今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その167(2021年5月号)
Q
薬物乱用とはなんですか?
A
違法・合法を問わず薬物を決められたルールや法律から外れて使用する事を指します。
複数回ではなく、1回使用しただけでも乱用にあたります。

薬物乱用とは

基本的な考えとしては薬物をルールや法律を破って用いることを指します。使用回数は問わず、1回でも乱用に当たります。
また、誤解されやすい部分として、麻薬や覚せい剤、大麻などのいわゆる違法薬物だけが対象となるわけではありません。市販の薬や処方箋の薬などでも、ルールを外れて使用すると「薬物乱用」に該当します。

薬物乱用の影響

薬物により身体的にも精神的に様々な悪影響が生じます。以下は代表的な影響です。

  • 脳:意識障害、幻覚・妄想、記憶力低下、けいれん、脳溢血等
  • 肺:肺気腫、肺炎等
  • 消化器:嘔吐、拒食症、腎機能不全、肝機能不全等
  • 心臓:動悸、血圧上昇、不整脈、心不全等
  • 生殖器:先天異常等
  • その他:AIDS、肝炎など血液を媒介した感染症

薬物依存とは

精神依存

薬物により得られた快楽は強力で、再度薬物を摂取したいという欲求が強く生じます。これにより我慢という自意識によるブレーキが利かなくなる状態を指します。

身体依存

薬物が身体からなくなると、不安感、不眠、頭痛、嘔吐などの離脱症状を生じ、薬物をやめられなくなってしまう状態を指します。

薬物耐性

薬物の連用により身体が慣れる状態を指します。同じ効果を得るのに必要な薬物の量が増え、より刺激の強い強力な薬物に手を出すきっかけの一つとなります。

フラッシュバック(自己再燃)

薬物依存により身体の組織が変化すると、薬物を止めた後も何かのきっかけで再び幻覚・妄想などの精神異常が再発します。これにより薬物を断ち切った後も再度乱用に陥ったりしてしまいます。

薬物乱用のきっかけ

最初の1回目は、友人や知り合いなどの誘いを受け、好奇心で使用してしまうケースが多く見られます。興味本位で手を出したタバコやお酒などからエスカレートし、大麻、麻薬、覚せい剤等、気が付けば引き返すことのできない薬物依存に至ります。
また、最近ではネットのゲームやSNSなどを通じて、現実では会った事のない相手とのやり取りから薬物使用につながるケースもあります。


薬物乱用を防止するために

正しい知識を持つ

薬物の見た目や名前にだまされず、その危険性や違法性について認識する。

自分の意志をはっきり伝える

周囲に流されず、誘われても断る勇気を持つ。状況的に難しいようであればその場を離れる、助けを呼ぶ。

一人で抱え込まず、周囲の人に相談する

自分一人で解決しようとせず、家族、友人、先生などに悩みを伝える。