今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その178(2022年4月号)
Q
お薬にも使用期限はありますか?
A
医薬品にも使用期限が設定されています。内服だけでなく外用剤も含め、未開封状態で製造より概ね3~5年が一般的です。しかしながら温度・湿度・光などの環境に大きく左右されるので、保管場所にも注意が必要となります。

はじめに

すべからく物質であるからには、永久不変という事はあり得ません。よって医薬品も期待される効能を維持できる期間は限られています。その期限をこえた医薬品を使用して「効かない」だけでなく、場合によっては体調を損なう可能性もあります。
以上を踏まえ、期限の切れた医薬品についての使用は避けるのが原則となります。

「有効期限」と「使用期限」の違い

有効期限

薬品の有効性を保証する期限で、有効最終年月日が記載されます。一般的に期限が3年より短い一部の医薬品(生物学的製剤や抗生剤等)に法律に基づいて設定されています。

使用期限

医薬品・医薬部外品・医療機器が最終包装製品の形態で通常の流通下の保存条件で保存される場合、成分の含有量・性状・品質を保証しうる期限。
一般的に製造後3~5年位が目安となります。配置薬に関しては配置期限と呼称が変わります。

薬の使用期限を調べるには

市販薬

外箱に記載があります。塗り薬などの外用薬については直接容器に記載がある場合もあります。家庭内で保管する場合は外箱も一緒に保管するようにしましょう。

医療用医薬品

市販薬同様塗り薬などの外用薬については直接容器に記載がある物が多いです。錠剤などではまれにシートに記載がある場合もありますが、ほとんどはロット番号のみの記載です。
ロット番号を基に調剤してもらった薬局で調べることができますので、伺ってみて下さい。

期限や保管に注意が必要な薬剤

医薬品の安定性に影響を与える要素として「光・水・温度」が挙げられます。
使用期限内であっても適切な保管状況でなければ、医薬品本来の性能を発揮できない恐れがあるので注意が必要です。


開封品

内服薬
非包装状態での安定性は薬剤により異なりますが、3ヶ月以上は安定性のデータが乏しい場合も多いので廃棄を検討して下さい。
外用薬
点眼薬や軟膏を練り合わせた塗り薬など、使用による汚染に注意が必要となります。1ヶ月をこえたものは廃棄を検討して下さい。
シロップ剤、液剤
外用薬同様開封品は使用による汚染に注意が必要となりますので、1ヶ月をこえたものについては廃棄を検討して下さい。

要冷品

注射剤や一部の目薬や坐薬などが該当します。こまかくは冷蔵保存や冷所保存で保管する温度が異なりますが、基本的には冷蔵庫内での保管となります。
インスリン等の注射剤については、一度凍結すると見た目には変わりなくても成分変化により期待する薬効が得られない可能性があるので凍結を避けるよう注意して下さい。
また、一部の外用薬では冷蔵庫の保管により逆に性状が不安定になる事もありますので、何でもかんでも冷蔵庫で保管しないようにしましょう。

要遮光品

一部の錠剤や液剤、点眼薬などで光に弱いものがあります。光への対策として基本的には遮光性の包装や外袋に入っています。
しかしながら一包化による非包装や、点眼薬を外袋から出した状態での保管には注意が必要です。金属の缶など遮光性の高い容器で保管するようにしましょう。

余った薬が出てきたら

市販の医薬品や配置薬など常備目的の医薬品については、未開封かつ適切な保存条件下で使用期限内であればそのままご使用頂けます。
処方箋等により交付された医療用医薬品であれば、処方箋通りの使用日数が原則となります。特に急性疾患で処方された残薬を次の機会にまた使おうとするのは、同じ疾患であるかの判断を含め、かえって体調を悪化させる原因にもなりますので、特段医師からの指示等無いようであれば、自己判断での使用は避け廃棄して下さい。
常用している薬については、調剤してもらった薬局にて使用可能かの判断をしてもらうようにしましょう。