今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その188(2023年2月号)
Q
寒くなると「じんましん」が出やすいのですが、良い市販薬はありますか?
A
寒い季節に出る「じんましん」の代表として「寒冷じんましん」があります。市販薬として抗ヒスタミン成分含有の塗り薬が効果的です。まずはお近くの薬局・薬剤師にご相談下さい。

はじめに

そもそも「じんましん」は、皮膚の中にある肥満細胞と呼ばれる部位に、刺激が加わることで皮膚の組織の中に「ヒスタミン」という物質が発生し、皮膚の炎症、かゆみを起こす症状のことを言います。「うっかりアレルギー症状の出る食物を食べてしまった」「草むらで“うるし”に触れた」「金属アレルギー」などにより、皮膚が赤くなったり、発疹・島状にいくつものふくらみをもった炎症、かゆみが出たことのある方も多いかと思います。

寒冷じんましんの原因

「寒冷じんましん」とは、「寒暖差アレルギー」とも呼ばれ、皮膚が冷たい風や空気に触れたり、冬の屋外などで冷たいものに接触することで、かゆみが出ると考えられています。実は寒冷じんましんの主たる原因について、まだ分からないことが多いのが現状です。

寒冷じんましんの特徴

症状の多くは、接触直後から数十分の間に部分的、局所的に発症し、数時間で自然に軽減します。しかし、中には長時間にわたり症状が続いたり、からだ全体に症状が出たりすることもあります。

寒冷じんましんの対処法

寒冷じんましんに対しては、対処療法が有効です。冷えが原因ですので、まずは全身を温めて下さい。更に、内服薬として抗ヒスタミン成分含有の飲み薬や、外用剤でもステロイド剤や抗ヒスタミン成分含有のクリーム、軟膏を用います。
いずれも市販薬として販売されていますので、お近くの薬局で入手することが出来ます。その際は薬剤師にご相談下さい。

最後に

寒冷じんましんは、寒暖差の影響を受けると発症することが分かっています。日ごろから衣類の重ね着などで体を冷やさないようにしましょう。寒い日の外出時には手袋やマフラー、スカーフなどを積極的に用い、薄着でのお出かけは避けて下さい。
また、お風呂上りの湯冷めにも注意したいところです。特に入浴直後にアイスクリームを食べたり、冷たい飲み物を摂ることも控えた方が良さそうです。サウナに入ったあと水風呂に入ることにより、症状が出る方もいます。

なお、寒冷じんましんを繰り返し起こす方や、加齢に伴い寒冷じんましんを発症するようになった方は、じんましんを増悪させるその他の原因があることも考えられます。アレルギー反応のほかに免疫反応も影響しているかもしれません。アレルギーに関しては、血液検査などで確認することが出来ますので、早めに医療機関への受診を検討してみて下さい。