今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その165(2021年3月号)
Q
花粉症の時期に向けて準備しておくことはありますか?
A
花粉飛散情報をチェックし、マスク着用などにより花粉になるべく接しないようセルフケアが必要です。また、医師・薬剤師に相談のうえ、早めに治療薬を開始して症状を抑えるなどして飛散シーズンを乗り切りましょう。

まず花粉症かどうかの確認をしましょう

花粉症の症状といえば「くしゃみ」「鼻みず」「鼻づまり」「目のかゆみ」で、風邪と区別しにくい場合もあります。鼻の疾患では副鼻腔炎(蓄膿症)などとの鑑別が必要になります。「実は花粉症じゃなかった」とならないようにしたいですね。
それには本当に花粉症なのか、何の花粉が原因なのかを確認することが大切です。耳鼻咽喉科、内科、眼科などが一般的ですが、症状に応じた診療科を選ぶのがおすすめです。かかりつけ医やかかりつけ薬局に相談してみるのもよいでしょう。

花粉飛散シーズンはセルフケアで乗り切ろう

スギ花粉などは花粉飛散予測を見ても分かるように、生活地域全体を覆うように飛散しているので、完全な回避はなかなか難しいものです。花粉症で悩まないためには、花粉を避け工夫した生活や、早めの予防が重要になります。

外出時には・・・

  • マスク、メガネ、帽子を着用する
  • 花粉が付着しやすい羊毛類の衣類をさける
  • 玄関に入る前に、上着、ズボン、帽子、髪の毛、バックなどをよく払う
  • 帰宅したら手洗いうがい、洗顔も

家の中では・・・

  • 花粉の飛散数が多い日の洗濯物や布団は室内に干すか、乾燥機などを利用する
  • 飛散の多いときは窓や戸をしめて屋内に花粉を入れない
  • 部屋の隅は花粉がたまりやすいです!こまめに掃除して室内をきれいに✨
  • 空気清浄機があれば利用を
  • 飛散の多い日はなるべく外出を控えて😞

医療機関から処方される主な薬について

最近では、初期療法といって、花粉が飛散する少し前または症状が軽い時から薬を予防的に服用して、症状の発現を遅らせたり、症状を軽くしたりする方法が多くなっています。

抗ヒスタミン薬(第1世代、第2世代)

くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどを引き起こすヒスタミンの働きを抑えます。主な副作用としては、眠気や口の渇きなどがありますが、最近の第2世代の抗ヒスタミン薬ではその副作用は軽減されています。

ロイコトリエン拮抗薬

特に鼻閉が主症状の場合によく使用されます。何日か続けて飲むことで、徐々に効果が高まります。抗ヒスタミン薬などと組み合わせて使用されることが多いです。

ケミカルメディエーター遊離抑制薬

花粉が体内に入った時にアレルギー症状を引き起こす体内物質が出るのを抑える薬です。効果が出てくるまでには2~4週間程度かかるので、なるべく早くから使用をする必要があります。

点眼薬

アレルギーによる目のかゆみ、結膜充血などの諸症状を改善します。

鼻噴霧用ステロイド薬

鼻に噴霧する薬です。局所で使う事で高い効果がある上、全身性副作用が少なくなります。

市販で購入できる薬もあります

医療用医薬品からからスイッチしたOTC医薬品も種類が増えてきました。市販薬を使う場合は薬局やドラッグストアの薬剤師に自分の症状を伝えて相談しましょう。

新しい治療法について

花粉症の新たな治療法としてアレルギーの物質(スギ花粉やダニ)にだんだん体を慣れさせ、身体の免疫の状態を変えていくことで症状を和らげたり、根本的な体質改善が期待できる治療法です。
近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。このような治療は専門医の指導の下に使用する必要があります。どのような治療が適しているか、医師とよく相談して決めましょう。