今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その204(2024年6月号)
Q
HPVワクチン接種を迷ったまま20歳になりましたが、まだ接種できますか?
A
2025年3月末までキャッチアップ接種が行われており、定期接種対象の小学6年生~高校1年生に加え、高校2年生~27歳女性が公費にて無料接種可能です。
接種完了に約6か月かかるため、2024年9月末までに1回目接種を開始すれば全3回の接種を公費で完了する事ができます。

HPV(ヒトパピローマウイルス)とは

HPVは、性的接触のある方ほとんどが生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんをはじめ、肛門がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマなど多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性で、子宮頸がんになってしまう方が増えています。

子宮頸がんについて

日本では毎年10,000人以上の女性が新たに子宮頸がんと診断されています。また、年間約2,900人の女性が子宮頸がんで命を落としています。別名マザーキラーと呼ばれており、20~30代でかかる方が多く、妊娠や出産に影響が出てしまう場合が多いです。もし早期発見できたとしても、治療の内容によっては、妊娠の維持が難しくなってしまうことがある深刻な病気です。
子宮頸がんは、通常、初期にはほとんど自覚症状がありません。HPV感染後、数年~十数年かけて進行してからやっと、不正出血やおりものの増加などの症状がみられます。自覚症状が出にくいからこそ、2年に一度の検診での確認と、ワクチンでHPV感染を予防することが重要です。

HPVワクチンについて

現在HPVワクチンは、防ぐことができるHPVの種類によって、2価、4価、9価ワクチンの3種類があります。HPVには200以上の種類があり、9価ワクチンはこのうち9種類のHPVの感染を予防し、子宮頸がんの原因の80~90%を防ぐことができます。

HPVワクチンの種類と予防できるウイルスの型

HPVワクチンの種類予防できるウイルスの型
2価ワクチン(サーバリックス)16型、18型
4価ワクチン(ガータシル)16型、18型、6型、11型
9価ワクチン(シルガード9)16型、18型、6型、11型、31型、33型、45型、52型、58型

標準的なワクチン接種スケジュール

一定の間隔をあけて、同じワクチンを2回または3回接種します。3回目の接種を終えるまでに約6か月はかかります。接種するワクチンや年齢によって接種のタイミングや回数が異なります。

公費で接種できる対象者

HPVワクチンは定期接種で、小学6年生~高校1年生の女子であれば公費にて無料で接種できます。また、厚労省の積極的勧奨の差し控えによって接種機会を逃した女性に対して、公平な接種機会を確保することを目的として、現在期間限定でキャッチアップ接種が実施されています。2025年3月末までならば、高校2年生~27歳の女性も公費にて無料で接種できます。


接種完了には約6か月かかるので、2024年9月末までに1回目の接種を開始すると、3回の接種を公費で完了することができます。期限が迫っていますのでご注意ください。
キャッチアップ接種対象者に対して、定期接種の対象年齢を過ぎてから、HPVワクチンの任意接種を既に自費で受けた方への費用助成(償還払い)も行われています。接種券について、また償還払いの詳細に関しては、住民票のある市町村のホームページをご覧ください。

HPVワクチンの男性への接種について

HPVワクチンは女性だけが打つもの、という印象がある方もいらっしゃるかもしれませんが、男性への接種も多くの国で推奨されています。男性が接種することで、自分自身の咽頭がんや陰茎がん、肛門がん、尖圭コンジローマの予防になりますし、パートナーへHPVを移すことが防げます。
日本国内において、まだ男性は定期予防接種の対象でないため、自費での接種になってしまいますが、4価ワクチンであれば接種が可能です。東京都中野区や足立区など、男性へのHPVワクチン接種費用を補助する自治体も増えてきています。

HPVワクチンの副反応について

HPVワクチンが定期接種となった2013年に、ワクチン接種後の全身の痛み、歩行障害など様々な症状が話題になり、厚労省による「積極的な接種勧奨の一時差し控え」が行われた経緯があります。その後、日本を含め世界中で数多くの研究が行われ、接種後の様々な症状は必ずしもワクチンが原因ではなく、思春期に多い起立性調節障害など別の疾患が原因であった可能性が考えられています。世界保健機関WHOや、日本産科婦人科学会含む国内17の学会で、現在HPVワクチンは安全なワクチンとして接種を勧めています。
よく起こる副反応としては、接種部位の腫れや痛み、全身症状として発熱、頭痛、筋肉痛などが報告されており、通常は数日間で治まります。注射に対する恐怖心が強い方は、接種直後に失神してしまうこともありますので事前に医療機関に伝えておくことが大切です。
安心安全にHPVワクチンの接種ができるように、各都道府県において、相談窓口や協力医療機関が選定されています。長野県の相談窓口一覧はこちらをご覧ください。

おすすめサイト