今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その153(2020年3月号)
Q
眠れないのですが何かよい薬はありますか?
A
不眠にはいくつかタイプがあります。
寝付きが悪い、途中で目が覚めてしまう、朝早く起きてしまう等、不眠のタイプからお薬を考えていきます。
医師や薬剤師にどのように眠れないのかを伝え、ご相談ください。

不眠のタイプ

寝つきが悪い(入眠障害)

床に入ってから眠りにつくまでの時間が長く、なかなか寝つけない状態。

睡眠途中に目が覚める(中途覚醒)

いったん眠りについた後、起床するまでに何度も目が覚めたり、一度起きた後になかなか寝つけない状態。

希望する時間より早く目が覚める(早朝覚醒)

本人が望む時刻、あるいは通常の起床の2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れなくなってしまう状態。

眠りが浅い(熟眠障害)

睡眠時間は十分であるにもかかわらず、よく眠れた、深く眠れたという感覚が得られない状態。

※複数のタイプを伴う場合もあります。

主な睡眠薬の種類

主に使用される睡眠薬はベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、その他のタイプに分けられます。また、作用する時間によってさらに4つの種類に分けられ、不眠のタイプ別に選択されます。

ベンゾジアゼピン系

  • 超短時間型:トリアゾラム
  • 短時間型:ブロチゾラム、エチゾラム、ロルメタゼパム
  • 中間型:ニトラゼパム、エスタゾラム、フルニトラゼパム
  • 長時間型:クアゼパム、フルラゼパム

非ベンゾジアゼピン系

  • 超短時間型:ゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデム

その他

  • ラメルテオン
  • スボレキサント

代表的な睡眠薬の種類と効果

睡眠薬の効いている時間別に分類した図。その人の不眠のタイプにあわせてお薬が選ばれます。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬の依存

短期間であれば、依存形成の危険性は低いとされています。しかし、長期(3~6ヶ月以上)使用では依存形成が問題となり、お薬を減らす際に離脱症状(不安、焦燥感、イライラ、手の震え、汗、食欲不振等)が見られることがあります。結局お薬を中止できないと、さらに長期使用に繋がるという負の循環を生じてしまいます。

不眠が十分に改善しているのであれば、休薬日を設けたり、睡眠薬の減量に挑戦することが大切です。

※睡眠薬を急に中止すると離脱症状(不安、焦燥感、イライラ、手の震え、汗、食欲不振等)が見られることがあります。減量のしかたは必ず医師と相談しましょう。


ラメルテオン、スボレキサントは依存形成が極めてしにくい薬剤と言われています。また、ふらつき、脱力感等の筋弛緩作用は認められず、高齢の方が使用しやすい睡眠薬です。

日常生活で工夫できること ~睡眠薬に頼らないために~

  • 日光を浴びる
  • 休日でも起床時間は平日と2時間以上ずらさない
  • 昼寝は午後3時までの20~30分以内にする
  • カフェインを多く含むお茶やコーヒーを夕方以降飲むのを控える
  • 部屋の照明は明るすぎないようにする
  • 寝酒はしない

    ※お酒は睡眠を浅くし、睡眠の質を悪化させます。またアルコール依存症の危険性があります。お酒に頼るのはやめましょう。

  • 寝る前のパソコン、携帯、テレビの使用を避ける