今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その170(2021年8月号)
Q
車酔いしやすいのですが、良い薬はありますか?
A
酔い止めの市販薬があります。お子様向けのお薬もありますので、お近くの薬局・薬剤師にお気軽にご相談下さい。

はじめに

みなさんの中にも車酔いしやすい方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。自動車やバス、電車をはじめ、船舶や飛行機で車酔いの症状が出ることがあります。
乗車する前にすでに気持ち悪くなったり、乗車後まだ乗りものが動いていないのに「匂い」で車酔いの症状が出る人もいます。
また、ジェットコースターなどのアトラクションで目が回り、めまい症状が出たり、最近ではテレビゲームのVR画面や、ドライブレコーダーの映像でも同じようなことが起きることもあります。その原因と対処法を簡単にご説明します。

車酔いの原因は

車酔いの主な原因は、乗りものに乗って、左右の揺れや加速・減速による前後の不規則な揺れによって、頭の中の三半規管が影響を受けて、めまい感や吐き気をもよおします。三半規管は人間のバランスを保つために重要な器官ですので、少しの刺激でも体調を崩しやすくなります。
運転している人はハンドルを握り、自分でアクセル・ブレーキをコントロールし、進行方向を見ているので、自身で車酔いすることがないのはそのためです。

長時間の移動で雑誌や小説、新聞などを暇つぶしに読むという行為も車酔いの原因となります。スマートフォンで連絡のやり取りを頻繫に行うのも非常にリスクがあります。小さい字を目で追っていると、知らず知らずのうちに車酔いの症状になってしまいます。
ガソリンスタンドでガソリンを入れた時の匂いや排気ガスの匂い、車の芳香剤や革のシートの匂いなども車酔いの原因となります。さらには車内の温度や湿度等にも大きく左右されます。これは三半規管への刺激というよりは自律神経への影響が大きいと考えられます。
これも昔から言われているのですが、寝不足や疲労、かぜなどの体調不良も一因となります。空腹時や食べ過ぎも同様に症状を悪化させることもあります。

車酔い時の症状

車酔いをしたことがある方は経験があると思いますが、まず生あくびや多少めまい感が出はじめます。次に顔色が悪くなって生唾などを飲み込む回数が多くなります。このころから頭の痛みや動機、冷や汗、吐き気などいわゆる車酔いの症状になります。釣りなどでの船酔いは本当に辛いですね。

車酔いの対処法

車酔いしやすい体質の方は、あらかじめ車酔いの薬を服用するのが一番の対処法になります。
「車酔いの薬は眠くなる」と思われている方もいらっしゃいますが、眠気の出にくい車酔いの薬もあります。また、小さなお子様用にもシロップタイプやトローチタイプなど概ね3歳以上から服用できるものもあります。

普段は車酔いなどしないのに“今日に限ってダメ”ということもあります。今現在市販されている薬の多くは、症状が出てから服用しても効果のある薬が主流になっています。あらかじめ用意しておけば安心ですので、お出かけ前にお近くの薬局・薬剤師へご相談下さい。

車酔い対策としては、リラックスして乗車するということが大事です。換気をこまめにして過ごしやすい空間にする、ボタンやベルトはきつく締め付けない、リクライニングも心地よい角度を維持すると良いでしょう。
また、スマートフォンや読書、ゲームなどはしないようにして下さい。自家用車での移動では、こまめに休憩をとって気分転換をしましょう。メンタル面で余裕を持つことが大事です。

最後に

コロナ渦では、なかなか遠出する機会も減っていますが、それでも日常的に買い物などで車や電車、バスでの移動をする方も多いと思います。せっかくのお出かけですから、楽しい時間を過ごしたいものです。
ただし、頻繁に車酔いの症状が出る、一度車酔いすると一日中体調が悪いということがあれば、単なる車酔いではなく、他の病気(例えばメニエール病など)も原因としてあるかもしれません。そのような方は、かかりつけ医での診察をお勧めします。