起こりやすいと言われています。山梔子による副作用
山梔子は婦人科系でよく出される加味逍遙散などに含まれる生薬で、長期服用によって腸間膜静脈硬化症という稀な疾患を発症することがあります。腹痛や下痢、便秘、腹部膨満が繰り返し現れるようでしたらご相談ください。
最後に
漢方薬にも様々な副作用が起こりえることがお分かりになったかと思います。ただ頻度は少ないですし、必要以上に警戒する必要はありません。処方は患者さん一人ひとりの体質や症状によって出されますので、頭の片隅に置いていただく程度で大丈夫でしょう。気になる方はかかりつけの医師、薬剤師にご相談ください。
