今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その179(2022年5月号)
Q
子どもに吐き気止めと解熱剤の坐薬が処方されました。
どういう順番で使えばいいですか?
A
吐き気止めの坐薬を先に使い、30分以上時間を空けて解熱剤の坐薬を使ってください。
逆の順番で使った場合は吐き気止めの坐薬の効果が弱くなってしまいます。
このように坐薬を使う順番が大切なのは2剤が真逆の製剤特徴を持っているためです。坐薬の製剤特徴を勉強しましょう!

坐薬の製剤特徴

坐薬の基本的な構成は有効成分と基材です。基材とは有効成分の吸収、薬の成形などに役立つ成分のことです。
吐き気止めの坐薬は油に溶けやすい有効成分(ドンペリドン)を水っぽい基材で成形しています。一方、解熱剤の坐薬は水に溶けやすい有効成分(アセトアミノフェン)を油っぽい基材で成形しています。
先に解熱剤の坐薬を使うと直腸内に油っぽい基材が残ります。そこに吐き気止めの坐薬を入れると油に溶けやすい有効成分が油っぽい基材に取り込まれてしまい、体に吸収されにくくなります。これが、吐き気止めを先に使用するべき理由です。

外見は全く同じようにしか見えない坐薬ですが、真逆の製剤的特徴を持つ2つのグループがあることをご理解いただけたでしょうか。
この特徴を理解して薬を正しく使いましょう!

2つのグループの事例をいくつかあげます。

油に溶けやすい有効成分と水っぽい基材のグループ

ドンペリドン吐き気止め
ジアゼパム(熱性)けいれん
ブチルスコポラミン臭化物鎮痙薬

水に溶けやすい有効成分と油っぽい基材のグループ

アセトアミノフェン解熱鎮痛剤
イブプロフェン解熱鎮痛剤
ビザコジル便秘治療薬