
その198(2023年12月号)
- インフルエンザの対策にはどんなものがありますか?
- 基本的な感染対策として「マスクの着用」「手洗い等の手指衛生」「換気」「人と人との距離の確保」などがあります。インフルエンザワクチン予防接種も、高齢者や基礎疾患のある方などに効果が高いと考えられます。
インフルエンザ発生状況
新型コロナウイルス感染症の発生以前は、11月から発生し始めて4月頃には収束していたインフルエンザが、2023年以降収束せず発生が続いている状態です。最近では、この時期としてはまれにみる発生状況となっています。例年ではピークを迎える年末には、さらなるピークが来ることが予想されています。
なぜ、インフルエンザは収束しなかったのか?
新型コロナウイルス感染症の感染対策の緩和が、日本より早かった外国でも同様の早期流行が起こっています。インフルエンザの流行がしばらくなかったため、国民のインフルエンザへの免疫が低下していたことに加え、5月8日からの新型コロナウイルス感染症の5類移行で、感染対策が緩和されたことが影響しているようです。
感染防止について
新型コロナウイルス感染症が5類に引き下がり、インフルエンザも蔓延していることから、新型コロナウイルス感染症の予防方法がインフルエンザの感染対策としても有効です。マスクの着用
医療機関を受診する時や、高齢者など重症化リスクの高い方が多く入院・生活する医療機関や施設などへ訪問する時は、マスクの着用を推奨します。 また、せきやくしゃみが出る場合も他の人にうつさないためマスクを着用しましょう。ただし、子どもについては、すこやかな発育・発達の妨げとならないよう配慮することが重要です。また、障害特性等によりマスクの着用が困難な場合には、個別の事情に鑑み、差別が生じないよう十分配慮が必要です。
予防接種
インフルエンザワクチンの予防接種には、発症をある程度抑える効果や、重症化を予防する効果があり、特に高齢者や基礎疾患のある方など、罹患すると重症化する可能性が高い方には効果が高いと考えられます。接種回数について、13歳以上の方は1回接種を原則としています。ただし、医学的な理由により、医師が2回接種を必要と判断した場合は、その限りではありません。なお、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同日に接種することが可能です。

代表的な治療薬(抗ウィルス薬)
内服薬
- タミフル・オセルタミビル(一般名:オセルタミビルリン酸塩)
- ゾフルーザ(一般名:バロキサビル マルボキシル)
吸入薬
- リレンザ(一般名:ザナミビル水和物)
- イナビル(一般名:ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)
点滴薬
- ラピアクタ(一般名:ペラミビル水和物 塩野義製薬)
上記のように多種の薬剤がありますが、年齢や重症度、投与経路の点を考慮して薬剤が選択されます。
最後に
すでに発生件数が多くなっている現状もあり、薬不足などの事態も想定されます。「うつらない」「うつさない」ということを考えて行動することが重要です。
