今月のくすり問答

薬の飲み方Q&A
その201(2024年3月号)
Q
アルツハイマーのお薬は、飲み薬以外にもありますか?
A
飲み薬以外では貼り薬があります。また、飲み薬でも普通の錠剤のほかに口の中で溶けやすい錠剤や、粉薬、液体の薬などあります。詳しくは、薬剤師にお気軽にご相談下さい。

アルツハイマー型認知症の治療

アルツハイマー型認知症は、とても複雑な病気です。なにかひとつのことで進行を遅らせ、予防することは難しいでしょう。そのため、現在の治療や研究においては、患者さんの精神機能の維持を助けることや、行動・心理症状に対処すること、症状の進行を遅らせることなど、多方面から焦点が当てられています。

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症の初期によく現れる症状に、記憶力・思考力・判断力の低下があげられます。
記憶力は、記憶をつかさどる海馬の萎縮によって障害が出現します。記憶の中でも、数分前の記憶(短期記憶)の障害が顕著に表れ、物の置き場所がわからない、同じことを繰り返し話すなど、日常生活にまつわる症状が出現します。更に、怒りっぽくなる・歩き回る・意欲がなくなるなどの症状が現れることがあります。
症状には個人差があり、すべての患者さんにみられるものではありません。生活環境や心理状態、接し方によっても変わってきます。

お薬を飲みたがらない時

アルツハイマー型認知症の患者さんが、お薬を飲むことを嫌がる場合があります。病気であることを受け入れられないからなのか、自覚がないため飲みたがらないのか、お薬が飲みづらいからなのか、様々な原因が考えられます。
無理に飲ませようとすると、被害妄想につながったり、家族に気づかれないようにお薬を吐いたり捨てたりすることもあります。また、ご家族の判断で食事に混ぜたりすると、料理の味が変わり食事拒否つながったり、お薬の効果に影響が出たりします。
患者さんが服薬を嫌がるときは、医師・薬剤師に相談しながら患者さんが納得しやすい方法を見つけていくようにしましょう。

アルツハイマー型認知症治療薬の剤形

アルツハイマー型認知症治療薬には様々な剤形があります。

錠剤かみ砕かずにお水と一緒に服用してください。
口腔崩壊錠(OD錠)口の中ですぐに溶けます。水なしでも服用ができます。口の中で溶かしてから服用してもかまいません。
細粒お薬を粉末状に加工したものです。錠剤同様にお水と一緒に服用してください。
内用液お薬を液体状にしたものです。そのまま服用するか、水などにうすめて服用してください。錠剤や細粒を服用することが困難な患者さんでも服用できます。
内服ゼリーお薬をゼリー状に加工したものです。とろみがあり錠剤や細粒を服用することが困難な患者さんでも服用できます。
貼付剤お薬の成分が含まれた貼り薬です。皮膚からお薬が身体に吸収され、効果を発揮します。同じところに貼っていると、お肌のトラブルをまねきます。毎日違うところに貼るようにしてください。
以上のお薬は、患者さんご自身が服用したり、ご家族の方が服用させることができます。

点滴静注お薬を点滴で直接身体に投与します。
こちらのお薬は、医師または看護師しか投与できません。


現在、様々なタイプのお薬があります。お薬を飲みやすい形状や貼り薬に変更することもできます。今お悩みの解決につながるかもしれません。まずは、医師・薬剤師に相談してみましょう。