その208(2024年10月号)
- 今飲んでいる薬の支払いが増えると聞いたのですが。
- 令和6年10月1日から、医療上の必要性がないにもかかわらず、患者さんが「後発医薬品でなく先発品(長期収載品)を使いたい」と希望した場合、一部の医薬品においては、両者の差額の4分の1を患者さん自身が負担する仕組み(選定療養)が導入されました。
医薬品の選定療養とは
令和6年10月から医薬品の自己負担の新たな仕組み(選定療養)が始まりました。後発医薬品(ジェネリック医薬品)があるお薬で、先発医薬品の処方・調剤を希望される場合は、その薬価の差額の4分の1相当を、「特別の料金」として、医療保険の患者負担と合わせて患者さんが支払う仕組みです。
国民の保険料や税金でまかなわれる医療保険の負担を公平にし、将来にわたり国民皆保険を守っていくために、国は、価格の安い後発医薬品への置き換えを進めています。そのため、医療上の必要性がある場合を除き、より価格の高い一部の先発医薬品を希望される場合には、「特別の料金」として、患者さんが負担することとなりました。
Q&A
- Q「特別の料金」はどのように計算されるのですか?
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例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円を、通常の1~3割の患者負担とは別に「特別の料金」として支払う必要が生じます。「特別の料金」は課税対象であるため、消費税が加わります。後発医薬品がいくつか存在する場合は、薬価が一番高い後発医薬品との価格差で計算されます。薬剤料以外の費用(診療・調剤の費用)はこれまでと変わりません。
- Qすべての先発医薬品が「特別の料金」を支払う対象となりますか?
- いわゆる長期収載品と呼ばれる、同じ成分の後発医薬品がある先発医薬品が対象となります。薬価基準に収載されてから5年以上経過している、後発品への変更率が高いなどの条件が国によって定められています。負担にあたっては、患者さんが医薬品を選択する際に十分な説明がなされることが求められており、入院中の患者さんは対象外となります。
- Qどのような場合に「特別の料金」を支払うことになりますか?
- 例えば、“使用感”や“味”など、お薬の有効性に関係のない理由で先発医薬品を希望する場合に「特別の料金」の負担が発生します。過去に当該後発医薬品において副作用が出たことがある場合には、医師、歯科医師、薬剤師にご相談ください。
- Q医療機関や薬局の収入が増えるのでは?
- 選定療養制度により、医療機関や薬局の収入が増えるわけではなく、保険による給付が減少することにより医療保険財政が改善されることとなります。
- Q流通の問題などにより、医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合にも「特別の料金」が発生しますか?
- 流通の不足などにより、医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合には、「特別の料金」を支払う必要はありません。