今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その199(2024年1月号)
Q
ビタミンの種類と効果を教えて下さい。
A
インターネットやテレビでよく目にするビタミン。13種類確認されています。市販で購入可能なものが多くあります。購入を検討されている場合は、ぜひ治療への影響や飲み合わせをかかりつけの医師や薬剤師に相談してみて下さい。

ビタミンの名称と主な役割

水溶性ビタミン

ビタミンB1糖類・脂質・タンパク質代謝に関与、神経機能維持
ビタミンB2酸化還元反応の補酵素
ビタミンB6アミノ酸の合成分解を助ける補酵素
ビタミンB12赤血球合成の正常化、神経の働きに関与
ビタミンCコラーゲンの形成、メラニン色素形成抑制
ナイアシン酸化還元反応の補酵素
パントテン酸脂質代謝、腸管運動の促進
ビオチンエネルギー代謝の補酵素
葉酸赤血球の形成、核酸合成に関与

脂溶性ビタミン

ビタミンA視覚機能の維持、皮膚機能の維持
ビタミンD体内のカルシウム維持、骨の形成に関与
ビタミンE抗酸化作用、脂質代謝に関与
ビタミンK体内の止血に関わる血液凝固に必要

ビタミンは栄養素の働きを円滑にする働きがあり、人が生きていくために必要な成分なのです。

「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」

「水溶性ビタミン」は水に溶けやすい性質上、尿から出ていき体内に貯蔵されにくいため、摂り過ぎても副作用はほとんどないとされています。一方、「脂溶性ビタミン」は油に溶けやすい性質上、尿から出ていかずに体内に貯蔵されやすいので、摂り過ぎによる過剰症に注意が必要です。過剰症の例として、ビタミンAでは全身倦怠・悪心、嘔吐、頭痛などがあります。

ビタミンが医師から処方されるのはどんなとき?

アルコール依存や偏食によるビタミン低下、手術後などでビタミンが欠乏しているとき、骨粗しょう症の治療など、治療や補給が必要な場合に注射薬や飲み薬が使われています。ビタミンが欠乏するとエネルギーが産生されず、臓器障害が起きてしまいます。しかし、今日の日本で通常の食事摂取ができていれば、欠乏で問題になることはほとんどないと言っていいでしょう。食事のバランスが取れていれば大丈夫です。

医薬品との併用による相互作用

医薬品との併用による相互作用にも注意が必要です。

医療用医薬品の相互作用の例

血栓症に使われるワルファリンビタミンK含有食品で作用の減弱
心不全に使われるジギタリス製剤ビタミンDでジギタリス中毒の恐れ
抗悪性腫瘍剤のパクリタキセルビタミンAで骨髄抑制増強の恐れ

総合ビタミン系のサプリメントは複数のビタミンが配合されており、気がつかずに摂取していることも考えられます。また、ビタミン含有量もそれぞれ違いがあるため、注意が必要といえます。

おわりに

ビタミンを含むサプリメントが多く市販されています。健康増進を目的としていることは良いことですが過多にならないよう、まず食生活を見直しましょう。また、腎臓が悪い方、妊婦、小児が服用する際には注意が必要な場合があります。購入を検討されている方は医師や薬剤師からのアドバイスを受けてください。


【参考文献】
  • 今日の治療薬
  • 治療薬マニュアル
  • 各医療用医薬品の添付文書
  • 腎不全と健康食品・サプリメント・OTC薬 敵か味方か正しい情報と使い方