今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その195(2023年9月号)
Q
薬物アレルギーとはなんですか?
A
薬物アレルギーは薬剤によって引き起こされる過剰な免疫反応です。使用した薬剤が少量でも症状が出ることがあります。薬物アレルギーとして最も多い症状は皮膚症状であり「薬疹」と呼ばれます。

薬物アレルギーとは

人間にはもともと、体内へ侵入した異物を排除しようとする免疫機能が備わっています。この免疫機能が過剰に反応すると、有害な症状を引き起こすことがあります。これをアレルギーといいます。

私たちの病気やケガの治療を手助けしてくれる「薬」。薬の多くは分子量が小さいことから、一般的にはアレルギーは起こしにくいとされていますが、正しく薬を使用していても人によってはアレルギーを起こすことがあります。また、人体から抽出したもの以外を使った分子量の大きな薬は、アレルギーを起こしやすいと言われています。

薬物アレルギーの症状

薬物アレルギーで最も多い症状は、薬疹と呼ばれる皮膚症状です。薬疹は軽症のものから重症のものまでさまざまです。薬を飲んでから、蕁麻疹、発疹、目のかゆみなどの症状が現れたら注意しましょう。検査の結果により、肝障害、血液障害などが見つかることもあります。中でもアナフィラキシーショックは全身に起こる急性アレルギー反応で、急激に血圧が下がり、呼吸困難に陥って意識を失うこともある危険な状態です。

薬物アレルギーを起こしやすい薬

  • 抗生物質(ペニシリン系・セフェム系)
  • 解熱鎮痛薬(NSAIDなど)
  • 造影剤
  • 局所麻酔薬
  • 輸血製剤
  • など

薬物アレルギーの検査

パッチテスト

原因が疑われる薬の成分を検査用の絆創膏にしみこませて、背中や上腕に2日間ほど貼って、皮膚が赤くなるかどうか反応をみます。

プリックテスト

専用の短い針で皮膚を刺して、原因が疑われる物質をつけて15分後、30分後、1時間後に皮膚の状態を判定します。症状が強く出る恐れのある人は入院して行う場合もあります。

内服テスト

原因が疑われる薬を少量から徐々に増やして飲む検査です。こちらも重症度にあわせて入院して行う場合があります。

薬物アレルギーの対処法

すぐにアレルギーの原因である疑いのある薬の服用を中止しましょう。薬物アレルギーが疑われる場合、はじめは軽症に見えても重篤化することがあります。命にかかわることもあり、決して軽く見てはいけません。すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

一度、薬物アレルギーを起こすと体内にその薬に対する抗体が残るため、同じような薬を飲んだ時でもアレルギーを起こすことがあります。薬物アレルギーを起こした場合は、たとえ軽症でもその薬の名前を記録しておきましょう。
また、アレルギーは同じ体質の人に起こりやすいので、家族にアレルギー反応が出た場合、あなたに起こる可能性があります。この場合も同じように薬の名前を記録しておきましょう。お薬手帳に記載すると管理しやすいでしょう。

お薬手帳は処方されたお薬を記録するだけでなく、多くの活用法があります。市販薬はもちろん病歴、副作用歴、アレルギーの有無、体調に関することをメモすることで健康管理にとても役に立ちます。