今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その193(2023年7月号)
Q
吸入薬を使った後、声がかすれてしまいますが、どうしたらよいですか?
A
吸入後に、適量の水でうがいをするようにしてください。吸入直前に口の中を湿らせておくことも有効です。また、うがいが苦手な方などには違う方法もありますので、薬剤師にお気軽にご相談下さい。

吸入薬を使用した後、どうして声がかすれてしまうの?

声がかすれてしまう原因として、吸入ステロイド薬が声帯の筋力を低下させてしまったり、薬剤の乳糖成分などが刺激になってしまう、免疫が抑えられてカンジダなどのカビが喉に付着するなどの可能性が報告されています。
対処法としてはまず、吸入後にしっかりうがいをすることが重要です。

どのようにうがいをしたら良いですか?

副作用が現れないようにするためには、口の中に残った薬を取り除くことがとても重要です。そのため、「吸入後に適量の水で、ガラガラ5秒、クチュクチュ5秒、合計10秒のうがい」をするようにして下さい。うがいは、吸入の後毎回するようにしましょう。また「吸入直前に、口の中を湿らせておく」ことで、薬が口の中に付着しにくくなります。

吸入後、どうして毎回うがいしないといけないのですか?

吸入薬は、気管支や肺に直接働きかける薬です。吸入後にうがいをする理由は、口の中に残った薬を洗い流すためです。それではなぜ、うがいまでして薬を洗い流す必要があるのでしょうか?
実は、口の中に薬が残っていると、その薬が思わぬ副作用を引き起こす原因となることがあるからです。

吸入薬が口の中に残ることによっておこる副作用

※吸入薬の成分にもよっておこりうる副作用は異なります。
口の中での副作用
  • 口内カンジダ ※通常では繁殖しないカビ(真菌)による
  • 口内炎
  • 声のかすれ など
全身の副作用
  • 動悸や手足のしびれ など

うがい以外に副作用を予防する方法はないの?

小さいお子さんや高齢者など、うがいが困難な方はどうしたらいいのでしょうか。
うがいに代わる手段として、吸入薬を食前に使用することをおすすめします。吸入後、薬が口の中に残ってしまっても食べ物と一緒に体内に入り、胃や肝臓が体の中で薬を分解してくれます。
また、うがいが困難な方が無理やりうがいをすると、誤飲などの事故に繋がる可能性があります。うがいは避け、食前の吸入にしてみてはいかがでしょうか。

吸入薬のタイプによっても、声がかすれる頻度が違います

ディスカス、エリプタ、タービュヘイラー

ドライパウダーで、使用方法が簡便などのメリットがありますが、粒子径が大きく、声がかすれる頻度が高いと言われています。
粉に若干甘味がついているので吸えているかどうかの確認ができるのと、あと何回使用できるか数字で表示されるカウンターがついているので、残数の確認にも便利です。ただし、少し粉っぽさを感じることと、ある程度吸う力がないと、気管支まで薬を届けることができないため、呼吸機能が落ちてしまった方などには不向きです。

ブリーズヘラー、ハンディヘラー

中にカプセルをセットして、そのカプセル内にある粉薬を吸って使用する吸入薬です。
吸っているときにカラカラと音が鳴るため、吸えているかどうかがすぐに分かります。こちらもディスカス等と同じように、ある程度吸う力が必要になります。

レスピマット、エアゾール

エアゾール製剤は、粒子径が比較的小さく声のかすれる頻度が少ないと言われています。吸入薬の成分が噴霧されるエアゾール・ミストタイプです。
空気と一緒に吸うことができるため、呼吸機能が落ちた方にも使用可能です。ただし、薬が噴霧されたタイミングで息を吸い込む必要があるので、少しコツが必要になります。また、残量が分かりにくく、添加されているエタノールの臭いや刺激が気になる方もいます。



吸入剤には様々なタイプのものがありますが、患者に合ったタイプの吸入剤を、主治医が選んで処方しています。 薬剤の効果を最大限に発揮させるために、また、うがいなどで副作用を軽減させるためにも、処方された吸入剤の使用方法をよく理解し、正しく使って症状をコントロールしていきましょう。