吸入指導連携

吸入指導連携には医療機関からの依頼書、薬局からの報告書が必要となります。
今まで特定の医療機関との吸入指導連携には、その医療機関の専用の様式にて連携を行っていましたが、信大病院薬剤部のご許可をいただき、信大病院の「吸入指導報告書」を改変し、信大病院以外でも使用できる様式を作成しました。
専用の様式が決められていない医療機関への吸入指導報告書としてご利用下さい。
※吸入薬指導加算を算定される場合は、必ず算定要件をご確認下さい。

保険薬局における吸入指導連携の手順について

保険薬局における吸入指導連携の手順について

※ACTやCATの用紙の取得やその評価法については、以下をご活用ください。

医療機関毎の吸入指導連携に関する情報

信州大学医学部附属病院

吸入指導連携における資料は薬剤部HPよりダウンロードしてお使いください。

相澤病院

報告書は、本ページのデバイス別報告書をご使用ください。

松本協立病院

吸入指導依頼書<喘息用>
吸入指導依頼書<COPD用>
無断使用・無断転載は固く禁じます。

報告書は、本ページのデバイス別報告書をご使用ください。


参考

吸入薬指導加算算定要件

報告書提出先一覧

個人情報を含むものです。番号間違いの無いようご注意ください。

提出先FAXTEL
信州大学医学部附属病院 薬剤部FAX:0263-37-3034TEL:0263-37-3013
相澤病院 薬剤センターFAX:0263-33-8721TEL:0263-33-8600
松本協立病院 医事課FAX:0263-35-5338TEL:0263-35-5333

デバイス別指導マニュアル・報告書

デバイスの選定と特徴
主な吸入補助ツール(資材)*練習用プラセボ吸入器除く

デバイス別指導マニュアル・報告書

デバイス 指導マニュアル 報告書
エアゾール 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
エアロスフィア 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
ジェヌエア 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
ハンディヘラー 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
ディスカス 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
エリプタ 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
タービュヘイラー 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
ツイストヘラー 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
レスピマット 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル
ブリーズヘラー 指導マニュアル:PDF 報告書:PDFエクセル

報告書は信大病院薬剤部の報告書を改変したもので、吸入連携を目的に、松本薬剤師会会員薬局が使用する場合に限り許可されています。目的以外の使用や、無断転載、改変は固く禁じます。

Q&A

Q
吸入するのに最もいい時間は?
A
特に決まりはありません。医師の指示通りに行う。
吸入する時間が特に決まっていなければ、食後など患者さんのライフスタイルに合わせて毎日なるべく同じ時間帯に吸入する。
●食前に吸入する事で、食事によって口腔内の残留薬剤を除去できる可能性が高く、ステロイドの場合は食道カンジダの予防にもつながります。食事などの労作による呼吸苦が起こるCOPD患者に対しては、食前のβ刺激薬は呼吸困難の改善につながります。
●歯磨き前の吸入が吸入のコンプライアンスを高める報告があります。1日2回の吸入の場合、朝・夕の歯磨き前に吸入を行い、歯磨き時のうがいで口腔内の薬剤を除去する方法を習慣化するのも一つの方法です。
Q
吸入後の息止めはどれくらいすればいいか?
A
苦しくない範囲で、できれば5秒程度を目安とする。
オーキシス、シムビコート、パルミコート以外は吸入説明書に吸入後の息止めを実施するように記載されています。吸入後の息止めは肺内沈着率を増加させる要因として重要視されています。
●5秒の理由について
肺の十分な粒子沈着には5秒以上必要であったとしている。ただし、呼吸器疾患を持った患者さんは苦しい場合があるため、息止めは無理のない程度に行うよう指導する。また、DPIは息止めが不要と書かれている書籍もあるが、各デバイスの説明に沿って息止めを指導する。
Q
吸入後にうがいをする必要はありますか?
A
のどや口の中に残っている薬を洗い流すためにうがいを行う。
適切に吸入できた場合でも約80%の薬剤が口腔内に残ります。うがいを2回することで90%以上の薬剤が除去できます。とくに吸入ステロイド薬使用後のうがいは、嗄声や口腔カンジダの防止のために重要です。
●吸入ステロイド・・・必ずうがいをする。のどや口の中に残っている薬を洗い流し、食道カンジダ、口腔カンジダ、嗄声(声がれ)を防ぐため、うがいが必要です。
●β₂刺激薬・・・・・できるだけうがいをする。口腔粘膜から吸収されることや飲み込むことによって全身的に吸収されるのを防ぐため、うがいが必要です。
●抗コリン薬・・・・必ずしも吸入後にうがいをする必要はありません。しかし、うがいをすることで、吸入後に起こる口渇などの副作用を軽減できることがあります。甘みや苦味など口の中に残った薬が気になる場合も、うがいによって軽減されます。
Q
うがいの方法を教えてください。うがいが出来ない時はどうしたらいいか?
A
吸入後は、のどや口の中に残っている薬を洗い流すために、口の中を洗う「ぶくぶくうがい」、喉の奥を洗う「ガラガラうがい」を2回以上行うよう指導する。うがいが困難な場合は口腔内をすすぐよう指導する。
うがい以外で口腔内の薬剤を除去するには以下の方法も有効です。
●飲み物で口をゆすいで飲み込む。
●食前に吸入を行い、食事により飲み込む。食事により口腔内の残留薬剤を確実に除去できる、また食道カンジダの予防にもつながります。
●つばを吐きだすだけでも効果があります。
※吸入ステロイド薬は飲み込んでも体循環に移行する前に肝臓でほぼすべて代謝されるため、全身性の副作用が生じる可能性はきわめて低い。
Q
吸入ステロイド剤でカンジダがあった場合に吸入はどうすればいいか?
A
患者さんが医師に伝えていない場合は疑義照会する。
確認後、続行の場合は、うがいの必要性を再指導し、食前吸入をすすめる。
Q
スペーサーの利点は?
A
吸い込むタイミングを薬剤噴霧(ボンベを押す)タイミングに合わせる必要がない。
直接吸入した場合、大きな粒子が上気道に付着し薬剤によっては、口の中にカビが生えるなどの副作用の原因になります。スペーサーを使用すると粒子が大きいものはスペーサーの壁に沈着するので、口腔・咽頭・上気道への不必要な薬剤の沈着を防ぐことができます。
スペーサーに噴霧した薬剤は約30秒間滞留し、ゆっくり呼吸をすることで、何回かに分けて吸入できます。
Q
吸入ステロイドの嗄声の予防、もしくは少ない薬剤は?
A
嗄声は、吸入ステロイド剤が喉頭筋へ付着することによるステロイド筋症(ステロイドによる筋力障害)が主な原因で引き起こされます。
予防には咽頭へのステロイドの付着量を減少させるために、食前吸入、吸入前に水分をとり喉を湿らせるといったことや、念入りのうがいが勧められます。使用する薬剤がエアゾール製剤であれば、スペーサーの使用を行う。それでもやはり嗄声が出現する場合は一般的にドライパウダー製剤よりステロイドの粒子径が細かいエアゾール製剤の方が嗄声が少ないと言われており、また同じドライパウダー製剤でも粒子径がより細かい製剤への薬剤変更が考えられます。
Q
ドーピング検査を受ける可能性があるが、使用できる吸入薬を教えて欲しい
A
吸入薬の成分の中では、交感神経興奮作用や蛋白同化作用による筋組織量の増加を期待して使用される可能性があるため、β₂刺激薬は大会期間中、大会期間外共に常時禁止とされています。
ただし、下記の吸入薬については、例外的に添付文書に従って使用される時は禁止されていません。
また、2021年現在、糖質コルチコイド、抗コリン薬の吸入使用は禁止されていません。

  • 吸入サルブタモール(24時間で最大1600μg、いかなる用量から開始しても8時間で600μgを超えないこと)
  • 吸入ホルモテロール(24時間で最大投与量54μg)
  • 吸入サルメテロール(24時間で最大200μg)
  • 吸入ビランテロール(24時間で最大25μg)

代表的な使用可能β₂刺激薬配合吸入剤
  1. SABA単独
    サルタノールインヘラー、セレベントディスカス、オーキシスタービュヘイラー
  2. ICS+LABA
    アドエアエアゾール・ディスカス、シムビコートタービュヘイラー、フルティフォームエアゾール、レルベアエリプタ
  3. ICS+ LABA+LAMA
    ビレーズトリエアロスフィア、テリルジーエアロスフィア・エリプタ
  4. LABA-LAMA
    ビベスピアロスフィア、アノーロエリプタ
Q
妊娠中、授乳中の気管支喘息患者さんに使用できる吸入薬を教えてほしい
A
  1. 妊娠中は肺が圧迫され、呼吸機能が低下します。そのため、妊娠した喘息患者さんのうち、約1/3はぜん息が悪化するといわれています。妊娠中に喘息の状態が不安定になると、本人だけでなくお腹の中の赤ちゃんも低酸素状態になってしまいます。妊娠中にもっとも大切なことは、医師の指示通り薬物治療、自己管理を継続し、喘息のコントロール状態をよくして発作を起こさないようにすることです。
    吸入ステロイド薬やβ₂刺激薬など、ぜん息治療の吸入薬は、妊娠中であっても問題なく使用することができます。
  2. 授乳中も喘息の薬物治療は継続します。母乳に移行する吸入薬の量はごくわずかであり、赤ちゃんに影響が出るおそれはほとんどありません。

【妊娠中の喘息患者さんに使用できると考えられている吸入薬と注意点】
分類 薬剤 注意点
吸入薬 ステロイド薬 ヒトに対する安全性のエビデンスはブデソニドが最も高い。
β₂刺激薬 短時間作用型β₂刺激薬(SABA)に比べて、長時間作用型吸入β₂刺激薬(LABA)の安全性に関するエビデンスはまだ少ないが、ほぼ同等と考えられている。
抗コリン薬 長期管理薬として用いた場合の妊娠に対する安全性のエビデンスは乏しく、発作治療薬としてのみ安全性が認められている。
クロモグリク酸ナトリウム

吸入指導資料

松本吸入指導連携WGにて作成した本ページの元となる資料です。印刷される場合はこちらをご利用ください。

参考資料

  • すべての医療者のための明日からできる吸入指導 改定第3版-指導から支援へ-(メディカルビュー社)
    編集 横浜市旭区瀬谷区薬剤師会・吸入療法のステップアップをめざす会 監修 駒瀬裕子
  • 患者吸入指導テキスト スマホで見られるピットホール (協和企画)
    (一社)吸入療法アカデミー代表理事 大林 治幸
  • 吸入指導マニュアル 近畿中央呼吸器センター 薬剤部
  • 喘息予防・管理ガイドライン2018
  • 妊娠・授乳と薬のガイドブック
  • 福岡県薬剤師会 質疑応答
  • 各メーカー製品添付文書・患者向け医薬品ガイド
  • 薬剤師のためのアンチドーピングガイドブック 2022年版 (日本薬剤師会・日本スポーツ協会)
  • Global DRO
  • 独立行政法人 環境再生保全機構